剣道の上達に必要な考え方

自分も指導している子供たちも、新しい攻め方や構え方、打突方法に変えた後しばらく調子が悪い時期が続き、数ヶ月後に全体のフォームがまとまってグンと調子が良くなるということがよくあります。ある時期は動きと間合い、体の軸などが噛み合わずあまり打てなくなるけどその後急速に冴えのある攻めからの打突ができるようになる感じです。

比較すると失礼になりますが試合など拝見すると全日本クラスの選手の多くもこういった成長段階は当てはまると思います。剣道の技術を一つ向上させようと思うとその技術が高度な故に多くの時間を使うことはしょうがないことだと言えると思います。

とはいえ稽古中、調子が悪い状態が長く続くと面白くはありません。どうしてもその期間いつも打たれなかった機会に、いつも打たれなかった相手に打たれることが以前と比べ増えます。変革が大きい程その度合いは強いものです。この時期にいかに自分と向き合えるか、先生の話を聞いたり本を読んだり、人の動きを観察・分析し工夫できるかは非常に大事なことです。

しかしその努力にも関わらずいくつもの試み、仮説が失敗に終わることもあります。さらに本人の現段階の身体では再現が不可能なことに気づかされることも多くあるでしょう。ほとんどの人はそういった中で難しい、面倒くさい、大変だ、やはり元のスタイルに戻そうと無意識化で思ってしまいます。そして剣道を進歩させたいと考えているにも関わらず元に戻ってしまいます。

一方、そういった中で元のスタイルに捉われず注意深く思考を巡らしながら稽古する者は何が足りないのか、どういう意識が自分にとって重要なのか、だんだん明確な答えが掴めてきます。そして「出来ない」状態から「意識すれば出来る」状態にステップアップします。さらにそのまま意識を続けて稽古をすると「無意識でやれちゃってる」状態になり、ようやく試合や審査といった本番で理想的な動きが出来るようになります。

人の成長、剣道の成長は

・無意識・無能「知らないし出来ない」

↓ (知れば一瞬で)

・有意識・無能「わかってるけど出来ない」

↓ (およそ数週間で)

・有意識・有能「意識できれば出来る」

↓ (およそ数ヶ月で)

・無意識・有能「やれちゃってる」

という段階を踏んでいることを理解するべきだと思います。最初は違和感を感じ、苦しくてもとにかく意識を続けることです。指導者も本人もその間出来ないことを責めないこと、感情的にならず常に良いイメージを持ち続けることが大事です。それさえあれば必ず成長します。出来ないことに対して責めない、叱らない、むしろ楽しむ位の気持ちで稽古できれば必ず無意識の「やれちゃってる」状態は訪れます。

指導者としては、この苦しい時期に言葉や態度で厳しく説明するよりもなるべく「出来る」状態をイメージしやすく、できれば追体験できるような指導・練習方法を工夫することが大事だと思います。そうすることによって苦しい時期を楽しく、集中して短期間にすることも可能だと思います。

そういった練習方法をこちらのnoteの記事でいくつか紹介させて頂いています。これからもさらに少しずつ紹介していこうと思っています。いずれも自分が指導者として実際に子供たちと工夫しながら行い確かな効果を実感したもの、手軽に楽しみながらできるものです。是非道場やご家庭で試して頂き、剣道上達の助けになれればと思っております。

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