富裕層の海外資産 取引記録の保管を要請の記事に関して

日本経済新聞朝刊に掲載されていた 富裕層の海外資産 取引記録の保管を要請の記事に関して

添付の記事から、日本国民の保有資産捕捉を包括的に行うことで、日本政府が国民資産の抱え込みに本気になってきていることが分かる。

財務省は2025年を目標にプライマリーバランスをプラス化にしようとしている。簡単にいえば、1498兆円に及ぶ政府の赤字をゼロにするということである。

日本国は対外債権者の国であり、日本国国債も短期債は10%程が海外中央銀行などが保有しているものの、中・長期債の外国人保有率は一桁台である。何を言わんとしているかというと、別に慌てて財政赤字をゼロにする必要性がないと言うことだ。しかもインフレ率は1%あたりを推移しているのでハイパーインフレのリスクもない。世界一GDP対比財政赤字が大きい国にもかかわらずそのような現象が起きないのは海外債務依存度が極めて低いからとも言える。

それなのに財務省は政治家を洗脳しながら、躍起になってプライマリーバランス黒字化を推進しようとしているのである。

ではその原資は?となると非政府資産しかないのである。企業から吸い上げると色々な問題が生じるのでそこには手を付けたくない。そうなると個人資産がターゲットにらざるを得ないのである。

そこで、先ず手始めは富裕層から絞ることがベストというシナリオの下、添付記事のような方向性に向かっている。

記事の中で、「適正な課税には預金利子や不動産賃料、有価証券の配当や売却益など、海外資産から生じたお金の流れも一緒に把握することが課題だった。今回の改正で納税者の情報開示を促し、的確な事実認定に基づいた財産把握と徴税制度を整える。」と伝えられている。現行のシステムではあくまでも「納税者の情報開示を促し、、、」というように、納税者側の協力による情報開示が主な方策だ。つまり、未だ客観的管理システムは構築できないということである。日本国内金融機関からの海外送金以外の方法での資金流出の補足方法が限られているということだ。

現在日本国と租税条約を締結している国は全世界で54カ国に過ぎない。つまり、租税条約締結国でない国に対して国税が情報開示を求めても、恐らくそれは為されないだろう。蛇足だが、ラオス共和国も非租税条約締結国の1つである。

政府の縛りや追求はこれから更に厳しさを増すのだろうが、まだまだループホールは色々とあるなので、これからも富裕層と国税とのイタチごっこは継続することになるのだろう。


以下記事添付

富裕層の海外資産 取引記録の保管を要請
2019/12/13
富裕層の資産管理を厳しくするのを目的に、海外に持つ資産を正しく把握して課税するために使う「国外財産調書」と呼ぶ制度を見直す。海外にある銀行預金の入出金や不動産の賃貸借などの取引記録を保管するよう納税者に求める。資産の保有残高だけでなく、残高に至るまでのお金の流れを示す取引記録の保存も促す。資産の動きをより克明に捉え、税逃れを防ぐ。
2020年分以降の所得税または20年4月1日以降に相続や遺贈によって取得する財産にかかる相続税に適用する。各年末に海外に5千万円超の資産を保有している個人が対象だ。

いまは年に1度、海外にある不動産の保有残高などの情報の提出を義務付けている。新制度では資産の取引実態がわかる情報の保管も求める。保管は義務ではないが、税務調査で提出を求められた場合に示せないと、国税当局から厳しい調査を受けるようになる。

指定された期限までに関連資料を提出しない場合、調書に記載してある国外財産の分への追加課税は10%になる。従来は5%だった。そもそも調書を提出しなかったり、提出しても記載がなかったりした場合は今までと同じ15%の追加課税となる。関連資料も出さないと追加課税は20%とさらに上乗せされる。

富裕層の所得税の申告漏れは増えている。国税庁によると、18事務年度の申告漏れ所得の総額は763億円で、追徴税額は203億円と17事務年度から約15%増えた。いずれも統計を取り始めた09事務年度以降で最も多かった。特に海外投資などをした富裕層への調査では、18事務年度の申告漏れ所得が328億円と全体の4割を超えた。海外資産には無申告が目立つ。いま明らかになっている税逃れの実態も氷山の一角だ。

政府は14年に国外財産調書制度を導入した。低税率の租税回避地(タックスヘイブン)などを使った国際的な税逃れを防ぐためだ。

富裕層を対象に海外資産の保有状況を調書にまとめ、税務署に毎年提出するよう義務付けたが、資産残高だけでは税逃れをきちんと防ぐのは難しいことも浮き彫りになった。

適正な課税には預金利子や不動産賃料、有価証券の配当や売却益など、海外資産から生じたお金の流れも一緒に把握することが課題だった。今回の改正で納税者の情報開示を促し、的確な事実認定に基づいた財産把握と徴税制度を整える。

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