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竹田・九重・荒城の月⇒日本姓の読みの難しさ

タイトル画像は大分・くじゅう連山

1.大分県竹田市の紹介
NHK-BSの海外向け放送で大分の竹田(市)を紹介していた。九州(福岡・熊本)の出身であれども、大分には交通機関も含め全く足を踏み入れたことはないので、名前だけ知っていて何処にあるか、どういうところか全く知らずにいたため新鮮であった。豊富・多様な温泉を持つ温泉地でありくじゅう連山(九重連山or久住連山)に囲まれ風光明媚、水も豊かであるようだ。
実際、大分の温泉地というと別府と湯布院しかイメージがなかった。勿論、熊本に数多の温泉地があるよう、大分がこの2カ所しかないなどとは考えていなかったが、他は知る機会がなったためである。

九州には2,000mを超える高山はなく屋久島の宮之浦岳1,936mが最高。さりながら、阿蘇、九重(久住)、霧島の雄大な連山があり、特に阿蘇、久住は森林がない雄大な草原の高原ということは九州の人でもなくても知っているであろう。その久住も阿蘇から行くのは容易(阿蘇の隣・続き・一体)乍ら訪れたことはなかった。因みに筆者が九州に居たころは阿蘇と九重を併せ「阿蘇国立公園」であった。今は「阿蘇くじゅう国立公園」に名称変更されている(1986)。空港でレンタカーを借りて周遊するに限るが、運転をやめて久しく出かけるのは中々容易ではない(バス移動は不便)。

<補足>
九重と久住という言い方があり(実際に九重町と久住町がある)、地理学・地学は前者を使うのが通例になっている。一方、地元では折衷で「くじゅう連山」と平仮名を使うことになっている。久住連山の最高峰は中岳1.791mでカルデラ湖、噴火で有名な阿蘇の中岳と同名。
NHK-BSでの竹田の紹介↓

2.誤解されやすい竹田
(1)読みのこと
大分の竹田を知ったのが何時か全く記憶にないが、ずっと「たけだ」だと思っていた(実際は「たけた」である)。これは、嘗て「赤い鳥」という音楽グループが「竹田(たけだ)の子守歌」を歌っていたことに影響されているような気がする。「赤い鳥」も「竹田の子守歌」も今の若い世代は縁がないと思う。しかし「翼を下さい」の方は今でも歌われることがあるようだ。「竹田の子守歌」がヒットしていた頃、この竹田を大分のそれだと思う人も居たようである(かく言う筆者もその一人)。実際は京都の伏見・竹田の歌のようである。京都に詳しい人なら知っているよう京都市の南部の伏見付近(当然洛外)は中世から被差別人民が多いと言われ、今でも同和問題・部落問題のある地域である。この歌もそういう人達のことではという話もあって一時忌避されていた。

(2)滝廉太郎「荒城の月」
この歌は日本最初の西洋音楽の楽といわれている。作詞は土井晩翠である。歌詞の主旨は武士の時代、徳川時代の終焉を偲んで(または明治維新でなくなった良き日本を偲ぶ)ということで、鶴ヶ城、仙台城などが荒城の対象のようだ(NHK大河ドラマで登場した新島八重も掛かっている)。

歌詞は上記であるのに対し、滝廉太郎が曲想を練ったのは、或いは、モデルとしたのは富山城趾と大分・竹田「岡城」趾と言われる。従って、九州では「荒城の月のモデルは岡城趾」だと思っている人が多いと思う(竹田市自体もそうしている)。歌詞と曲のモデルが異なるので誠にややこしいが、普通なら歌詞を優先すべきように思う。
<補足>
○「荒城の月」の歌碑があるところ
仙台青葉城趾、会津鶴ヶ城趾、盛岡藩九戸城址
○滝廉太郎の銅像と歌碑があるところ
富山城趾、竹田の岡城趾

3.ややこしい日本の姓の読み
ここまでの竹田は地名であった。日本には他の都道府県の人が読めない、或いは同一都道府県であっても他の地域に人が読めない地名が数多ある。人の姓も同じようなところがあるのは誰もがそう思うだろう。九州(沖縄・南西諸島は除く)に限ると、変わった地名、姓が多いのは圧倒的に鹿児島県だと思う。鹿児島は3文字姓が多いのも特徴だと思う(地頭園、本仮屋、上石原など)。個人的な見解なので鹿児島の人には悪しからず。

さて、姓についてややこしいのは読みである(漢字がややこしいものは今回は対象外)。それは大凡濁るか濁らないかである。会社の同僚に山上さんという方がいたが。皆「やまがみ」さんと言っていた。本当は「やまかみ」であったものの、ご本人も「やまがみ」でいいということだった。また、高校の後輩であるNHK→日テレに転職した武田アナも「たけた」である。仁井田も「にいた」と「にいだ」があるようこのような濁音・清音の例は幾らでもある。因みに、自動車のトヨタの創業家は豊田さんは「とよだ」。豊田市は「とよた」でややこしい。

少し姓と離れるが、神奈川の秦野は市名、駅名は「はだの」である。しかし地元では本来は豪族の波多野氏(はたの氏)から来ているので濁らないのが正当であるそうだ。所沢は地元の人は「ところさわ」という一方、市名を含めて標準は「ところざわ」である。高田馬場は、「たかたの馬場」が本来は正しいけれど「たかだの馬場」が浸透している。「白金」は「しろかね」であることは流石に知られているもののシロガネーゼという用語もあった。

再び姓に戻ると、同僚に藤原さんが居て、皆「ふじわら」さんと呼んでいたけれど本当は「ふじはら」だった。吉原は「よしわら」「よしはら」ともに極普通に併存。更に「池上」「田上」を「いけのうえ」「たのうえ」ということも(特に九州で?)ある。「の」が入るのは古代以来の名残か?(柿本人麻呂、山上憶良、山内一豊など)。

お隣の韓国のハングルは一文字の読みというか発音は一つに決まっている(そういう風に15世紀に設計された)。また、中国語も原則、一文字一音である。どういう経緯でそうなったかの情報を持ち合わせていないが、日本人の姓(或いは地名)の読み方の複雑さは世界一では?と勝手に思っている。個人的見解として濁点は元々はなかったはずと思っている。確か中国の人は濁点の発音が苦手のはずである。台湾出身の歌手テレサ・テン(鄧麗君)の歌真似をする際は濁音を清音に変えるのがポイントであった。
<補足>
濁音と清音をうるさく区別するのは日本位だろうという話もある。逆に他の言語は有気音と無気音の区別を厳密にするのに対し、日本人は区別できないと言われる。蛇足乍ら、首都圏でもっとも人気の高い洋菓子点、横溝シェフの新百合ヶ丘「リリエンベルグ」は、ウィーン菓子を標榜しているので本来「ベルク」のはずだが何故か「ベルグ」。ガッチャマンではベルクカッツェ=山猫と正しくなっていた。

オマケ1:日本百名城、続日本百名城
岡城趾は日本百名城に入っている。

オマケ2:
西武新宿線と西武池袋線の間に江古田という地名がある。長い間、エコダだと思っていた。都営地下鉄大江戸線に乗ってエゴタであることを知った。

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