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スティッキー・フィンガーズ (名盤014)

「スティッキー・フィンガーズ」

品の無い意味の「スティッキー・フィンガーズ」はローリング・ストーンズが1971年に発表したオリジナル・アルバムですが、一曲目の「ブラウン・シュガー」の晴々とした痛快さは嬉しさのあまり逸脱した言動を連想させるアルバム・タイトルでもありました。とは言え、比較的、ミディアム・テンポの穏やかな曲で占められているアルバムでもあります。また、奥ゆかしい、そんな言葉が浮かんできますが、日本をイメージした「ムーンライト・マイル」がアルバムの最後に配置されていることも関係しているのかもしれません。「ワイルド・ホース」も感情を抑えた美しさがあって、疲れ果てたカウントで始まる「スウェイ」に至っては癒すようなやすらぎもありますが、本作はギャップとバランスの良さも兼ね備えたアルバムです。定番のブルース、フォーク、カントリーもあれば、「キャン・ユー・ヒア・ミー・ノッキング」ではラテンに挑戦、でも、無意識に結果的にそうなったような面白さがあります。付随して冗談みたいな「ユー・ガット・ムーブ」は良好なアクセントになっていますがアルバム・ジャケットの遊び心を連想させる曲でもありました。「スティッキー・フィンガーズ」はいくつかの事柄が有機的に働きかけて全体的にうまくまとまっているアルバムです。

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