シリーズA【5億円調達】VerticalSaaS立ち上げ〜シリーズAまでの開発裏側
こんにちは。不動産・建築DXプラットフォームの「PICKFORM」を提供する株式会社PICK(以下PICK)でCTOを務めている林です。
この度、PICKはシリーズAラウンドにて、累計5億円の資金調達を実施しました。
プレスリリースでも触れている通り、今後2年で7つのプロダクト開発を行っていきます。
この記事では、「PICKがシード〜シリーズAまでどのような技術に挑戦してきたのか」「今後のPICKがなぜ面白いのか」の2点を紹介します。
自己紹介
■インターンから始まったエンジニアとしてのキャリア
2016年に株式会社スペースマケットにてエンジニアインターンを経験。 2018年にヤフー株式会社に新卒入社。Y!mobileパケットマイレージサービスのマイクロサービス化を担当。その後、 株式会社スリーシェイクに入社しリーダーとして2つの事業の立ち上げに従事。 2022年、株式会社PICKにEMとして入社。不動産・建築DXプラットフォームの立ち上げをリード。2022年5月にCTOに就任。
■プロダクト作りへの思いと、PICKにジョインした理由
私が開発において大切にしていることは、「ユーザーと向き合ったプロダクト開発」がしたいという思いです。
思いが芽生えたきっかけは、学生時代のインターンでの経験です。インターンをしていた企業は作ったものへのフィードバックをすぐに貰える環境でした。初めの頃は、CSから上がって来たバグを治すということを繰り返していました。業務を続けていく中で、CSがユーザーから感謝されていたり、時にはお叱りを受けている様子を間近で見聞きするうちに、自分が開発しているプロダクトが直接ユーザーに届いているという実感を持ち、次第に強い責任感とやりがいを感じるようになりました。
その後に2社でプロダクト開発を経験するうちに、より裁量を持ってビジネスに関わることができる小さなフェーズかつユーザーの意見を汲み取りやすいtoBのプロダクトへの関心が高まりました。
ジョインした当時のPICKにプロダクトはまだ無かったのですが、代表を初めとして不動産・建築営業の経験がある社員が多いということもあり、社員全員がユーザーとなる不動産・建築会社の視点に立った開発を大事にしていたいという思いを持っていました。その思いを形にできるような「ユーザーと向き合った開発チームを作りたい」と思ったのがPICKにジョインを決めた理由です。
詳しくは、以下のインタビュー記事を御覧ください。
2. PICKは何をやっている会社なのか
■一言で言うと「不動産・建築業界に特化したSaaS企業」
PICKは不動産・建築のDXツールを開発・運営・提供しています。
いわゆるVertical SaaSと言われるビジネスモデルに分類される企業になるかと思いますが、
不動産・建設(建築・土木)は合わせると約100兆円の市場規模であるため、業界特化といえどもポテンシャルは大きいです。
我々はこの業界のあらゆる業務フローを効率化して、PURPOSEである「住を豊かに」の実現を目指しています。
※ 「どんな課題と向き合っているか?」が気になる方は代表普家(フケ)のnoteをご覧ください。
■具体的にどのようなプロダクトを作っているのか
初めにローンチしたのが、不動産特化の電子契約サービスの「PICKFORM電子契約」です。
その後は、契約に関する資料を格納できる「PICKFORM案件管理」をローンチしました。
これらに続くサービスを、2年で7つリリース予定です。
※ 「マーケティング戦略」が気になる方は執行役員CRO 阿部(アベ)のnoteをご覧ください。
■ドメイン知識を元にした精度の高い仮説検証を行っている
PICKは不動産・建築業界の業界経験者とSaaS・IT企業経験者で構成されている会社です。
業界経験者が多く在籍しており、現場の理解が深いのでプロダクト開発段階での仮説の精度が高く、効果的な仮説検証を実現できています。
最近では、開発に乗せる前段階のモックで社内ヒアリングを行い、より仮説精度を高める試みも行っています。
プロダクトのアップデートは、ご意見箱というSlackチャンネルを設けていて、営業やCSが自発的にプロダクトに対してのフィードバックを投稿できる環境になっています。具体的には、「〇〇のアップロードをする時に1ファイルずつアップロードするのが大変」や「契約内容を間違えて署名してしまい、やり直すのが大変」などあります。実際にこれらの意見を元にして、一括アップロード機能や、複製機能のアップデートを行いました。
業界経験者の深いユーザー理解と、ユーザーに寄り添ったプロダクトを開発できるチームによってお互い尊重し合ってより良いプロダクト開発を進めています。
3. シード期〜シリーズAまでの開発
■1人目のエンジニアとしてのジョイン
2022年、私がジョインしたタイミングでは、まだプロダクトがありませんでした。そのため、まずはプロダクト開発を行う土台作りから始めました。初めに取り組んだこととしては、要件定義とワイヤー作成、開発環境構築でした。
要件が曖昧な部分は、CPO藤井と一緒に詰めつつ、並行でFigmaでワイヤー作成をし、その裏でフロントエンド, バックエンド, インフラの開発環境構築をしてエンジニアを受け入れたタイミングでワークする状態を準備しました。
その中でどうしてもFigmaのワイヤー作成に関しては手が回らず、CPO藤井に依頼した所、経験が無いのにも関わらず快く受け入れてくれました。
要件・開発環境準備がある程度整ったタイミングで業務委託メンバーをアサインし、開発をスタートしました。
開発要件の試行錯誤を経て、2022年5月18日15時に不動産電子契約サービスの提供を開始することができました。
■電子署名機能の内製化という挑戦
不動産電子契約サービスのリリース後に、機能拡大のためにSDKの連携で他社の電子署名機能を入れることを検討していました。しかし、その場合はユーザーが操作の途中で他のサービスへ遷移したり、契約書を保存する為に複数アカウントを作成する必要があり、ユーザー体験が損なわれるという懸念がありました。加えて、利益構造が悪くなるので価格を上げる必要性も出てきます。
また、宅建業法の求める法的要件に素早く対応できなくなる懸念点があることも浮き彫りになってきました。
これらの経緯から、PICKは「電子署名機能の内製化」を選択し、自分達で電子署名機能の開発を開始しました。
電子署名は技術難易度の高い領域かつ、フロントエンド・バックエンド・インフラの領域に跨がった知識と開発力が必要とされました。
チームメンバーそれぞれの強みを活かし、セキュリティを担保しつつスピーディにプロダクト開発を進めました。その結果、エンタープライズの企業様に導入していただけるセキュリティ基準も担保することができています。
加えて、安定性を担保する為に、バックエンドに関しては全てのエンドポイントに対してユースケース網羅でE2Eテストを記述しています。
品質担保戦略については、こちらの勉強会発表資料をご覧ください。
■エンジニアチームのカルチャーの醸成
PICKのチームでは、品質を大切にしています。
プロダクトの開発時には、品質観点でPRレビューを実施しており、一定の品質を満たさないとプロダクトに反映できないルールとしています。さらに、スプリントの終わりに、アーキテクチャに関する議論をする場を設けて、必要なものは優先度を付けチケット化しています。
過去には、フロントエンド側の開発において、既存のコンポーネントとデザインの間に差異が生じました。その結果、新機能追加時のデザインが、新規のものなのか既存機能への追加なのかの判別が困難になるという事象が発生しました。そこで、コンポーネント整理のプロジェクトを立てて、週次でエンジニア・デザイナーで密にコミュニケーションを取り、数ヶ月かけてAtomicDesignの整理を行いました。この結果、今ではStorybook, Chromaticといった仕組みも整理され、AtomicDesignが機能するようになりました。
もう1つ大切にしているのは、ユーザー目線・ビジネス目線でプロダクト開発をすることです。エンジニアリングは手段であり、提供価値を最大化する為にはユーザー・ビジネスの視点でどのようにするべきかの視点を持てるかが重要だと考えています。
この考えが強いチームであれば、ビジネス側の仮説をより精度の高い形でユーザーに届けることができるはずです。
■フルスタックなチームを組成
現在、エンジニア6名体制で開発を行っています。
使用している言語がTypeScriptということもあり、そのメンバーのほとんどがフロントエンド・バックエンドフルスタックに開発を行っています。
2番目にジョインしたエンジニアは、入社時はフロントエンドエンジニアでした。しかし、バックエンドエンジニアとしても活躍したいというWillがあったため、バックエンドのタスクを徐々に任せていきました。その結果、現在ではフルスタックエンジニアとして活躍しています。このように、本人のWillを応援してチームとして成長するカルチャーがあります。
4. 成長を見据えた技術選定
以下の2点を軸とし技術選定しました。
■事業モデルに合っているか?
事業モデルがtoCの場合は、急激にユーザーの増加が生まれる為、パフォーマンスと急激なスケーラビリティも重要な要素になってきます。
一方で、PICKの事業モデルはtoBであり、利用企業の増加に伴って利用ユーザーが増えるといった構造である為、ユーザーの増加率は事前に予測することが可能です。
加えて、限られた資本で新規市場へのサービスを提供する為、サービスのテストと改善を高速に繰り返す必要があります。■エンジニア採用に繋がるか?
これらを踏まえて、性能面よりもデリバリーの方が優先度が高いと判断をしました。加えて、ドメインが複雑かつ、突発的なスケーラビリティに耐えうる必要性が薄い、ReadHeavyになる要素が無い為、RDBを採用しました。
■エンジニア採用に繋がるか?
事業をスケールするに当たって、仲間をいかに増やすかが重要です。その上で、「その技術をもつエンジニアが市場にどれくらい存在するか?」「自分や他のエンジニアがその技術を触ってワクワクするか?」という2点を大切にしています。
モダンな技術であれば、それをキャッチアップする感度の高いエンジニアに興味を持ってもらえますし、自ら学ぶ姿勢を大切にしているエンジニアと一緒に働きたいと考えています。
CTOである私自身、フルスタックにエンジニアリングを経験しており、今もエンジニアリングに触れているからこそ、まず自分が開発する時にワクワクするか?を大切に技術選定を行っており、それが採用にも繋がると考えています。
5. 今のPICKに入社すると面白い理由
■コアメンバーとして組織創りに参加できる
PICKのプロダクトが急成長しているため、開発チームを絶賛強化中です!
現在、かなりのスピードで新機能が増えてきており、開発チームで担う範囲が増え続けています。それに伴って必要なポジションも増えるため、Willに合わせたキャリアパスを用意できるフェーズです。
PICKの開発組織もまだ成長段階にあるため、整備できていない部分もありますし、整備されていたものが機能しなくなるといったこともあります。
そんな少し混沌とした環境ではありますが、能動的に動いていける方であれば、結果が出やすく楽しめる環境だと思います。
■新規プロダクト開発に参加できる
資金調達に伴い、今後の2年間で7つのプロダクト開発を行う計画です。現在、エンジニア6名の1チーム体制ですが、今後はエンジニア組織の拡大をし、より開発を加速させる予定です。
PICKでは、いかに高速に仮説検証を回せるか?といった観点を大切にしており、スクラム開発を採用しています。職種はあくまでも役割であり、チームみんながユーザーにより良い体験を届けるという目的意識を持って開発をしています。
■絶賛採用強化中です!
現在、PICKでは各部署にて仲間を募集しており、採用活動を行っております。
資金調達にて、いよいよ拡大フェーズに入ったPICKの技術・ビジネスへご興味ある方は是非ご連絡下さい。
記事を読んで少しでも興味を持っていただいた方、カジュアル面談しましょう!
【カジュアル面談のお申し込みはこちらから】
林(Pitta): https://pitta.me/matches/VmWryrYoxXhi
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【PICK採用サイト】
https://water-column-db0.notion.site/PICK-1f9313b62ee94a42b8ffff2d04b21dc1
■資金調達イベントについて
軽いトークイベント+お酒と食事を嗜む緩い会です(笑)
資金調達記念イベントとして、9/19(木)19時〜21時にPICKの目黒オフィスで交流会を開催します。少しでもPICKに興味をお持ちいただけた方はお気軽にお越しください。
軽いトークセッションと軽食・お酒・ソフトドリンクもご用意しております。
申し込みページ:https://pick.connpass.com/event/328899/
■勉強会について
テックリードの悩みを解決するGraphQLの話
09/13(金) 19:30 ~ 21:15に株式会社estieさんのオフィスにて、勉強会を開催します。PICKからはCTO林とエンジニア重本が登壇します。
GraphQLに興味のある方は是非ご参加ください。
申し込みページ:https://estie.connpass.com/event/328999/