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#8 デ・キリコ展に行ってきた 

 先日、上野の東京都美術館で8/29まで開催されているデ・キリコ展に行ってきた。
絵画もとい、美術に関しては全くの素人であるがそれでもとても面白く、さらになんとも不思議な体験をしたので、それを記していきたい。

ネットなどでデ・キリコと検索するとまず出てくるのが「形而上絵画」と呼ばれる作品たちが出てくる。その独特な背景や歪んだ遠近法などパッと見ただけでは理解できない独特な雰囲気がある。
勿論私もこの絵に引き込まれデ・キリコ展に行こうと決意した。
美術に関して素人である私はデ・キリコという人物を知らなかったし、形而上絵画など知る由もなかった。

預言者
デ・キリコの代表作の一つ

引力の強い画

 私はこの形而上絵画を目的(というかこれしか知らなかった)として行ったがデ・キリコの魅力はこの形而上絵画だけでは無かった。
彼のことを調べるとどうしても形而上絵画に関しての記述ばかりが出てくるが実は自画像を何百枚も描いていたり、いわゆる我々がイメージする伝統的な絵画を何枚も残している。
今回のデ・キリコ展ではその作風の流れを追いながら観ることができ、どういう経緯で変わっていったのか歴史的背景共に探ることが出来る。

その中でもやはり代表作の形而上絵画は印象に残っている。屋内屋外の境界線が曖昧で3次元を無理やり平面に押し込んだような道具など、観る人によって大きく印象が変わると思う。絵の中に描かれているものは全て実在している物なのだが、作品を通して観ると「そこに在るのに無い」という不思議な感覚に陥った。

実在するモデルを観ながら描いていったような雰囲気を感じるのだが、そこに在る絵は「存在していないものを描いた」という印象を受けた。

上に載せている預言者を例に出すと、こちらを向いている腕のないマネキン、平面に押し込められた机と椅子、床を見ると屋内だが、背景に目を向けると屋根や塔が在ることから屋外、更には屋上の様にも見える。
一つ一つを切り取ると確かにそこに在る。私たちも観た事がある、イメージできるものばかりだが、一枚の絵になると夢の中の風景のように受け取れる。観る尺度によって印象が大きく変わるという不思議な感覚に陥る。

最後に

形而上絵画と検索し、引用をしようと思ったが正直全く分からなかったので引用などは載せない事にする。興味ある方は是非調べて欲しい
私は形而上学入門を読んで絶賛勉強中だ。
 今回デ・キリコ展にいって感じたのは美術は時代と結びつている事だ。
デ・キリコの作品は過去2回の世界大戦前後で大きく絵の特徴が変化している。それが何を意味するのか、何を伝えようとしたのかそれを知る為には歴史を知らなければいけない。知った上で自分なりの意味を感じる必要があると感じた。
私が形而上学を学ぼうと思ったのもそう言った背景がある。
 
東京都美術館のデ・キリコ展は終了してしまったが、神戸市立博物館で9月14日から開催予定だ。関西圏の方は特に、以外の地域の人も行く価値がある展示会だと思うので是非自分の目で見て、形而上の世界を感じて欲しい。

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