レビュー「わたしの好きな曲10作品」　第六回　　今夜はR & Bを・・・

「今夜はR&Bを・・・」

70年代の古井戸の時代、80年代のRCクセションの時代、その後、麗蘭等、いくつかのバンドやポエトリー・リーディング、実に充実の経験を重ねてきたチャボです。文筆家という一面もありますが、ミュージシャンなだけにリズムがあって嫌味のない文章はこうやって言葉を綴っている立場からすると最も興味がある事柄ではあります。なんだか、それこそ、嫌味なことを言っているみたいですが、ライターが嫉妬するほどの文章をチャボは書きます。一緒にプレイしたミュージシャンや関係者はチャボから手紙やらメモやらを貰っているはずで、何かそこには気遣いだったり、思いやりを感じさせます。ストリート・スライダーズが正式に解散した際は麗蘭の活動を一時的に自粛、キヨシローが天国へ旅立ってしまった際は遺族への配慮から奥ゆかしい姿勢を示したチャボ、そんな事柄が何故か浮かんでしまうのは何故だかわかりませんが、嬉しかったのはライブハウスで指で指して貰ったことでした。これはわたしに限らずですが、それもまた、気遣いの表れなのかもしれません。一つ、気がかりだったのは古井戸の再結成に前向きではなかったようなチャボでした。でも、それも、実現、取り壊し前の渋谷公会堂での加奈崎芳太郎と並ぶ姿は嬉しかったす。加奈崎芳太郎に限らず、チャボが一人やバンドの時よりも誰かと二人の時の方がチャボらしいような気がします。そのような訳で好きな曲は「今夜はR&Bを・・・」です。