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ちょっとした気配り

学生時代に何度か合宿を経験したことがあります。学校の中に合宿施設があり、1週間ほど寝泊まりしました。私は寮生活をしていたので、普段と大きく変わった生活ではなかったのですが、それなりに楽しかったです。

ちなみに、寮の隣に合宿施設がありました。本当に隣の建物なので、部屋移動の感覚です。

寮と違ったのは、トイレの使い方。合宿所のトイレにはトイレ用の下駄が用意されていたのですが、いつ見ても揃っていません。残念ながら、剣道部のレベルがよくわかります。

しかたがないので、毎回トイレを出る時には全ての下駄を揃えていました。「やれやれ、お前らしょうがない奴らだな」と思いながら。めんどうなので、他の部員に注意することもなく。もちろん、誰かに褒めてもらいたいとか、そういうこと気持ちはこれっぽっち(東京ドーム10個分くらい)もありませんでした。

誰も見ていないと思っていましたし、逆に見られているところでは恥ずかしくてできなかったのではないかと思います。基本的にシャイなので。上弦の肆・半天狗くらいシャイです。

当時は、とにかく誰からも見つからないように下駄を揃えることに必死でした。
 

見られてた……
 

引退試合の後、顧問の先生の話がありました。話の中に、忘れかけていた合宿所のトイレの話が。どうやら、合宿所のトイレで下駄を揃えていたのを先生には見られていたようです。

褒めて欲しくてやっていたわけではなかったのですが、「見ている人は見ているんだな」と。なぜか涙がポロポロと。

看脚下かんきゃっかという言葉あります。暗い夜道でも躓かないように足元をよく見て歩けという禅の言葉。学校では「履物を揃えましょう」くらいの意味合いで書かれていることもあるかもしれません。

そんな崇高な志があるわけではないのですが、何となく気持ち悪いというだけで下駄を揃えていました。ちょっとした気配りというわけでもありません。しかし、履物を揃えることで、歩く道を照らしてくれるのなら、なおヨシ!

ちなみに、私は何もないフロアでもよくつまづきます。下を向いて歩いていても躓くのでどうしようもありません。

躓き続けた結果を一冊にまとめたものがこちらの書籍です。

愛知で開催された七段審査の寸評を読もう

六段以上の昇段審査は合格者がインターネットで公開される仕組みです。土日に審査が開催された場合、翌週の水曜日には公表されています。全剣連は仕事が早いですね。

水曜日に合格者が公開されることで、多くの人がアクセスするに違いありません。受審した本人も、知り合いが受審したという人も、関係のない人も……

実は、このページには重要な情報が記載されることを知っているでしょうか?しかも、合格者の発表とは記載時期がズレるので、なかなか見る機会がないかもしれません。

しかし、重要な情報なのです。正に

「刮目せよ!」

と言わねばなりません。それくらい重要。以前も触れたことがありましたが、「審査員の寸評」を見ていただきたいと思います。5月に開催された昇段審査の審査会結果のページです。

七段審査でも着装を指摘される?

審査員の寸評を読んでいただけたでしょうか?合格率は最近にしては少し低めの数値となっていますが、前向きな表現が多くなっています。褒め褒め作戦に違いありません。

褒めて、褒めて、「オレももうちょっとだったか」と良い気分にさせておいて……
最後にどん底に落とすパターン。気になったのは後半部分です。

七・六段という高段位の受審者の中に面紐の長い方や、胴紐の縦結びの方が数人おられたのは誠に残念に感じました。これらはちょっとした気配りで日ごろから稽古仲間でお互いに直していくことが望まれます。

剣道七段審査会(愛知)

間違いではありません。初段、二段の受審者ではなく、六段・七段受審者の話です。半天狗が炭次郎に見つかって「ヒィィ~」と驚いているときの表情で読んでしまいました。

「手拭いは白色じゃないと駄目」とか「色胴は駄目」とか言っている場合ではありません。むしろ、そっちはどうでも良い話。面紐・胴紐が結べない人、審査前に長さを確認していない人が意外と多いというのは問題です。

「面紐?そんなのどうでもいいやん!それよりも技術的なことの方が重要でしょ?」

そんな風に思っている方も多いようです。実際、私がいつも稽古をしているところでも四段以下の人の面紐はかなりバラバラ、長い印象を受けます。五段以上の方でも、チラホラ。

あまりにも酷い人には忠告します。あと、滅多に見ませんが縦結びの人。縦結びの人は結び直しても縦結びだったりするので、根本的に解決しなければなりません。

ちなみに、縦結びは逆さ事、故人の衣装の着方なのです。
ですから、闘う前から……

という状態。そんなことで良いのでしょうか?

それから、面紐を後頭部の中央で結べない人もいます。結び目が右に寄ってしまう人や左に寄ってしまう人。中には面紐が捻じれまくって「コークスクリューin長島スパーランド」状態の人も。

ちょっとした気配り

着装はほとんどが意識の問題です。ちょっとした気配りができるか否か。審査寸評にもそう書かれていました。きちんと着装ができていないのに、戦場に向かうとは、どういう心理なのでしょうか?

特に、剣道は『見た目と段位は比例する』と言われます。

昇段審査を受ける前にはそれなりの準備をする人が多いはず。立ち合いでは自分の力が100%出せるように、前もって剣道具、剣道着を用意する人も多いと思います。当日使用する竹刀や手拭いまで決めている人も多いでしょう。

しかし、面紐の長さや結び方には無頓着な人が多いのは驚きです。

稽古のときも、常に立ち合いのつもりで着装にも気を遣ってみてはいかがでしょうか。

偉そうに書いている私ですが、残念ながらよく胴紐がほどけます。親の仇くらいの力で結んでいるのですが、それでもほどけるのです。今のところ、少し湿らせるしか方法が見つかっていません。何か良い方法があれば教えてください。

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