2年生の「規矩術演習」が始まりました
今年も2年生の規矩術演習が始まりました。これまで学んだことを思い出しながら、伝統的な大工技術の課題「朝顔箱」「風呂イス」「四方転び踏み台」「化粧棒隅木」の製作に全員が挑戦します。各自の手道具の状態が毎回厳しく問われる緊張感に満ちた授業です。7月26日(金)の第一回は毛引きを使って桝を作製しました=写真。
東京建築カレッジは、「日本における建築の基本は木造にある」という考え方で、伝統的な大工技術を通して建築のエッセンス(本質)を体得する授業をカリキュラムの根幹においています。
1年生後期に原寸大の「実習棟」(木造軸組み構法:1階は伝統構法、2階は在来構法)を手刻みでつくる授業や、2年生の後期の規矩(きく)術演習では、今の新築現場ではほとんど使われなくなった手道具、特に鑿や鉋など刃物の砥ぎ(研ぎ)の練習をセットで学習します。図面通りに正確で精度の高いものづくりのためには何が大切か、自覚を高める内容です。
「ボード張りとか丸のこの実践的な使い方とか、現場で役立つことから教えては。そのほうが人材育成は手っ取り早い」という意見を時々聞きますが、「手わざの基本がしっかり身についてこそ、あらゆる建築の作業を正確にこなすことのできる建築技能労働者が育てられるのではないか、現場だけでは教えられないことを粘り強く教えていく基礎教育が今、必要だ」と私たちは考えています。毎年次の研修生たちの個性と向き合いながら「より良い教育はどのようなものか」、日々、先生同士や先生と事務局・教務は悩みながら、一人一人の成長に向けて全力で取り組んでいます。
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