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WTI原油先物市場はなぜ暴落したのか。
写真出典 :日本経済新聞
WTI原油先物市場5月限は何故暴落したのでしょうか?
4月20日、NYMEX市場で、WTI原油先物市場5月限が一時マイナス40ドル超まで売り込まれました。原油価格が、マイナスというのは原油を買うと何とお金がオマケに付いてくる現象なのです。
原油の決済には、債券や株式のように反対売買で決済される差金決済方式と現引きといって現物受渡方式の二つがあります。
殆どの投資家や投機家は相場の上下変動で利益を生み出すことを目的としていますから、原油業者のように原油の実需はありません。従いまして、通常、彼らは差金決済方式を採用していると言って良いです。勿論、必要であれば今回マイナス価格になったWTI原油先物取引でも、当然現物引き渡しすることは可能です。
アメリカの原油先物市場NYMEXの原油(WTI)の受け渡し場所はオクラホマ州のクッシングでありそこで現物引き渡しします。クッシングは米国原油の中心地で、生産地からも消費地ともパイプラインで繋がっています。ですから、生産地からクッシングまでパイプラインで送油して現物の原油を渡して売り建て玉を決済することができるのです。因みに、クッシングの在庫変動率と原油先物の変動率との相関係数を求めましたが、R=0.026と相関性は殆ど見られませんでした。
米国エネルギー情報局(EIA)はクッシング在庫を発表していますが、サウジアラビアの増産による供給増と新型コロナウイルスの影響で経済活動が大幅低下したことによる極端な需要減少が相まって、在庫が急激に増加した状態になってしまったのです。
クッシングの在庫が増加し貯蔵能力を超えてしまうと原油の送油先はなくなります。その場合、原油を他の貯蔵地域を使う為に、トレーラーで原油を移動させタンカーに貯蔵させるとかなりのコストが上乗せされることになります。
今回、5月限の先物価格が急落してしまった原因は、WTI原油先物市場5月限のロングポジションを持っていた投資家や投機家が (1) 原油の貯蔵庫を移動させることを嫌い成り行きで投げ売りをしてしまったのと、(2) 差金決済方式を選択し「5月限売り、6月限は買い」というロールオーバー(限月交代) 取引を20日に集中させてしまったことでした。
これはWTI 5月限の特殊要因で、6月限などの他の限月の先物は一切マイナス価格にはなりませんでした。また、海外の他市場を見ても、ICE (旧ロンドン国際石油取引所)で取引されるブレント原油は、同日1バレル25ドル近辺で取引されていました。
さて、来月の6月限先物玉のロールオーバーですが、外部環境に変化が無ければ、来月も今月と類似の動きが発生する可能性は否めません。とは言え、多くの投資家も投機家も今月のマイナス価格の経験を生かし、1日で一気にロールオーバーしようとはしないでしょうから、来月は今月程のマイナス価格にはならないでしょう。然し乍ら、供給過多の傾向は暫くは変わらない状態ですから、警戒はしないといけません。
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