米国株マーケット考察 2021.3.6
マーケットサマリー
米国株式相場は、大幅反発。ダウ工業株30種平均は前日終値比572.16ドル高の3万1496.30ドルで終了し、ナスダック総合指数は196.68ポイント高の1万2920.15で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比9311万株減の14億7580万株。
米労働省が昨日発表した2月雇用統計では、非農業部門雇用者数が37.9万人増と前回の4.9万人増から大きく改善し、市場予想の18.2万人増と好調の目安とされる20万人増を上回りました。失業率も6.2%と市場予想や前回の6.3%から改善しました。
但し、失業率はピークの14.8%から大きく改善していますが、新型コロナショック前の3.5%と約50年ぶりの低水準を大幅に上回っています。実際に、就業を諦め労働力人口から外れた人も依然として多く、数字ほど労働市場は改善してはいないとも言われています。
改善された雇用統計を受け、米10年債利回りは1.626%に上昇し、1年ぶり水準を更新しましたが、その後は売られすぎた債券に値頃感が出て買い戻しが入り、1.56%付近まで下げました。すると、株式市場の警戒感は後退し、ダウ平均が前日までの3日間で計600ドル超下落していたことから、安値を拾う動きも出ました。
昨日の市場は、結局のところ、金利動向に上下動した1日で、チャート的に見て、米10年債利回りが1.6%を切ってきたところで、債券も株式も買いが入った動きでそれ以外に特段の理由はありませんでした。
週間ではS&Pが0.8%上昇し3週ぶりに反発。ダウ工業株30種は1.8%高と大幅に反発し、前週の下落幅(561.95ドル)を回復。ナスダックは米国債利回りの急上昇でテクノロジー株への買いが弱まり2.1%と3週続落し、2月12日に付けた終値での最高値から約8%下落しています。
来週以降も、直近の債券利回り上昇が一時的なのか恒常的なのか不透明感の中、パウエルFRB議長がどのような発言をするのかが市場動向を占う上で重要になってきます。
現状のレベルでは株式市場の居心地悪さは解消できていなく、調整局面としての値幅はまだそれほど大きくないですから、まだまだ不安定な相場が続くのではないかと思われます。
外国為替市場では、ドルインデックスが続伸しています。パウエルFRB議長の長期金利上昇容認的発言を受け、ある程度のリバウンドは想定内です。株価との逆相関関係から予測しますと、もう少し米ドルのジリ高の動きは続きそうです。
用語解説
-#米国雇用統計 ー米労働省労働統計局(BLS)が、米国の労働者の雇用状況を調査した指標。世界中の経済指標の中で最も市場に注目されている指標の一つ。
同時に発表される失業率は、労働力人口に対する完全失業者の割合で定義されます。軍隊従事者、刑務所の服役者などを除いた16歳以上の男女が対象となり、労働の意思のない者は、労働力人口から外されるため、失業率には反映されません。
-#非農業部雇用者数 ー米労働省労働統計局が発表する統計の事で、農業部門以外の産業で働く就業者の数を、非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計したもので、非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計されたものです。
自営業、農業従事者を含まず、対象事業所は約40万社・従業員数約4700万人で、全米の約1/3を網羅していると言われています。世界中の経済指標の中で最も市場に注目されている指標の一つです。
-#株価調整局面 ー個々の株式または株価指数の価格が、52週間の最高値から10%下落したことを指します。
相場の動きが短期的に下降したり上昇したりすることを#調整 と言います。 市場に存在する銘柄の株価というのは、常に適正に動いているわけではありません。
何らかの好材料や悪材料が出たときには急激に株価が乱高下することになるため、材料が出尽くし市場が落ち着きを取り戻すと株価は本来の適正な価格を取り戻すために調整に入ります。
-#ドルインデックス (ドル指数)ーユーロやポンド、円など複数の通貨に対する、米ドルの為替レートを指数化したもののことを指し、米ドルの相対的な価値を表します。
なお、日本では、ドル高と言った場合、通常、円安ドル高をイメージしますが、外国為替市場で円安ドル高が進んだからといって、必ずしもドル指数が高くなるわけではないのでご注意ください。