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雪女と昔話・童話

今年は例年になく東京も雪が降っている。被害を受けた方には大変申し訳ないが、雪の余り


降らない地方の人々は珍しいので何となくはしゃぎたくなる人もいる。子供の頃、福岡に居た時は、気温は今より低かったし、日本海側なのでそれなりに雪は降っていたように思う。

 

さて、雪と言えば、小泉八雲『怪談』に出てくる雪女は殆どの日本人は知っているだろう。

『怪談』は特に子供向けではないとはいえ、小学生~中高生の間に読んでいる人が多いと思うし、例え『怪談』を読んでいなくても色々な事柄のモチーフになっているからである。

 

ところで、「雪女」というと雪が多い地方(信越、北陸、東北、山陰等)がその舞台であろうと勘違いされそうな気がする。かくいう私も『怪談』は2回以上読んだが、舞台の地域の記憶が全く印象に残らず、同じように思っていた。実際は東京都である。雪女の出だしは以下のように始まる。


「この話は武蔵の国、西多摩郡調布村の百姓が私に語ってくれたものである。武蔵の国の   

ある村に、茂作と巳之吉という2人の樵が住んでいた。・・・」

この調布は調布市ではなく青梅市にあり、類似の昔話があること、及び当時はもっと雪が降っていたと想定されることから、信憑性があるとされているようだ。
http://www.mapbinder.com/Map/Japan/Tokyo/Oumeshi/Yukionna/Yukionna.htm

自分でいうのも何だが記憶力はいい方なので、小説に地名が書いてあったのに記憶がないのは少し残念?気もするが、怖い話の方が強烈だったので印象に残らなかったのかも知れない。『怪談』に入っていた他のストーリーも地名の記憶が鮮明にあるのは「耳なし芳一」

位ではないかと思う。

雪女の舞台が青梅と知ったのは海外向け番組で同市が紹介された時であった。

 

少し話は変わるが。グリム童話については『本当は怖いグリム童話』『グリム童話・・子供に読ませて良いか』という類いの本が少なからずある。かなり残虐な話、グロテスクな話が多いからであろう。しかし、昔話・物語にはそれは必然とも言える。元々、子供だけを意識して書いた訳でもないということの他、世の中が今のように明るくなく(夜は真っ暗というだけではなく、日中も暗いところ、人通りがない処が多く、更には逢魔が時もある)治安もわるい時代、恐ろしい出来事がよく起こったことだからである。つまり、子供にもそういうことを伝えて警戒心を養う必要があったと思っている。実際、日本の昔話でも残虐なものもある。例えば「カチカチ山」)。

 

子供を社会的「無菌状態」で育てると、後年、謂わば菌に晒された際、逆に一気に変な方向に進むリスクが高いのでないだろうか。これは食生活同様。例えば、食べものを地面に落としたら洗って食べればいいものを捨ててしまう親がいる。そもそも人間は色々な菌に慣れていって耐性/抗力を付けるべきものだ。ある腸内細菌学者が書いていたと思うが、偶には土を食べるのもいいことだそうだ。(了)


追加:

逢魔が時と言えば、英語にもトワイライトゾーンがあるので普遍的なものだろうか。

英語でKwaidanとなっているのは、嘗て日本では、ハングルと同様、音上「カ」と「クヮ」を区別していたから。小泉八雲は耳で聞いたとおりKwaidanと表記し本のタイトルにした模様。故三木元首相は関係閣僚をカンケイクヮクリョウと発音していたと記憶。

以下は筆者撮影。
https://photos.app.goo.gl/4d1kcpMhFuQWLLiS6



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