新型コロナワクチン実用化への期待、底堅いテック株[マーケット考察]2020.7.11
米国株式市場は上昇。
週間ではダウ平均が0.96%高、S&P500が1.76%高、ナスダック総合が4.01%高と2週連続、続伸し、年初来ではダウ平均が8.63%安、S&P500が1.42%安と下落率が縮小し、ナスダック総合は18.33%高となりました。
昨日の上昇要因は新型コロナの治療薬やワクチンに絡む発表でした。
(1) ギリアド・サイエンシズが新型ウイルス向け治療薬「レムデシビル」について最新のデータを公表し、投薬した患者の74.4%が14日目までに回復した一方、標準的治療を受けた患者は59%が回復した。一方、死亡率については、投与した患者は7.6%で死亡リスクを62%低下させました。
(2) 独バイオ医薬品ビオンテックの首脳は米紙に対し、同社とファイザーが開発するワクチン候補の承認申請の準備が、年末までに整うとの見方を示しました。
(3) ファイザーと共同でコロナワクチンを開発中のドイツBioNTechのCEOが12月にもワクチンが承認される見通しだと発表しました。
一方で、ロイター通信によりますと、9日報告された米国の新規感染者は少なくとも6万0500人と、2日連続で過去最多を更新しました。フロリダ州、テキサス州、カリフォルニア州でのウイルス感染による死亡者数が過去最多になる中で、米国の南部や西部を中心とする感染急増が、引き続き市場の懸念事項となっているのは変わらないです。
とは言え、昨日は市場参加者は、足元の感染者数の増加よりも将来のワクチン実用化に注目していました。
経済指標では、6月の卸売物価指数(PPI)が前月比0.2%下落し、市場予想の0.4%上昇に反してマイナスに転じました。これを受けて、株式市場への反応はなかったものの、ドルが売られる原因となりました。
今週は振り返ってみれば、ダウ平均は感染第二波懸念を受けておっかなびっくりで相場は上下動したものの、ほぼ横這いで動かず、感染第二波のマイナス影響を受け難いテック関連株は安心して資金流入している様相でした。来週も類似の動きが予想され、テック関連株に関しては利確売りをこなしながら底堅い展開になる可能性が高いと市場は予測しています。
立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
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