レット・イット・ブリード (名盤012)
「レット・イット・ブリード」
「レット・イット・ブリード」はローリング・ストーンズが1969年に発表したアルバムです。ベスト・アルバムの定番曲が三曲、「ギミー・シェルター」、「ミッドナイト・ランブラー」、「無常の世界」がそれらですが、各々、アルバムの一曲目、B面の一曲目、アルバムの最後に配置されていて目立つ曲でありながら、なおのこと目立つ位置に配置されているのが好ましいです。メリー・クレイトン、ロンドン・バッハ合唱団等のゲストの活躍も目立つ本作です。メリー・クレイトンに至ってはミック・ジャガーが霞む位の歌声を披露、この曲も含めて必要に応じてチャーリー・ワッツの代わりにプロデューサーのジミー・ミラーがドラムを担当、ビル・ワイマンの代わりにキース・リチャーズがベースを弾いているのも面白いです。確かに「リヴ・ウィズ・ミー」はギターみたいに主張が強いと思っていましたが本作はキース・リチャーズの活躍も目立つ作品でもあります。そのキース・リチャーズが歌う「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」はフォーク、カバー曲の「むなしき愛」はブルース、タイトルが示すとおり「カントリー・ホンク」はカントリー、それら三曲とアルバム・タイトル曲の「レット・イット・ブリード」、「リヴ・ウィズ・ミー」、「モンキー・マン」は比較的、ロック・パターンの曲ですが、本作は全九曲を先の定番曲三曲とロック・パターンの三曲、それら以外の三曲で整然と構成され充実感があります。また、臨機応変、適材適所、そんな言葉が浮かんできますが、加えてアルバム・ジャケットが示すようにゲストを歓迎するムードも好感触です。そして、そのケーキを三等分に切り分けたくなるような気分にさせるアルバムです。