米国株マーケット考察 2021.1.6

マーケットサマリー

米国株式相場は反発。ダウ平均は167.71ドル高の30391.60ドル、ナスダックは120.51ポイント高の12818.96ポイントで取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比1億7185万株減の10億7842万株でした。

コロナ感染の中、昨日センチメントが好転したのは以下の理由です。

(1) 米サプライ管理協会(ISM)が朝方発表した2020年12月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)は60.7(予想:56.6) と、前月の57.5を上回り、2018年8月以来2年4カ月ぶりの高水準を記録しました。

(2) 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は5日、テレビ会議で閣僚級会合を開き、2月以降は現行の減産規模をわずかに縮小すると発表。サウジアラビアは2、3月に自主的に日量100万バレルの追加減産に乗り出すと明らかにし、原油相場が押し上げられました。

また、注目のジョージア州選挙結果に関してはまだ時間がかかるようですが、仮に民主党が2議席獲得した場合、よりスピーディーに景気刺激策の増額が期待できると市場は徐々に冷静になっているようです。

しかし実際には、民主党も必ずしも一枚岩ではなく、仮に民主党50:共和党50となっても、各種規制を全て法制化できるというのは非現実的と捉えるべきだと思います。

市場は無反応でしたが、2020年の米国企業倒産件数が発表され、1986年以来、最低レベルまで減少しました。この現象は、政府当局による各種の救済策が効果を出しているといる解釈ができると言えます。

別件でサプライズニュースは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が、中国の大手国有通信会社、チャイナモバイル(中国移動)とチャイナテレコム(中国電信)、チャイナユニコム(中国聯通)て、上場廃止措置を進める意向はないと発表したことです。

昨年12月31日、中国人民解放軍との関係があると認定された企業への投資を制限する米大統領令に対応した3社上場廃止から方針を転換しました。上場廃止撤回にムニューシン米財務長官が反対していますが、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は手続き中止の決定を見直しているようです。これも米国内の親中派による影響もあるのではないかと勘ぐってしまいます。

用語解説


-米サービス業購買担当者景況指数(PMI)ーPMI(Purchasing Managers’ Index:購買担当者景気指数)とは、企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標のひとつです。国別や、製造業、サービス業ごとの集計も行われており、米ISM(Institute for Supply Management)やIHS Markit社が公表しているものが有名です。

一般的に鉱工業生産や雇用統計などの統計よりも景気先行性があるとされ、株式等の運用担当者の注目度が高い指標のひとつと言えます。景気判断の方法としては、一般に、PMIの数値が50を上回ると改善、50を下回ると悪化と判断されます。


立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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