再びの是政橋
是政橋は多摩川に架かる橋。稲城市と府中市を結ぶ府中街道途上にあるものである。
稲城市に転居以来、サイクリング・ウォーキングで多摩川沿いを通ることが多く、是政橋、関戸橋、府中四ツ谷橋をよく利用しているが、転居してから暫くは是政橋が最も老朽化し、歩行者・自転車用通路が狭く、少し危険な橋であった。再構築によって美しく使い良い橋となったことは幸いであった。
嘗て是政橋を挟む川崎街道・府中街道は車の渋滞の名所であった。これは以下のようなことが要因であったと考える。
①是政橋が上下一車線
②橋に繋がる道路が狭い
③南武線が橋の手前(稲城側)で地上を走っていた
④南武線と橋間の信号や川崎街道・府中街道への流入
経路など所謂「導線が非常に悪い」
是政橋のリニューアル、道路の整備、最終的に南武線の高架化をもって渋滞解消が図られた。
Ⅰ期とⅡ期に工事期間を分け、仮橋の構築、一時的に仮橋と旧橋を上り・下りに分離併用、上流側と下流側の工期を分けるなど、河川に架かる橋を再構築する場合の一手法を実際に見て知ることができた。
以下に橋のプロファイルを示す。
1. 是政橋の概要
(1)構造形式・・並列斜張橋
上流側:鋼斜張橋、下流側:鋼合成斜張橋
(2)建設年 ・・ 再構築が完了し開通したのは2011年
①木造の橋が1940年完成
②1957年に鋼鉄製のゲルバー鈑桁橋に架け替え
③老朽化、渋滞解消のため第Ⅰ期工事(1999年開通)
を経て第Ⅱ工事により現在に至る
2. 優れたポイント
(1)現時点では多摩地区中流域最も美しいフォルムを
(2)特徴ある構造、車以外にも優しい橋
上下で計4車線で上流側と下流川が分離した双子型、
いわばツインタワーの斜張橋であるが異なる構造。
Ⅰ期線は鋼床版箱桁橋だったが、Ⅱ期線ではコスト縮減
のため、国内で初めて鋼・コンクリート合成床版+少数
鈑桁橋を採用した。斜張橋でも工夫することで、経済性
を追求できることを実証。コストは概ね半減とのこと。
写真を見れば分かるようケーブル本数も1本異なる。
参照図書:
紅林章央(2018)『「東京の橋 100選+100」都政新報社