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取材Vol.7/「ストップしてもいつでも再開できる。それが魅力」医療・ウェディングライターnobi-nonさん

ライターがライターに取材するがコンセプトの『見聞図書館』。

2020年夏、コロナの影響かWebライターになろうとする人が増加しているとかいないとか。これからWebライターを目指す方に、すでに活躍されているライターさんの日常をお届けします。

今回は、医療ライターのnobi-nonさんを取材しました。兼業ライターとして活動を始められ、半年ほど前に専業ライターになられたnobi-nonさん。そして、現在ご懐妊中です。

「妊娠や出産でキャリアがストップしても続けやすい。それがWebライターの魅力だ」と語る彼女は、どのような働き方で妊娠初期を過ごしたのでしょうか。

夏にまつわる質問を皮切りに、nobi-nonさんのライターとしての気質にせまりました。

nobi-nonさんのプロフィール

nobi-nonさんプロフ

「私は津軽人」とおっしゃるnobi-nonさん。青森県青森市で生まれ育ったアラサー世代です。将来について考え始める高校生のときに、ゆとり教育が導入された世代でもあります。

ゆとり教育の代表である「総合学習」を通じて、世の中には多種多様な職業があると知ったnobi-nonさん。選んだ職業は『臨床検査技師』でした。検査をすることで病気を早く見つけられる、と総合病院に就職。バリバリとキャリアを積み、その後、結婚を機にキャリアをゆるめます。

その時に知ったのがWebライターの世界でした。1年ほどの兼業ライター期間を経て、半年前に専業ライターとして独立。現在は、「分かりやすい記事を提供する」をモットーに医療・ウェディングライターとしてご活躍中です。

ブログ:nobi-non blog
Twitterアカウント:@nobi_nonchan

学生時代にした馬鹿も今ではキラキラ輝くエピソードに

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画像:写真ACより

──学生時代の『夏』の思い出を教えてください。

一番の思い出は高校の部活動、吹奏楽部での出来事です。北国の学校なので教室に冷房がついておらず、音もれを防ぐために窓を閉めて練習するように顧問から言われていました。夏はコンクール直前で、練習に熱が入る時期。とはいえ、窓を閉めているから暑いんですね。それでも我慢して、一生懸命に練習していました。

そんなある日、部員の一人が家からかき氷器とシロップを持ってきたんです。アイスの差し入れはありだけど、かき氷器を学校に持ってくるなんて!とみんなびっくりしていました。でも、せっかくあるんだからかき氷を作って楽しみたい。それで、休憩時間のチャイムと同時に、氷を買いにコンビニへ走り出したのを今でも覚えています。

ストイックに練習していたのに、かき氷器の登場でみんな、かき氷が食べたくてしかたがなくなって。氷をほおばりながら、おかしくて笑いが止まりませんでした。思春期特有の馬鹿をやったな、と強く印象に残っています。今でもかき氷を見ると、当時のことを思い出しますね。

私の中の津軽の気質とライターと

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画像:東北の観光・旅行情報サイト「旅東北」フォトライブラリー「青森ねぶた祭」より

──青森は夏が短い印象が強いのですが、実際にはどうなんでしょうか?

とても短いですね。生まれ育った津軽では、冬が一年の半分くらい。だからなのか、夏になると「満喫しなくちゃ!」という焦燥感みたいなものを覚えます。

冬になると、横断歩道の歩行者用信号にポンと触れるぐらい雪が降り積もりますね。歩道が雪で埋もれてしまうので、雪かきすると、自分の身長より高い山が脇にずらーっとできるほどです。なので、冬場は自転車に乗れず、車移動がほとんど。 

そんな状態なので、自然だからどうしようもない、自然には逆らえないなと思っています。ポジティブに言い換えれば、我慢強いんだと思います。私だけでなく津軽の人には「自然とは共存しないとやっていけないよね」という思いがあるのではないでしょうか。

台風が来て漁や農作物がダメになったら、怒りやがっかりすることはあります。でも、落ち込んでばかりいても何も変わらない。次があると考えて、前に踏み出すしかないんです。

──精神的な強さを感じますね。

自然のすごさを目の当たりにしてるからかもしれませんね。雪が降って自由が利かなくなっても、我慢するしかない。でも、我慢ばかりしてるとストレスが貯まります。なので、ちゃんと発散もします。その方法の一つが、意見交換ですね。はたから見ると、喧嘩しているように見えるようです(笑)

直接相手に「あなたのこういうところが良くないと思う」とか。職場でも「そういう業務は無駄だと思うから変えたほうが良いと思う」といった意見を平気で出し合います。喧嘩ではないので、翌日にはお互いにケロッとしていますよ。

反対に南部地方では、日照時間が長いせいか物腰の柔らかい方が多い気がします。私は津軽の気質があるため、南部の人たちの輪の中に入ると「なんだ? そんなにピリピリしなくても」と思われることがあるようです。

──ハッキリと意見できるのはライターとしても良いことだと思うのですが、ライター活動でご自身の気質の影響を感じることはありますか? あれば、どんなところか教えてください。

ありますね。自分の思いを率直かつ積極的に言葉にするところです(笑)

具体的にいうと、クライアントさんに「こうしたらもっとよくなると思うんですが、どうでしょう」とすぐ提案しちゃう。「元の方針のままでお願いします」と言われる場合もありますし、「その提案、良いですね」と受け入れられる場合もあって、どちらの結果になっても提案して良かったと思えます。良い意味で、気質がライター業に活かされている気がします。

Webライターにシフトしたら、それまでのキャリアが強みになった

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画像:写真ACより

──元々は臨床検査技師として働いていたそうですが、なぜWebライターになったのですか?

結婚を機に、6年務めた臨床検査技師の職から退いたのですが、再びパートとして働き始めて物足りなさを感じたからですね。

最初の臨床検査技師のときは、新卒で病院勤務を始めたので、経験を積んで専門性をどんどん深めようと思っていました。血液検査の担当で、週末はスキルアップのため積極的に学会や研修会へ参加する日々。2年目からは新人教育、5年目になると検査室内の人事にも関わるなど仕事中心の生活を送っていました。

そんな中、結婚が決まり、一時は専業主婦に。当初は専業主婦で過ごす予定だったのですが、暇を持て余すようになり、「働いていない」と罪悪感まで抱くようになりました。そこで、臨床検査技師のパートに出ることにしたんです。

パートとして働き出したものの、臨床検査技師が何十人も働いているような病院だったこともあり、パートという立場上まかされる仕事も限られて前の職場ほどの忙しさが全くなくて。物足りなくなって、自宅でできる仕事はないかと探して見つけたのが、クラウドソーシングでのWebライターの仕事だったのです。見つけたときは、家事もできるし、仕事にも打ち込めると嬉しかったです。

──Webライターの仕事をしてみて、どのように感じられましたか?

臨床検査技師としてのキャリアが活きると強く感じました。臨床検査技師の「検査で得られたデータを根拠に所見を書く」スキルが、記事を書くために必要なスキル。

臨床検査技師では、断定的ではなく「~かもしれない」という表現方法を用いることも多かったため、医療ライターとして良い言い回しができているとも感じています。

妊娠してからWebライターを続けると決めるまで

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画像:写真ACより

──ご懐妊おめでとうございます。妊娠されてから、ご自身の体や心の面で変化を感じたことはありますか?

病院での勤務時代に、同僚が臨月まで働いていたので妊婦の大変さはわかっているつもりでしたが、実際に妊娠してみると私には想像をこえる大変さでした。

入院する必要はなかったんですが、嘔吐で喉から血が出るほどのつわりがとてもつらかったです。頻繁な嘔吐でトイレに行くのも間に合わないから、トイレの横で寝たこともあります。安定期に入ったら体調が落ち着くかなと期待していたんですが、意外に疲れやすいと感じています。

ライターの仕事を再開させていただいたものの、稼働時間が半分ぐらいになっています。クライアントさんからは「記事数が減ってもいいから質を保ってほしい」とお声をいただいていますので、本数を減らして対応させていただいています。

質の良い記事を書くにはリサーチに時間がかかります。私は、専門用語を使うことなく平易な文章で記事を書きたいと強く思うため、どのように表現すれば分かりやすいかなと推敲にも時間がかかるんです。

もっと書きたい、という気持ちがありつつ、できないジレンマがあります。でも身体を大切にしなくちゃ、何かあってからじゃ遅いんです。

やりたいけどやれない、でもしょうがないよね、と自分で自分を納得させるまでが精神的に大変でした。どれを取ってどれを取らないか、決めるまで何日も悩みました。

──ライターとして、今後はどのような展開を予定されていますか?

今回、つわりで急に具合が悪くなり、そこに切迫流産も重なって、動かずに寝ていた時期がありました。その時は、どうしても急にごめんなさいになったんです。

だから、今後は急なキャンセルは絶対に避けたくて、納品本数を減らす対応もしました。クライアントさんにとって、急に納品できなくなるケースが一番困ると思うので。臨月に入る11月から産休に入ると宣言しています。

出産後は保育園に預けて再開するつもりですが、今、コロナの影響で先が見えなくて。入園許可がでても、家で見られるのなら見てください、と言われることもあるらしいんです。自主的に登園させないお母さま方もいらっしゃるらしくて、そういうのを聞いたら、保育園に入れれば仕事再開とは安易に考えられないんだと思っています。

「復帰はかなり先になるかもしれません」とクライアントさんにお伝えしたところ、皆さん良心的で、「戻ってくるときに声をかけてください」と言ってくださいました。ありがたい限りです。

100%安心ではないけれど、絶望感MAXではないです。専業化して半年ほどですが、何とかなってきたから今後も何とかなるんじゃないかな、と思います。

言い方が悪いかもしれないけれど、ライター業っていつでも始められるし、いつでもストップできる。それが魅力です。だからこそ、妊娠や出産とかで一度キャリアが止まっても再開させやすいと思っています。

取材後記

取材をしてみて、nobi-nonさんの自然体なところがとても印象に残りました。できないことをできないと納得されている。だからこそ、できることに対して自然体で全力を出せる方だと思います。

自分で自分を納得させるまで精神的に大変だったとおっしゃっていましたが、全くその通りだと思います。そこにも、自然な一本の軸を感じました。

私は詰め込み教育を受けたため頑張るのが当たり前になっていて、できないという選択肢がありませんでした。nobi-nonさんに取材して、新しい視点を持てました。

記事にはしませんでしたが、取材では青森ねぶた祭りの魅力をたっぷりと聞かせていただきました。地元への愛情の深さを感じてキュンとなり、楽しかったです。いつか必ずお祭りに行きます。

そして、お母さんになったnobi-nonさんのますますのご活躍に期待しています。どうもありがとうございました。

取材者プロフィール

大杉オレンジプロフ

大杉おれんじ

大阪市で生まれ育った54歳(取材当時)。夫が心不全で働けなくなったため、本業の給料だけでは不安になり、2018年春に副業でWebライターを始める。現在は、本業が忙しく、副業ライターは休憩中。

将来的に自分のメディアを作り、そこでインタビュー記事を載せたくて、見聞図書館に参画。nobi-nonさんと、館長の浜田みかさん、副館長の本田もみじさんに感謝申し上げる。

Twitter:@4150orange2017

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