きょきょじつじつ
VRやARが我々の生活を脅かしています。
昨日開催された地元の「ふるさとまつり」では、巡回バスで各地を巡るイベントやスタンプラリーなどが開催されました。その中で驚いたのは「ARフォトフレーム」なるものの存在です。
ARとは、ポケモンGOのように、現実世界の中に非現実のものが現れたように見せる技術。拡張現実といわれます。
近年は御朱印帳を持って神社仏閣を訪問する人も多くなっていますが、ARの御朱印はその最先端かもしれません。今回採用されたのは、訪問した場所の御朱印が入ったフォトフレームで写真が撮れるというものです。
しかし、ARフォトフレームはバーチャル空間。虚の世界なのです。バーチャルの御朱印には何のご利益もありません。あるのかもしれませんが、私にはわかりません。恐らく、御朱印を集めている方々は、本物の御朱印を求めるのではないでしょうか。
そう、虚だけでは心を埋めることはできないのです。とはいえ、モノの所有にこだわるのは昭和世代だけかも。
実を求めすぎた結果が今につながっているのでしょうか。現在は虚と実が入り混じった混沌とした状態。虚と実を見分け、必要に応じて使い分けることが重要でしょう。まさに虚虚実実です。
まぁ、御朱印そのものが虚だとも言えますが。
こんな田舎の祭りでさえARフォトフレームが使えることを知り、対抗心を燃やして自分でも作ってみました。来月開催される大会用のARフォトフレームです。利用したのはクラウドサービスのLESSAR。
誰も使ってくれないかもしれませんが……
虚ですね、虚。虚しいの虚。
ちなみに、こんなやつ。(撮影時には紅葉がアニメになっていて動いてます)
虚と実って何だろう?
剣道をしていると、「虚」と「実」について耳にすることがあります。しかし、言葉だけを聞いてもよくわかりません。先ほどの例で考えると……
虚:ARで作り出した御朱印
実:実物の御朱印
つまり、虚に騙されてはいけないということ。しかし、虚を楽しむこともできます。また、頑張れば自身で虚を作り出すこともできるでしょう。しかし、虚だけを見て現実世界に目を背けることはおすすめしません。
昨今はバーチャル世界でお金を稼ぎ、土地を買い、会社を作ることもできるそうです。しかし、どれだけ頑張っても虚は虚。重要なのは虚を使ってでも実を得ることではないでしょうか。
「うそとまことを取り混ぜて、相手の腹を読み合うこと」です。
『虚は実を引く』という言葉もあるように、何が嘘で何が本当なのかわからない状態にできれば、相手の腹も読みやすくなるかもしれません。
虚実の攻め
剣道においては「虚実の攻め」をしなければならないと、耳にタコができるほど聞かされていることでしょう。
しかし、私の特技は忘れること。すぐに意味がわからなくなってしまいます。そこで、忘れないように、少しだけ深堀りしてみました。
どうやら「虚実の攻め」については、紀元前500年頃に書かれた孫子の兵法書に記されているとのこと。
紀元前500年頃から読み続けられている書物です。嘘なわけがありません。
なるほどなるほど。
守っていない虚を打て……と。
いや、ちょっと待って!
そんなに簡単に打てるなら苦労しないんですけど!?
わかります、わかります。あなたの言いたいことはとてもよくわかります。
「虚だと思って打っても当たらないじゃん!」
ということですよね。
どうして当たらないのか?
それは、打ったときには虚ではなくなっているからです。火を見るよりも明らか。時間は刻々と流れ、状況も常に変化していきます。虚であったところが、いつまでも虚であるはずはありません。
ARで作り出した御朱印は永遠に虚ですが、剣道における虚は刹那的なもの。打とうと思った瞬間には実になっていて打てないことの方が多いでしょう。
虚は実に、実は虚に。常に変化し続けているため、虚を見つけてから打っていては、すでに遅いのです。
孫子さんよ、これって無理ゲーじゃね?
わかります。わかります。孫子に文句を言いたい気持ちはよ~くわかるのですが、ここは何とかこらえてください。
すでにお気づきのことと思いますが、上級者になればなるほど、虚のまま留まっている時間は短く、虚と実は激しく変化し続けます。
では、どうすれば虚を打てるのか……
虚を作って打て
結論は、自ら相手の虚を作り出して打つ必要があるということ。
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