日本経済新聞の記事の「人生100年」

日本経済新聞の記事の「人生100年」見据えるに関して触れて行く。

記事の中で気になったポイントは
「例えば、30歳で年収600万円の会社員が月2.3万円の掛け金でイデコを始めたとしよう。30年間の積立期間の節税額は165万円だ。年利3%で運用したとすると、30年後に1304万円になる。本来なら運用益にかかる102万円が節税できる。税制改正で掛け金の拠出期間が5年延びれば、138万円を追加で出せるようになる。拠出したお金の運用期間も延び、複利効果を得やすくなる。」である。

ここで3%運用を前提にしている点が問題だと指摘したい。

個人型確定拠出年金の過去5年間の成績を見て見ると、株式に集中投資しているファンドは年率5-7%の運用益を出しているものがいくつかある。但しポイントは過去5年間という期間設定である。5年前の日経平均が17000円程度であったので今朝の日経平均は23910円と比較すると自分で日経平均のETFを購入すれば税金を勘案なしで、年率8%で運用できていることとなる。やはりファンドの場合は管理手数料を払わなければいけないのでネットのパーフォーマンスが下がってしまうのは否めない。

一方債券型は良くても年率1%程度、殆どの債券ファンドは年率0 %台の運用成績。

ということでアベノミクス効果もあり、株式市場に投資していた方が債券市場よりも遥かに良かったことが検証される。

公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF)の過去5年間の運用成績は年率4.55%。GPIFの運用資産構成割合は約50%が国内外株式なので4.55%という運用成績は日経平均の推移と類似していると言える。

ここで問題なのは、日本株は米国株のように右肩上がりの価格形状をしている市場ではないということだ。

検証のために過去5年ではなく過去18年間まで遡って見ると、GPIFは年率3.3%の運用益を出している。それだけ見るとまあまあに思えるかも知れないが、2012-2014年の3年間の株式市場の上昇が過去18年間の運用総合実績の57%以上も寄与している事実を把握すると如何に短期間の株式市場上昇に運用成績を委ねているのかが如実にわかる。単なるシミュレーションだが、2012-2014の実績を排除して運用率を試算すると過去18年間年率1.3%の運用成績にしかならない。

イデコでも東日本大震災直後は40%も預かり資産が毀損してしまったこともある。

もし今後の日本株式市場が更に上昇すると確信しているのであれば、このようなファンドに投資するのも有りであろう。

然し乍ら、そもそもイデコ自体が破綻してしまう可能性もゼロではないので、個人型確定拠出年金に頼りきるのではなく、他の投資案件と組み合わせて投資をするべきだと思う。

以下参照記事

「人生100年」見据える
企業型確定拠出年金 掛け金、70歳まで可能に


2019/12/13
消費増税という税制の大改革を実施した直後のとりまとめになった2020年度の与党税制改正大綱は、長寿化を見据えた資産づくり支援の拡充やスタートアップ企業への投資を促す税優遇、節税対策の強化など、家計や企業活動に大きく影響する改正が盛り込まれている。大綱に明記された改正によって各税制はどう変わるのか、ポイントを解説する。

個人が自ら運用手段を選んで老後の資産を作る確定拠出年金は大幅に拡充される。柱となるのは掛け金の拠出期間の延長だ。現在、原則60歳までになっている掛け金の拠出期間を企業型は70歳、個人型(イデコ)は65歳まで延ばす。今より多くの掛け金を出せるようになれば、老後に受け取る年金が増える。

確定拠出年金は預金や投資信託などから運用手段を選び、毎月決まった掛け金を出す。最大の特徴は3段階で税優遇がある点だ。まず拠出する掛け金は、個人の場合、所得控除の対象になる。運用で得る値上がり益や配当も非課税で、受取時には退職所得控除などの対象になる。

確定拠出年金の掛け金の上限は働き方で異なる。厚生年金のない自営業者らは月6.8万円だ。会社員の場合、イデコは最大で月2.3万円を拠出できる。

例えば、30歳で年収600万円の会社員が月2.3万円の掛け金でイデコを始めたとしよう。30年間の積立期間の節税額は165万円だ。年利3%で運用したとすると、30年後に1304万円になる。本来なら運用益にかかる102万円が節税できる。
税制改正で掛け金の拠出期間が5年延びれば、138万円を追加で出せるようになる。拠出したお金の運用期間も延び、複利効果を得やすくなる。

政府が今回、拠出期間の延長を決めたのは働く60歳代が増えているためだ。確定拠出年金で手厚い税制優遇があるのは、働いて得る賃金から掛け金を出すというのが大前提。制度が発足した01年は60~64歳の就業率は50.7%だった。直近は70%に迫る。政府は働く人が希望する場合、70歳まで就業機会を確保するよう企業に求める法改正を目指す。確定拠出年金も足並みをそろえ、高齢者の就業を後押しする。

確定拠出年金に関連した税制改正のもう一つの柱は会社員がイデコに入りやすくなることだ。いまは勤め先に企業型の確定拠出年金があると、イデコと併用するには労使で規約を設けなければならない。実際に規約を設ける企業は少なく、企業型に加入する会社員が700万人に上るのに対してイデコにも加入する会社員は4千人にとどまる。
企業型を導入する企業では、月5.5万円を上限に掛け金を企業が負担する。現行の制度だと、従業員のイデコ加入を認めるためには企業型の掛け金の上限を3.5万円まで下げなければならない。すでに上限近くまで掛け金を支払っている従業員がいる場合は規約を結ぶのが難しい。

改正後は会社側の掛け金の上限を5.5万円で維持したまま、企業型とイデコを併用できるようにする。従業員が会社の拠出金と同額を上限に掛け金を上積みできる「マッチング拠出」と呼ぶ仕組みを認める企業の従業員はこれまでイデコに加入できなかった。今後はどちらを使うか選べるようにする。

公的年金の給付水準は将来的な低下が避けられない。私的年金を手厚くすることで将来不安を解消するのが狙いだ。

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