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手先ばかり使ってしまう
人間というのはすごく器用な生き物です。
特に手先は他の生き物の追従を許さないレベルで細かく使えます。
それゆえ手先の動きが何にも増して優勢に働きます。
しかしいい事ばかりでもありません。
例えば前腕を捻る動き、回内と回外があるのですが、この動きを手首側ばかりで行ってしまうようになります。
前腕は橈骨と尺骨の2本の骨で構成されていて、橈骨側が回転の動作に関わってきます。
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この丸印のついた部分が回転して回内、回外の動きが起こります。
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手先ばかり使ってるとこの手首側の方で前腕を捻ろうとしてしまいます。手の骨は細かい骨が連結されててその大半が橈骨と接しています。
肘側の方で前腕が回る分には上腕、肩と力の伝達がスムーズに行われるのですが、手首側で前腕を回してると肘が逃げて、上腕、肩への力の伝達が逃げてしまいます。
前腕を内側に捻った時に外に肘がくの字に大きく逃げる人は手首側が優勢で捻るクセがあります。
力をさほど使わない動きならそこまで気にならないと思いますが、重いものを扱ったり、力の入る動作をした時には肩等への負担が強くなります。
肩甲骨の動きが悪い人は上腕骨がちゃんと回らない人が多いのですが、それも前腕がちゃんと動いてない事から上腕骨に力が上手く伝わらないってのも関係があります。
試しに手首を内側に捻った状態で肘を曲げて肩回ししてみてくると、肩から鎖骨にかけてが窮屈で回しづらいと思います。
次に橈骨の肘側から内側に前腕を捻ってから肘を曲げて肩回ししてみてください。先程よりも楽に肩が動かせると思います。
手先が器用になりすぎたおかげで、身体の動きの連動が希薄になっているのが我々現代人。
身体の中心に近い所、深い所まで連動させるには手先の器用さは邪魔になります。
動物はそれほど器用に動かないからこそ、動きの連動がしっかりとしています。
人間の動きは先端、末端から始まる動きが多いですが、それを上手く繋げられるかどうかは現代の便利な環境では意識しないと難しいですね。
手や指、手首の痛みなどが出る人は、最初は手先ばかりの動きで中心に近い部分の動きを出せなくなり、それから肩や首、腰など中心に近い部分の動作不足が手先まで返ってきて壊れてる感じです。
自由に器用に動けばいいってもんではないんですね。人間の身体は面白くも難しいです。