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カセット・テープに十曲、コンピレーション・アルバムを作る(一本目 洋楽)

A面
ダンシング・イン・ザ・ストリート
ヘイ・ジョー
カモン!!
ジス・ウェイ
ユー・リアリー・ガット・ミー

B面
レッツ・ゴー・クレイジー
スモール・タウン
ライト・オブ・デイ
デザイアー
自由への疾走

■コンピレーション・アルバム 洋楽
テーマを決めてコンピレーション・アルバムを作るのが好きでした。今でも聴いているのが通称「好きな洋楽十曲」、カセット・テープに録音、後にCD-Rに焼き直して今ではパソコンに取り込んだそれを聴いています。古い曲から順に並べていますがこれが幸いだったのか実にしっくりときます。A面はさかのぼって好きになった曲、B面はリアル・タイムで好きになった最新のヒット曲です。両面どれもアップ・テンポな曲ばかり、コンピレーション・アルバムを作る際は静かな曲等を挟みメリハリをつける必要がありますが、これに限ってはトータル・タイムが短いので、ある種、パンク・ロックのアルバムみたいに最後まで突っ走って終わるような感じが良いです。喜怒哀楽で示すと楽の曲が大半、これもまた、統一感が加わりました。ローリング・ストーンズの曲は外すという条件を課しました。それに限定したコンピレーション・アルバムを作りたかったからです。これもまた、しっくりとくる並びになったのでいつか紹介したいと思います。A面はモータウン・サウンド、ガレージ、グラム・ロック、ディスコ、ハード・ロックとジャンルが被っていないのも良いです。一方、B面の一曲目はイントロが長めで後半の始まりの合図になったような気がします。大変、満足のコンピレーション・アルバムになりました。

「ダンシング・イン・ザ・ストリート」
「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は1964年にヒットしたマーサ&ザ・ヴァンデラスの代表曲です。ライブエイドでミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイが共演したことでも有名な曲、オリジナルはコーラス、サックスが印象的でタンバリンも効果的なアクセントになっています。寒さが緩んだ春の始まりみたいに期待が膨らむような曲、同時に曲名が示すように踊りたくなりますが、日本で生まれ育った立場からするとハミングくらいならしたくなるような曲です。つまり、ストリートで踊りだす行為に自由なアメリカを感じさせます。動画で観るマーサ&ザ・ヴァンデラスはアメリカ的な振り付け、踊り方で楽しそうに歌っていました。ジャンルはソウルやR&B、一方、モータウン・サウンドと呼ばれています。混乱を招きますがそのあたりの探求も個人的には楽しんでいます。ゴスペルも混ざっているみたいですがディスコの起源にもなっていると解釈、手っ取り早く言えばシュープリームスみたいです。シュープリームスと言えば、最近ではスプリームスと言うらしいですがどちらが正解なのでしょうか?混乱がつきないですがマーサ&ザ・ヴァンデラスは気にせず理屈抜きに楽しんで歌っています。

「ヘイ・ジョー」
「ヘイ・ジョー」はザ・リーヴスの1966年のヒット曲です。曲面からジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが浮かんでくるかと思います。つまり、カバー曲、ザ・リーヴスもオリジナル曲というわけではないらしいです。このあたりはややこしいので調べていただくと良いかと思います。ザ・リーヴスの「ヘイ・ジョー」を知ったのはジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのカバー曲を収めたコンピレーション・アルバムを聴いたのがきっかけです。ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの「ヘイ・ジョー」はスローな曲、一方、ザ・リーヴスは高速回転、曲自体もカッコ良くて驚きを超えて狂喜した「ヘイ・ジョー」でありました。ジャンルはガレージ、サーフ・ミュージックの要素も絡めていて陽気で楽しげ、端々でエレキ・ギターの一音等が散りばめられていてアクセントも良好です。ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのそれはそのような浮ついたムードはなく哀愁が漂い後悔や動揺も滲ませています。それもそのはず、歌詞は浮気をした妻を銃で殺してしまったことになっています。歌詞に反して痛快なザ・リーヴスの「ヘイ・ジョー」、因みに数百のアーティストに様々なジャンルで演奏されている曲らしいです。

「カモン!!」
「カモン!!」は1973年にヒットしたスレイドの代表曲です。1980年代にクワイエット・ライオットがカバーしたことがきっかけで好きになりました。ベースの音が大きいですが、調べたらジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスに関わりのあるチャス・チャンドラーがプロデュースをしていて個人的には納得、腑に落ちたスレイド及び「カモン!!」です。親しみやすいロック・ナンバーなのでお薦めしたい曲です。ドラマや映画の主題歌になればリバイバル・ヒットや話題にもなりそうな曲です。微かな哀愁を滲ませますが基本的には明るい曲なので痛快でもあります。スレイドはグラム・ロックに位置付けられていますがデイヴィッド・ボウイやT.REXとは異なっています。所謂、イロモノの気配がしますがその点はKISSを連想させられます。調べるとジーン・シモンズはスレイドの影響を公言しているとのこと、確かにグラム・ロックに分類されていながらハード・ロックにも位置付けられていてこれもまた納得、KISSのポップさもスレイドのイメージと重なります。「カモン!!」はコンサートでの演奏を意識して作られたことをボーカルのノディ・ホルダーは語っています。確かに観衆の大合唱が目に浮かぶ曲、何から何まで納得の連続ですがキャッチーな曲なので素直になってしまうのかもしれません。

「ジス・ウェイ」
「ジス・ウェイ」はテルマ・ヒューストンの1977年のヒット曲です。1980年代にコミュナーズがカバー、さかのぼってテルマ・ヒューストンを聴くことになりました。元々は1975年に発表されたハロルド・メルヴィン&ブルーノーツのアルバムに収められている曲らしいです。音楽ジャンルとしてディスコに位置付けられますが確かにミラー・ボールがぶら下がった煌びやかなフロアーを想像させられます。メロウな出だし、サビ、転調の高揚感は最高でお薦めしたい一曲です。ディスコと言えば個人的にはローリング・ストーンズの「ミス・ユー」が真っ先に思い浮かびますが「ジス・ウェイ」もまた「ミス・ユー」と同様の心情を滲ませています。両曲に限っては求愛を想像、考えてみるとディスコという空間にナンパは欠かせない事柄で筋道も良好です。残念なことにディスコという空間、今ではクラブと言うその場所は違法行為ややりとりが行われているとささやかれています。もしかしたら、音楽が誤った判断の後押しになるなんてことも考えられます。極端な話、判断を鈍らすトリップ感を兼ね備えた「ジス・ウェイ」です。因みに映画「ミスター・グッドバーを探して」でも使われています。

「ユー・リアリー・ガット・ミー」
「ユー・リアリー・ガット・ミー」はヴァン・ヘイレンの代表曲、オリジナルはキンクスでそのカバー曲です。初期のビートルズやローリング・ストーンズはアルバムの大半がカバー曲でオリジナルを超える魅力もあります。それらを除くとだいたいのカバー曲のほとんどがオリジナルを超えることはないと思っていて、稀に例外もあってその代表例がヴァン・ヘイレンの「ユー・リアリー・ガット・ミー」です。例えるならオリジナルのキンクスがゴジラでヴァン・ヘイレンがメカ・ゴジラ、つまり、メタリックに武装した「ユー・リアリー・ミー」です。先ず、リフが印象的、単純明快な四つの音の繰り返しは破壊力があって気持ちが良いです。ギター・ソロもそうですが、挟まれる叫び、雄叫びのようなギターは印象的です。キンクスの立場は?と思いながら興奮が抑えきれない曲でもあります。ヴァン・ヘイレンと言えば「ジャンプ」も有名、この曲がきっかけでヴァン・ヘイレンを知りましたが、その関連でラジオから流れてきた「ユー・リアリー・ガット・ミー」だったと思います。因みに「ユー・リアリー・ガット・ミー」がメカ・ゴジラだったら「ジャンプ」はモスラ、いくらかポップな「ジャンプ」であります。

「レッツ・ゴー・クレイジー」
「レッツ・ゴー・クレイジー」はプリンス&ザ・レボリューションの1984年のヒット曲です。アルバム「パープル・レイン」からのシングル、「ビートに抱かれて」に続いてのそれになります。当時、中学三年生、そのような立場からすると打って付けの「レッツ・ゴー・クレイジー」でした。思春期特有の苛立ちを的確に表していてその発散の役割にもなっていました。校内暴力がクローズ・アップされていた時代だったことも関係が深く、荒れた校舎との相性も抜群、窓ガラスを壊す際はこの曲が頭の中に流れていたことでしょう。アルバム「パープル・レイン」はプリンスが主演の映画でそのサウンド・トラック、オートバイに乗っているプリンスも印象的でイメージ・カラーも紫となるとヤンキーと結びつけることも容易いです。自身はそちら側ではありませんでしたが、きっと、ロックを聴いて収まりをつけていたのかもしれません。この曲にこだわるのはそのあたりの心理からだと思いますが、異性や性への関心、その後押しになっていたのが「ビートに抱かれて」、プロモーション・ビデオが印象的でした。よくよく考えると同じ1984年にフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「トゥ・トライヴス」も「リラックス」もプリンス&ザ・レボリューションの両曲と同じ心理が働いていたことに気付かされました。

「スモール・タウン」
「スモール・タウン」は1985年にヒットしたジョン・クーガー・メレンキャンプの曲、アルバム「スケアクロウ」からのシングルです。1980年代はロックというよりもポップスの時代、ジョン・クーガー・メレンキャンプの存在は希少性がありました。同列に並ぶ当時のアーティスト及びアルバムを列挙するとブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・USA」、ブライアン・アダムスの「レックレス」、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「スポーツ」等が挙げられます。ジョン・クーガー・メレンキャンプの「スケアクロウ」はこれらの長所やイメージを寄せ集めた印象を持っています。ブルース・スプリングスティーンの愛国心、ブライアン・アダムスの親しみやすさ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの健全性です。ジョン・クーガー・メレンキャンプの独自のイメージは地元愛、そうなると最も近いのがブルース・スプリングスティーンになるのかもしれませんが、ブルース・スプリングスティーンはギターの主張が控えめで、一方、ジョン・クーガー・メレンキャンプはギターの活躍が目立っていて自身の趣味に合っています。因みに2018年に女優のメグ・ライアンとの婚約を発表したとのことです。

「ライト・オブ・デイ」
「ライト・オブ・デイ」はバーバスターズの1986年のヒット曲です。合わせて映画「愛と栄光の日々」の主題歌です。バーバスターズは映画に登場するロック・バンド、ボーカルがジョーン・ジェット、つまり、映画でもジョーン・ジェットが主人公を演じています。ギターはマイケル・J・フォックス、これもまた、本人が映画で演じています。マイケル・J・フォックスはギターが弾けて関心しますがなかなかの腕前、ハードで興奮させられます。「ライト・オブ・デイ」の作詞作曲はブルース・スプリングスティーン、個人的には少し意外、比較的、ブルース・スプリングスティーンの曲はギターが控えめな印象があります。映画も面白かったですがマイケル・J・フォックスはイメージと異なるキャラクターを演じています。一方、ジョーン・ジェットはイメージそのままで納得、ただし、この映画はDVDになっていません。ビデオ化はされましたが観たのは大分前で詳細は覚えていません。ヒットと書きましたが大ヒットではないので知名度も高くないですが、間違いなく興奮させられるのでお薦めしたい曲です。付随してこの曲はボリュームが大きいです。何か細工が加わっているのか気のせいなのかは不明ですが個人的には他にない印象や感触を持っている曲です。

「デザイアー」
「デザイアー」は1988年に発表されたU2のシングル曲、アルバム「魂の叫び」に収録されている曲です。リズムが強調されていてハーモニカが印象的、三分も超えない短い曲です。前作のアルバム「ヨシュア・トゥリー」からのシングル曲は メロディが強調されていた曲が多かったのでそのギャップの後押しもあったのかもしれません。この頃、ハーモニカの注目も高かったこともこの曲の好きな理由です。合わせてブルースへの関心も高まっていたことも挙げられますが「魂の叫び」ではB.Bキングと共演、それもまた、興味深かったです。ところが「デザイアー」はボ・ディドリーのリズムを連想させられました。B.Bキングもボ・ディドリーもロック寄りのブルース・マン、そのような位置付けや印象を持っています。それもまた、「デザイアー」を贔屓にしている要因かもしれません。傾向としてメロディよりもリズムが強調されている曲やアーティストを好むことが多いです。「デザイアー」はそれに気付かされた曲でした。ビートルズよりもローリング・ストーンズを好むのはそのあたりが要因ですが「魂の叫び」はビートルズの曲をカバーしています。

「自由への疾走」
「自由への疾走」は1993年のヒット曲、レニー・クラヴィッツの代表曲です。発表以来、あちこちで耳に入ってくる曲です。商品も企業も変わりながら現在でもコマーシャルで使用されている曲、今後もそれを繰り返されると思いますが、まるでこの曲で繰り返されるリフみたいです。とにかく、リフがカッコ良いです。同じリフを二本のギターで演奏、もしかしたら三本かもしれませんが、念には念を押して重ねて繰り返されるリフがたまりません。ギター・ソロが一回、その前の余白も良好ですが、とにかく、「自由への疾走」はリフが全てです。たぶん、考えて出てくるのがリフではなくて瞬発力で出てくるのがリフだと思います。確認するとこの曲以来、この曲と同様のリフが印象的な曲は表れていないような気がします。さかのぼるとローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」もリフが印象的ですがそれだけが全てではなく、ヴァン・ヘイレンの「ユー・リアリー・ガット・ミー」も印象的ですが、同様にそれだけではないような気がします。「自由への疾走」はリフが目立つように余計なことをしていないのが良いのかもしれません。因みに「自由への疾走」はグラミー賞の最優秀ロック・ソング賞を受賞しています。



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