2次補正予算案、32兆円の真実
2次補正予算案で事業規模100兆円超の対策
最も大切なのは100兆円超の内、「真水」がどれくらいなのかです。今回「真水」は32兆円と報道されていますが、この金額は大きく3つに分かれています。
①通常の「真水」で、10兆円が日本国内市場に注入されます。
②約12兆円の「企業の資金繰り支援」。これは、所謂「貸付」です。ですから、たとえ金利がゼロだとしてもいつか必ず元本を返済しなければならないので、資金が注入された事にはなりません。経済状況が良く、インフレギャップの需要を満たす為に供給拡大を目的とした設備投資をするのであれば、貸金の意味があります。しかし、今回のような経済活動が停止している場合、貸付金は将来に経済活動が活況化する為の投資ではなく、今を生き延びる為の必要経費を賄う為に使われるのです。貸金枠は12兆円ありますが、実際には、12兆円になるのか0になるのか、6兆円になるかなどなどは借入人次第なのです。
但し、もしこの貸付を劣後ローン形式で行えば、赤字企業が貸金を受けても、黒字が将来出ない限り、返済義務はないという仕組みになります。つまり、12兆円を全て赤字企業に貸し出すことができれば、返済期日が確定しないので真水的機能は存在します。
③「予備費」で、10兆円です。これについては支出使途が確定していないもので、これから柔軟な姿勢で支出していくものです。ですから、使わなければいけないという強制力はない10兆円なのです。
言葉は悪いですが、「真水」 32兆円と見せかけて、政府は実際には、10兆円程度の真水で済ませてしまうことができるのです。
前回は事業規模108兆円の景気刺激策の中で、「真水」は17兆円程度でした。今回も事業規模は100兆円超ですが、確定している「真水」は10兆円だけなので、恐らく「真水」は前回より少ないのが現実になるのではないかと危惧してます。
日本政府が緊縮財政政策という足枷を付けている限り、どうしても思い切った「真水」を捻出出来ないのが現状なのです。
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私は住友銀行/メリルリンチ/バンク・オブ・アメリカ/HSBCと長きに渡って金融スペシャリストとして活躍しました。
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