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ライトノベル「ロック歌手とこころを朗読する彼女」 第一話 夏目漱石こころ感想

(夏目漱石こころ感想)

こころの奥にしまった秘密を誰にも言えずにあの世まで、と歌うロック歌手がいる。わたしはそのロック歌手が大好きですが、彼の好きな作家が夏目漱石、付随して「こころ」です。

「明治の精神」と先生の関係がわかりませんでした。インターネットで調べても、よくわかりませんでした。結果、遺書にもあるように「時勢の推移から来る人間の相違」と記されていますが、とりあえず、納得し、この関係については後で調べてみることにしました。

「明治の精神」以外にも、なぜ、先生はお嬢さんではなく奥さんに先に結婚したいと伝えたのか?という疑問。これについてはあの時代では珍しくないことがわかりましたが、冒頭の外国人はその後の先生の性格や行動を知っていくと、一緒に居ることが不自然に思えたし、「私」の父親の死よりも先生を優先したこと等が妙に引っかかりました。便利なことに先のようにインターネットで色々なことを調べることができますが、その過程で、先生と「私」が同性愛者であるということに納得させられました。

(下・五十二)の「もし私が亡友に対して〜許してくれたに違いないのです。」、(下・五十四)の「大きな人道の立場から来る愛情よりも〜親切を嬉しがる」、Kを出し抜いたはことではなく、他の秘密を伺わせました。「こころ」はエゴイズムや先の「明治の精神」について語られることが多いですが実の主題は他にもあるようです。この物語の魅力は解り辛さからくる探究心ではないでしょうか?

同性愛者、わたし自身はそれにあてはまりませんが、「少数派の気持ち」、その寂しさの共有、みたいなのは理解ができそうです。同性愛者である「私」に遺書を書いて死ななくてもと思いますが、死ぬ前に理解者を得られたことは先生にとって幸せだったと思います。

先のロック歌手は、俺のこころに火を灯す熱い想いを探す旅さ、と歌っています。本作を初めて読んだこと、あれこれと考え、探究心を刺激させられたことは熱い想いを探す旅だったように思います。あの遺書のように想いの全てを、また、正確に伝えられないのが残念ですが、折角なので次の言葉で締め括りたいと思います。

月が綺麗ですね。(笑)



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