9年前の冬の話(今は2021年)
「実家の私の部屋には天井からベルトを吊るしてあるの。いつでも死ねるようにしておくと安心できたから。」
それを聞かされた俺はどんな表情をしていたのかは当然自分ではわからない。
煙草をもみ消してゆっくりと煙を吐いてから換気扇のスイッチを切った。
彼女が待つ布団に潜り込みもう一度キスからはじめる。
-どんな返事をするのがベストなのか、彼女は一体俺に何を言って欲しいのか、夜は長い、その内に見つかる。
そう自分に言い聞かせ俺は朝日が差すのを待っていた。
醜く獣のような行為と反して冷え切