マーケット考察 2020.9.10

米国株式相場は、4営業日ぶりに反発。ダウ工業株30種平均は前日終値比439.58ドル高の2万7940.47ドルで終了し、上昇幅は一時700ドルを超えました。一方、ナスダック総合指数は293.87ポイント高の1万2241.56で引けました。

前日までのハイテク株を中心とした利益確定売りが一段落し、反発して取引を開始。3営業日で大幅に売り込まれてきたアップル、マイクロソフト、ネットフリックス、アルファベットなどのハイテク大手銘柄を中心に安値拾いの買いが入り、最低でも3.7%上昇しました。

昨日は、特別な買いネタはなく、新型コロナウイルスのワクチン開発をめぐり、英フィナンシャル・タイムズが、英アストラゼネカが副作用によって休止した治験を来週にも再開すると報道し、開発の遅れへの懸念が後退したことで、投資家心理を改善させたのが相場の後押しをしていました。

最高値を更新していたナスダック総合指数は前日までの3営業日で1200ポイント超下落。ダウ平均も約1600ドル値を下げていましたので、利確の売りと値ごろ感の買いとが交錯する典型的な日柄調整の相場動向でした。

金融当局による大規模金融緩和や緩やかな景気回復など、相場環境は変化はなく、株高の基本的な流れは続くと見ています。

但し、通年ベースで見ても、9月と10月は相場変動の大きい期間ですし、昨日のコメントでも触れましたが、11月に米国大統領選を控えていることもあり、しばらくは株価の変動幅が大きくなる可能性は高いです。

[用語解説]
•日柄調整と値幅調整
相場のコメントで「調整」という言葉が出てきましたら、それには日柄調整と値幅調整があると思ってください。

まず「日柄調整」は、初期のころの株価上昇に乗り遅れたトレーダーやまだまだ株価上昇を狙っているトレーダーが存在していることから、少し株価が下落しただけで買いが入ることが要因です。

売りたいトレーダーがいる一方で買いたいトレーダーもいることから売りと買いが拮抗し、株価は下がりそうで下がらずもみ合い状態になるというメカニズムです。

日柄調整がどのくらい続くかの物差して、株価と移動平均線の乖離具合を見てみるといいでしょう。買い基調のマーケットでしたら、移動平均線を割ることなく、その手前で反転する可能性が高いからです。

「値幅調整」は、上昇トレンドの最後の方で株を購入したトレーダーが「これではあんまり儲からなさそうだな…。下落する前に売ってしまおう!」と、高値で購入したことにリスクを感じて株を売り始めたり、早い段階で購入していたトレーダーの利益確定のための売りが生じることが要因として考えられるでしょう。

これによって株価の下落に拍車がかかり、損切りのための売りの動きも巻き込みながら株価は下落していきます。

こういったメカニズムでどんどん株価は下落していき、株を売りたいと思っているトレーダーがある程度売り切ったところで株価の下落は一旦ストップし「値幅調整の完了」と見なします。ここが買い場となります。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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