米国株マーケット考察 2020.11.26
マーケットサマリー
米国株式相場は、3営業日ぶりに反落。ダウ工業株30種平均は前日終値比173.77ドル安の2万9872.47ドルで終了。一方、ナスダック総合指数は1万2094.40で引け、終値での史上最高値を更新しました。
流石に、前日ダウが終値で3万ドル台を達成したことで感謝祭休暇前ということもあり商い薄の中で利益確定売りで上げが一服している感じでした。
足元の新型コロナウイルス感染は拡大が続いており、ニューヨーク州では新規感染者数が初めて6000人を超えました。
米国株式市場は感染者増加とワクチン開発との綱引きの中にある中で、目先の景気回復への不安は払拭できていません。追加景気刺激策も今のままですと、来年1月20日以降までは進展は無さそうです。
それでも、来年の米株への期待は高いようで、ロイター通信のアンケート調査では来年のS&P500は9%の上昇が見込まれると伝えられています。
経済指標を見ますと、
11月21日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は77万8000件と、2週連続で増加しました。新型コロナウイルス感染再拡大や一連の制限措置を背景に雇用解雇が増加し、労働市場の回復を阻害している可能性を示唆しました。
また、2020年7~9月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、年率換算で前期比33.1%増となり、統計がさかのぼれる1947年以降で最大の伸びとなった速報値(10月公表)から横ばいでした。
新型コロナウイルス流行で大きく落ち込んだ4~6月期からの反動で7~9月期の経済成長率は急回復しました。
秋口から感染が再拡大する中、景気の持ち直しを後押ししていたコロナ経済対策の効果が薄れており、また頼みの綱だった追加景気刺激策が棚上げになっている状態で、10〜12月期は大幅に減速する可能性が高いです。
現在、来年後半以降の中期的な景気回復に確信を持ちつつある投資家は、その手前の半年をどう対応するかを模索しています。
労働市場も冬場の感染数増加基調で改善の道は閉ざされているように見えますし、追加景気刺激策の実施が早くて来年第1・四半期中盤くらいとなりますと来年中盤前までの景気動向は決して明るく予測できない状況です。
ですから、どこかのタイミングで、冷静なリアリティチェックをすることが必要になると言えます。
用語解説
-新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。
本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。
米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。
-GDPーGDP=Gross Domestic Product(国内総生産)とは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの「付加価値」の総額で、国の経済規模を測るための指標の一つ。
GDP の伸び率が経済成長率を表す指標として、多く用いられています。消費・投資・輸出・政府支出などが大きな構成要素で、その内、消費はGDPのおよそ2/3を占めます。
国内総生産には名目国内総生産(名目GDP)と実質国内総生産(実質GDP)がある。実質GDPは、名目GDPから物価変動の影響を除いたものです。
立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
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