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インサイドキックがキックの全て

 今回のテーマは「インサイドキックがキックの全て」です。キックの基本として日本でも教わることが多い「インサイドキック」ですが、一番最初にサッカーを始めた頃は、すごく疑問に思う人が多いのではないでしょうか。インサイドキックは、「蹴りにくい蹴り方」だと思った人が多いはずです。サッカー未経験者が「蹴る」という動きをイメージするときに、なんとなく真っ直ぐに足を振った方が蹴りやすいイメージがあると思います。足首も真っ直ぐしていた方がしんどくないのに、なぜか足首をグイッとひねって、インサイドでボールを当てて蹴るという蹴り方…。初心者や未経験者に、「インサイドキックでパスを蹴るんだよー」と教えると、最初はうまく蹴れないことが多いですよね。
 指導者は、どうやってインサイドキックの「意味」を説明しますか。「なぜインサイドキックなの。」と言われたときに、しっかりと答えられる指導者はどのくらいいるのだろうかと思っています。
 一番よくある答えとしては、「足の内側というのは、面積が広いからボールを当てやすい」というものです。これは間違いではありません。しかし、もっと重要な理由がいくつかあります。

 インサイドキックが「キックの基本」になっている理由は3つあります。1つ目が「安定してボールが蹴られる」です。先程の「足の内側の面積が広いからボールを当てやすい」というメリットに加えて、膝を伸ばして力が伝わりやすい状態をキープしたまま、ボールを蹴ることができるというメリットがあります。膝と足首を伸ばして足をまっすぐに振りボールを蹴ると、転がってくるボールに対して「つま先」が先にボールに当たってしまいます。足首と膝を伸ばしてしまうと、ボールに対して足が斜めに入ってしまうのです。つまり、足首を伸ばして足をまっすぐに振ると、安定してボールが蹴れません。初心者や未経験者の多くは、つま先でボールを蹴ってしまいますが、これだとミスする確率は他のキックの蹴り方よりも高くなります。

 2つ目が「足の動きを小さくしてボールを蹴ることができる」という理由です。インステップキックやトーキックは、膝下の動きだけでボールを蹴っても、足の振りに対して真正直にボールの飛ぶ方向が決まるので、動きが読まれやすく、相手ディフェンスに対応されやすいです。一方、インサイドキックというのは、足の振りをコンパクトにしてボールを蹴ることができます。膝下の動きがなくてもボールを蹴ることができます。インサイドキックというのは、股関節の可動を使ってボールを蹴るからです。

 インサイドキックは体の向きに対して、90度の角度内であれば自由にボールを飛ばす方向を変えることができます。瞬間的に、ボールを飛ばす方向を変えることもできるのです。この動きを応用して、フェイントキックという蹴り方でシュートをすることがあります。僕が行ったスペインのアカデミーでは、このフェイントキックの蹴り方を、全ての年代で教わりました。それくらい重要な蹴り方です。

 3つ目は「ダイレクトキックができる」という理由です。以前のポッドキャストでも、サッカーの凄いところの一つが「ダイレクトキック」だという話をしました。
 ダイレクトキックを「走りながら」「動きながら」「自然の体の状態で」やろうと思うと、インサイドキックが一番やりやすいです。インステップキックやトーキックでダイレクトキックをすると、無理な体勢になるのでミスの可能性が高くなります。

 以上、この3つがインサイドキックが「キックの基本」とされている理由です。極端な話、インサイドキックを完璧に使いこなすことができれば、サッカーはできると思っています。シュートも、パスも、ロングキックも、インサイドキックでできます。そもそも、トラップもインサイドでやるので、そのままインサイドキックですぐ蹴ることができますよね。サッカーはスピードが大切なので、これも1つのメリットです。

 ちなみに、アウトサイドキックのことを忘れていませんか、と言われるのが予想できます。そもそもインサイドキックは人間の体に一番合ったやり方です。股関節の可動域と関係があります。

 アウトサイドキックは、蹴る足の外側にボールがある時、蹴る足と逆方向に強いボールを蹴ることが物理的に不可能です。これは人間の身体のつくり上、改善できないことなのです。

 結論、「インサイドキックって、サッカーにおいてやっぱり重要だよね!」というお話でした。

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