景気刺激策期待感で相場は堅調、感染第2波のダメージを市場は軽視[マーケット考察]2020.7.30

米国株式市場は反発。
ダウ工業株30種平均は前日終値比160.29ドル高の2万6539.57ドルで終了。ナスダック総合指数は140.85ポイント高の1万0542.94で引けました。

FRBはこの日最終日となった金融政策会合で、事実上のゼロ金利と量的緩和の維持を決定。米国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることを念頭に、「経済を支えるためあらゆる手段を使う」と改めて強調し、9月の会合で追加策を決定することに含みを残しました。然し乍ら、パウエルFRB議長は会見で、必要ならば追加緩和の可能性を示し、大方の期待通りに慎重姿勢は見せているものの、ウイルス感染や財政の動向次第といった雰囲気も滲ませており、期待ほど追加緩和の可能性を強調していない印象も出ました。

本日「GAFA」(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム) が、そろって第2四半期決算を発表します。巣篭もりの影響でかなりの好決算を市場は期待しているようです。第2四半期決算については、S&P500社のうち163社が発表を既に終えており、そのうち約79%が予想を上回る利益を発表しています。

米ドルインデックスは0.44%安の93.42.一時は2018年6月以来の93.17まで下落しました。クロス円も反発しており、市場センチメントにも特段の変化はないように見えます。米連邦準備理事会(FRB)が超緩和政策を今後数年にわたり続けるという期待に加え、利上げ前に以前に表明していた以上にインフレ率の上振れを許容するとの観測からドルは下げを強めています。ロイターの集計によりますと、米国の新型コロナ感染症による死者が29日に15万人を突破。国別では米国の死者が最も多く、過去11日間で1万人増加している状況です。

米国政府は第2・四半期GDP速報値を本日公表予定です。ロイターのエコノミスト調査によりますとGDPは第2・四半期に年率で34.1%減と、政府がGDPの統計を記録し始めた1947年以来最大の落ち込みとなる見込みです。第1・四半期GDPは5.0%減で、米経済は2月にリセッション入りしました。

新型コロナ感染拡大のスピードが収まらないにも拘わらず、市場は政府の景気刺激策期待感で、相場は堅調な模様です。感染第二波が米国経済に与えるボディブロー的ダメージを市場は完全に軽視しているのは、やはり過剰流動性による実体経済と金融経済との乖離が影響しているのは否めないです。


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立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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