ナスダック過去4週間で最大の下げ、相場マイナス要因4選[マーケット考察]2020.7.25
米国株式相場は、続落。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比182.44ドル安の2万6469.89ドル、ナスダック総合指数は98.24ポイント安の1万0363.18で引けました。今週は、前半は堅調な雰囲気もありましたが、最後はセクターローテーションというポジション調整に押し切られた1週間でした。S&P総合500種とダウ工業株30種は4週ぶりの下げ、ナスダックは過去4週間で最大の下げとなりました。
相場マイナス要因として、
(1) 地政学リスク
中国政府は24日、米国に対し、四川省成都にある総領事館の設立許可を取消し、活動を停止するよう求めると通告。米国がテキサス州の中国総領事館の閉鎖を要請したことへの報復措置。米側は中国への批判を強めており、報復の連鎖による米中対立の激化への懸念が強まりました。また、トランプ大統領は「米中貿易協定は署名当初に比べ意味がなくなった」と悲観的な見解も表明しました。日米両国は香港問題などでも対立を深めており、関係がさらに悪化するとの警戒感が台頭しました。
(2) 新型コロナ感染拡大
米国で確認された新型コロナ感染者は400万人を突破。死者は14万3000人超に上り、米国で確認された新型コロナ感染症による死者は23日に1000人超増加しました。死者が1000人を超えるのは3日連続で、感染者数は累計で400万人を突破しています。
(3) 景気刺激策の合意が難しい?
新型コロナウイルスの感染拡大に対応する追加経済対策をめぐり、与野党の意見の隔たりが大きく、月内の合意が危ぶまれていること
(4) 軟調な第2四半期企業業績
第2四半期決算では、S&P500構成銘柄のうち128社が発表を終え、そのうち80.5%が非常に慎重なアナリスト予想を上回ったものの、全体的には軟調な業績と言えます。
が挙げられます。
米中対立の激化懸念を背景にドルインデックスベースの下落が続き、「安全資産」として円が買われ、円相場は一時1ドル=105円68銭と、3月中旬以来約4カ月ぶりの水準まで円高が進行し、また「安全資産」への資金逃避としてゴールドも買い進められました。
株式市場が上昇局面でも地政学リスクは顕在していたものの、相場への影響力は極めて限定的でした。今後は積み上がった買い持ちのポジション調整の言い訳として使われるのではないかと思われます。然し乍ら、その他金融市場を俯瞰すると、米債券利回りは低位に安定し、為替市場はマイルドなドル安継続ということで、株式市場をめぐるマクロ環境は依然として魅力的に見えます。
立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
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