悪化し続ける経済指標-マーケット考察-2020.5.30

米中関係悪化懸念から一時300ポイント超下落しましたが、小幅続落で取引を終えました。

市場はトランプ大統領が追加関税制裁などより激しい措置を講じると懸念してましたが第一段階米中貿易協定を撤回しない旨の発表を受け、安堵感から、相場は小幅マイナスまで持ち直したのです。

もしトランプ大統領がこれ以上踏み込まないとなりますと、極端かも知れませんが、中国は香港を見放し、将来、香港が中国の一地方都市と化してしまう可能性が出てきたことです。その理由とは、1997年の香港返還時と比較して、グローバルビジネス上、金融市場としての香港の重要性が中国経済にとって低下したことに他なりません。個人的には香港が中国からの貿易の重要な玄関口的役割を担っていると思っていますので、全人代での習近平の決定事項には首を傾げてしまいました。米中関係が燻り続ける可能性は高いですし、国際的な政治不安定感が払拭されたわけではありません。

昨日発表されました米国経済指標は引き続き悪化した姿を映し出してます。
(1) 米シカゴ購買部協会が29日発表した5月の景気指数(PMI、季節調整済み)は前月から3.1ポイント低下し32.3。大きく落ち込んだ前月(12ポイント低下)から一段と低下し、1982年3月以来、38年2カ月ぶりの低水準となりました。

(2) 米国の5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は72.3と上方修正予想に反して、速報値73.7から下方修正されましたが、2010年11月来の低水準となった4月の71.8からは僅かながら上昇しました。

(3) 4月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比13.6%減と、1959年の統計開始以降で最大の落ち込みとなっています。

相場は悪い経済を織り込んでいる様ですが、エコノミスト予想では第2四半期の経済成長率はマイナス25-34%のレンジですからそのレベルまでは相場は耐性があるのかも知れません。

立沢賢一

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