米国株マーケット考察 2020.12.18

マーケットサマリー

米国株式相場は上昇。ダウ平均は148.83ドル高の30303.37ドルで終値の史上最高値を9営業日ぶりに更新し、ナスダックは106.56ポイント高の12764.75ポイントで取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比474万株増の9億9998万株でした。

昨日に引き続き、追加経済対策を巡り与野党が合意に近いと楽観的見方が強まったほか、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は昨日の会合で、米バイオ医薬品モデルナが開発した新型コロナワクチンに関し、FDAは近く承認するとみられたことから、ワクチン普及への期待が一段と高まっていることも投資家心理の改善を支えました。

昨日発表の経済指標に関して、11月の米住宅着工件数は、年換算で前月比1.2%増加の154万7000戸と、市場予想の153万戸を上回り、3カ月連続のプラスでした。住宅需要の堅調さが確認された一方で、週次失業保険申請者数が88万5000件と予想(81万8000件)以上に前週から増加し3カ月ぶりの高水準となったため、労働市場が再び悪化し始めたとの警戒感も出ています。新型コロナウイルスの感染拡大と企業への制限強化で労働市場の回復が腰折れしていることを示唆しているとも言えます。

印象的にはポジティブなニュースに反応して相場を安定させたまま年末まで進もうとするセンチメントが根底にあるようです。世界的に新型コロナ感染者数が増加しているものの、ワクチンへの期待感がかなり高いので、増加する感染者数の相場に与える影響度は非常に軽微です。それ以外には特にニュースはなく、正に典型的な年末相場の模様でした。

外国為替市場では、米ドルインデックスが安値を更新し、90の水準を割り込んで、最大のサポートラインである88前半が目前となっています。

用語解説


-住宅着工・着工許可件数ー米商務省センサス局が米国内で一月に建設された新築住宅戸数を調査して発表する指標。住宅建設は季節ごとのばらつきが大きいため、調整をかけたうえで年率換算して発表されます。一戸建てと集合住宅に分けて、北東部、中西部、南部、西部の地区ごとに集計されます。

同時に発表される住宅建設許可件数は、建設にあたって地方自治体への許可申請が必要な地域における許可発行件数を調査したもの。実際の着工に先駆けて許可申請が実施されるため、住宅着工件数の先行指標となります。

住宅の購入に伴って、家具・家電などの耐久消費財の購入が行われることが多く、個人消費への波及効果が大きいことから注目されています。雇用市場の動向や、消費者の景気への信頼感などとの相関がみられます。

-新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

-ドルインデックス(ドル指数)ーユーロやポンド、円など複数の通貨に対する、米ドルの為替レートを指数化したもののことを指し、米ドルの相対的な価値を表します。なお、日本では、ドル高と言った場合、通常、円安ドル高をイメージしますが、外国為替市場で円安ドル高が進んだからといって、必ずしもドル指数が高くなるわけではないのでご注意ください。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi


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