米国株マーケット考察 2020.12.9

マーケットサマリー

米国株式相場は反発。ダウ工業株30種平均は前日終値比104.09ドル高の3万0173.88ドルで終了し、ナスダック総合指数は62.82ポイント高の1万2582.77で取引を終え、終値の史上最高値を4営業日連続で更新しました。

米与野党は包括的歳出法案と新型ウイルス支援の追加経済対策の両方で協議は難航しており、11日夜としていた期限を延長する方向で調整しているようです。

超党派から9080億ドル規模の追加経済対策が出ていますが、州・地方自治体向け支援などでまだ妥協点を見出せていない状態が続いています。それは前日と何ら変化はありません。

また、1.4兆ドル規模の包括的歳出法案についても対立しているようで、現在の暫定予算が11日で期限切れとなりますが、1週間のつなぎ予算を採決することで暫定的に凌ぐと見られます。

米国での新型コロナ感染拡大は続いており、これまで1480万件超の症例が確認され、新規感染も7日間平均で過去最多を記録しています。

一部の州や都市では、ソーシャルディスタンスを強化する意向も出ています。カリフォルニア州では感染増を受けて、6日以降、人口の8割以上が自宅待機令の対象に入りました。また、クオモNY州知事は、外食を制限する可能性を示唆しており、「病院が臨界点に達した場合はより厳しい制限が課されるだろう」と述べています。

外部要因は前日とほぼ同じ状況にも関わらず、株式相場が上伸しましたのは、ワクチン普及による来年の景気への期待感が根強いからと言えます。

英国では昨日からワクチン接種が開始されたことで、ワクチンの供給が現実的なものとなりました。バイデン次期大統領候補は大統領就任後の最初の100日間で1億回分の新型コロナワクチンを供給することを表明しています。

それ故に、米国株式市場では利確の売りが一巡しますと、下値では押し目買いが入ってきて相場を支えていました。

米国株式市場は新しいニュースが無い中で、ポジション調整と近未来の相場上昇期待感からの買いが交錯していますが、今後はトランプ大統領が不正選挙に関して、いつ大きな動きを開始するかというのが隠された焦点だと思われます。

マスコミはこれに関しては完全に隠蔽していますので、本格化した暁には、青天の霹靂の如く、株式相場は反応するのではないかと予測します。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)について

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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