米国株マーケット考察 2020.9.16

マーケット考察

米国株式相場は上昇。ダウ平均は2.27ドル高の27,995.60ドル、ナスダックは133.67ポイント高の11,190.32ポイントで取引を終了しました。

前日に12.6%高と急伸したテスラが7.2%高と大幅続伸したほか、ネットフリックスが4.1%高、フェイスブックが2.4%高となり、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットも1.6%以上上昇しました。一見すると割高に見えるBig-techですが、市場の一部ではまだ割安感があるという意見も出ています。

米国経済指標は総じてプラスで堅調な経済指標を受け、景気への楽観論が広がりました。
・米・9月NY連銀製造業景気指数:17.0(予想:6.9、8月:3.7)3カ月連続でプラスとなり、市場予想を大きく上回る改善
・米・8月輸入物価指数:前月比+0.9%(予想:+0.5%、7月:+1.2%←+0.7%)インフレ圧力が高まっているという見方を裏付けた。
・米・8月鉱工業生産指数:前月比+0.4%(予想:+1.0%、7月:+3.5%←+3.0%)伸びは6月に1959年来で最大の伸びを記録後、2カ月連続の鈍化で予想も下回った。
・米・8月設備稼働率:71.4%(予想:71.4%、7月:71.1%←70.6%)

中国、ドイツの経済指標も良好な数字が発表され、世界経済の順調な回復が好感されました。
・中国8月小売売上高が前年同月比0.5%増となり、消費者心理の改善を背景に8カ月ぶりにプラスに転じ予想以上に回復。
・ドイツの9月ZEW景気期待指数も20年ぶりの高水準。

FRBが15-16日に開いているFOMCは、8月27日の新戦略発表以降で初めての会合です。景気回復の鈍化は底堅いインフレと共に緩和的なスタンスを維持するとの観測です。新型コロナウイルス流行が続く中、企業の設備投資は年末まで低迷が続く可能性もあると予想されています。

とは言え、いずれにしても、市場環境は引き続きポジティブと認識して良いようです。

用語解説


ニューヨーク連銀製造業景気指数 ー 米国の地区連邦銀行のひとつであるニューヨーク連邦銀行が発表するニューヨーク地区の製造業の景況感を示す経済指標。 景況指数はアンケート調査の結果を指数化した指標で、なかでも製造業景況指数は今後の景気動向を占う「先行指標」とされています。ニューヨーク連銀製造業景気指数は、基本的に毎月15日に発表され、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、ISM製造業・非製造業景気指数など他の景況指数より発表が早いため、他指数の予測をするのに用いられます。

輸入物価指数ー米労働省が毎月発表する輸入物価の統計。 輸入物価は、卸売物価を通じて消費者物価に影響を与えるため、消費者物価指数(CPI)との連動性が高く、インフレ局面で注目されます。

鉱工業生産指数ー鉱工業生産は、米連邦準備制度理事会(FRB)が 米国の製造業(米経済の20%)の鉱工業部門の生産活動状況を指数化したもので、景気全般の動きとかなり密接な関係を持っておりGDPの推移と強い相関があります。米国の製造業の生産活動の状況、設備投資の状況を反映しているため、生産動向を測る上で重要視されています。 3ヶ月に1度しか発表されないGDPと異なり月次で発表されるため、速報性に優れています。米国夏時間:日本時間午後10時15分、冬時間:日本時間午後11時15分の発表。

設備稼働率は、米国の生産能力に対する生産量の比率(工場、炭鉱および公益事業を含む)。
設備稼働率は経済全体の成長と需要を示しており消費者物価指数(CPI)の先行指標としての働きもあります。しかし、生産能力は測定が困難であるため、この数値は注意深く見る必要がある。80%を超えると投資が活発化すると言われています。予想より高い結果となれば米ドルにとって買い材料とされますが、予想より低い場合は米ドルにとって売り材料と解釈されます。

ZEW景気期待指数ードイツの欧州経済研究センターが発表する経済指標。 アナリスト、市場関係者約350名に質問状を送付、DI方式で指数を作成します。 6ヶ月先の景気が良くなるか、悪くなるかを質問。 IFO指数には1ヶ月、鉱工業生産指数には6ヶ月の先行性を持ちます。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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