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DrKenDog
2019年12月20日 00:06
うんと昔、僕がまだ歯の抜けた口を大きくあけてひゃらひゃらとなんのことやら判らない歌を歌っていた時代のことだ。東京の実家からうんと離れたどこかに本牧という場所があって、そこに母方の祖父母が住んでいた。板チョコレートのような木のドアを開くと、靴棚のうえの磁器の花瓶に南国の花々が生けられていて、玄関先には埃を吸ったペルシャ絨毯が過去の輝かしい交易とむせるような熱気を忘れたまま横たわっていた。僕は年に四