米国株マーケット考察 2021.3.5

マーケットサマリー

米国株式相場は、3日続落。ダウ工業株30種平均は前日終値比345.95ドル安の3万0924.14ドルで終了し、下げ幅は一時700ドルを超えました。

一方、ナスダック総合指数は274.28ポイント安の1万2723.47で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比2億9784万株増の15億6891万株でした。

パウエルFRB議長は最近の米債利回りの急上昇を巡り、新型コロナウイルスワクチンの普及などを背景とするインフレ率上昇は「一時的」との見方を改めて示しました。

また、「注目に値し、留意している」としつつも、「市場の無秩序な動き」に懸念に対し、FRBの現在の政策スタンスは適切とし、(1) 最大雇用と物価目標達成まで現行の緩和的な政策を維持と、(2) 広範な金利上昇を確認するまではFRBによる介入は不必要を表明しました。

株式市場では、最近の金利動向を受け、FRBが長期債購入を増やすことにオープンな姿勢を示すかもしれないとの期待がありました。

しかし、それが無かったことで、米国債利回りが先週付けた1年ぶりの高水準である1.614%のレベルまでは上昇しませんでしたが、短時間で1.48%から一時1.555%まで上昇しました。

米国GDPが今年夏にも、コロナ前の水準に戻ると予想される環境下で、債券利回りもコロナ前の水準に戻ると仮定しますと、コロナ前の水準をはるかに超えている現在の米国株価の維持には何か特別の材料が必要となります。それが見つかるまでは、株価調整は必然で、それは寧ろ健全な動きと言って良いでしょう。

つまり、投資家は米国株式市場に於ける 「これまでの何でもポジティブに受け取るいいとこ取り相場」の終焉か、一時休止なのかを考える段階に到達したということです。

実際に、ナスダック総合指数の終値は2月16日に付けた史上最高値14175.115ポイントから10.2%安となり、調整局面入りしました。

今夜発表される2月の米雇用統計次第では、米国株式市場が本格的調整局面に入るのか、或いは一次的に過ぎないのかを占える可能性があるかも知れません。

用語解説


#米国GDP ー国内総生産。米国内で新たに生産された財やサービスの付加価値を合計した名目GDPから、物価変動の影響を除いたものです。

個人消費、設備投資、住宅投資、在庫投資、政府支出、純輸出(輸出から輸入を引いたもの)で構成されます。国内全体の生産活動を把握することができ、注目度が高いです。

米商務省経済分析局から四半期ごとに、速報値、改定値、確報値の3回に分けて発表されます。速報値は当該四半期終了後の翌月末(1-3月期のGDPであれば4月末)に発表され、市場の注目度は速報値がもっとも高いです。

#株価調整局面 ー個々の株式または株価指数の価格が、52週間の最高値から10%下落したことを指します。

相場の動きが短期的に下降したり上昇したりすることを#調整 と言います。 市場に存在する銘柄の株価というのは、常に適正に動いているわけではありません。

何らかの好材料や悪材料が出たときには急激に株価が乱高下することになるため、材料が出尽くし市場が落ち着きを取り戻すと株価は本来の適正な価格を取り戻すために調整に入ります。

立沢賢一とは


元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
https://lit.link/tatsuzawaken

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