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サッカーにおける「ミス」には、質の違いがあることを理解しておこう。

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 今回のテーマは、「サッカーにおけるミスには、質の違いがあることを理解しておこう」です。一見すると、同じようなミスをしている状況でも、ミスの質には違いがあるということを肝に銘じておかなければいけないなという話です。

 僕は、サッカー選手としてのレベルを評価するときに、4つの観点で選手を評価します。僕は、スペインのバルセロナにあるアカデミーに行ったときに、教えてもらいました。

 4つの観点とは、「(1)認知(2)思考(3)判断(4)実行」です。

 (1)「認知」というのは、「どれだけの情報量を得ているか」です。周りを見て選手の位置や状況を把握する力や、味方のコーチングを聞く力です。

 (2)「思考」というのは、「チーム戦術をもとに考えられているか」です。ここは、多くのプレーヤーが間違った感覚を持っています。「自分のサッカー観」「どこかで学んだサッカー論」で「思考」してはいけないのです。サッカーというのは、チームスポーツであり、チームには必ず戦術があります。チームそれぞれにサッカー哲学があります。自分が所属するチームの、戦術や哲学をもとに考えられていれば、「思考」のレベルは高いと言えます。

 (3)「判断」というのは、「チームにとって正しい判断をしているか」です。「判断」も、「自分のサッカー観」で考えてはいけません。チームの戦術や哲学から、チームにとって最善をが何かを判断することが必要です。

 (4)「実行」というのは、「できたか、できていないか」です。つまり成功したかどうかです。

つまり、それぞれの観点でミスを整理すると、「認知のミス」は「見えていなかった・聞いていなかった」などです。例えば、ゴール前でフリーの選手を見落として、サイドの選手にパスをした場合は、「認知のミス」が原因です。「思考のミス」は、「戦術をもとに考えられていなかった」です。例えば、「中央突破を戦術の基盤に考えているチーム」で、中央にいる選手にパスが出せるのに、「後ろに下げた方がリスクが低い」と考えて、後ろにパスをした場合は、「思考のミス」です。「判断のミス」は、「チームにとって正しい判断ができなかった」です。例えば、「カウンターを基盤に攻撃を成功させるチーム」で、フォワードにもボランチにもパスが出せる状況で、ボランチにパスを出して攻撃が遅くなった場合は、「判断のミス」です。「実行のミス」は、プレーが「失敗」した時です。

 指導者の中には、「実行」でしか選手を評価していない方がいます。「実行」だけにフォーカスしてしまいがちですが、これだと正しく選手を判断できません。

 例を挙げて考えていきましょう。

 Aという選手が、中央突破を試みて相手にボールを奪われたとします。その少し後に、Bという選手が、同じように中央突破を試みて対手にボールを奪われたとします。同じ状況でミスをした2人の「罪」は、同じ重さでしょうか。

 数年前、FCバルセロナには、メッシ選手とネイマール選手がいました。ネイマール選手がFCバルセロナに加入したばかりの頃、日本のメディアの中には「サントス時代よりも、ネイマールは活躍できていない」「スペインリーグとブラジルリーグは、リーグにレベルの差があるから力を発揮できないのではなく、力が無いので仕方ない」「メッシに遠慮し過ぎだ」という情報を流しているところがありました。ですが僕は、「やっぱりネイマール選手はすごいなぁ」と思いました。

 「誰がどのようなプレーをするのか」というのは、チームを強くするためにとても大切です。数年前のFCバルセロナでは、メッシ選手のドリブルが「質的な優位性」が高かったです。ネイマール選手は、「今のバルセロナにおける自分の役割とは何か」を考え、サイドでチャンスメイクをしたり、メッシ選手からのラストパスをゴールに決める仕事をしたり、メッシ選手のためにスペースを作る動きをしたりすることで、FCバルセロナの中で必要不可欠な選手となていました。

 ここで話を戻すと、先ほどのAという選手が、チームの中で「ドリブルで相手の守備陣形を崩す」という役割を与えられている選手(ドリブルに質的な優位性を持った選手)であれば、Aという選手がボールを奪われたとしても罪は軽いです。ミスが生まれているのは、「成功したかどうか」の「実行」のところです。

 同じ状況ではありましたが、Bという選手が、チームの中で、「中央でボールを受けて、パスで攻撃のリズムをつくる役割」を担っていた場合、中央突破を試みて相手にボールを奪われてしまうミスは、罪が重いです。「思考のミス」と「判断のミス」を犯して、「実行のミス」が生まれています。

 つまり、Aという選手のミスと、Bという選手のミスは、「ミスの質」に大きな差があるのです。

 僕たち多くのサッカープレーヤーは、「実行」だけで選手を評価しがちです。ですが、同じようなミスに見えても、罪の重さは全然違うことがあります。トップレベルのサッカー選手になるには、「どこで間違えたのか」をよく考えて、正しく修正していく必要がありますね。サッカーはミスをするスポーツと言われます。足で行うので、手で行うスポーツよりもミスが増えると言われています。しかし、ミスの中でも「質に違いがあることを忘れてはいけないのです。

 今回の話を忘れずにトレーニングに取り組むことで、「ミスの質」を高めることができます。「ミスの質」が高まれば、夢や目標に大きく近づくことは間違いありません。


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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。

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