2-3 《オセアニア放浪記》 ◯◯の運び屋になった話
今回はちょっと本題を離れて、海外での経験談を書きますね。
オーストラリアの安宿にて
オーストラリアからニュージーランドへ移動しようとしていた日の朝。僕は空港行きの無料シャトルバスの出発時間まで安宿のロビーで暇つぶしをしていた。
ロビーには床掃除をしているインド系の若い女の子がいて、その子とちょっとした雑談をした流れで、
「これからニュージーランドへ行く予定なんだ」
って話したら
「それなら是非お願いがあるんですけど。。。」
と言われた。
運び屋になりました。
話を聴いてみると
「私の実家がニュージーランドにあるから、この荷物を届けて欲しいんです」
これは流石に悩んだ。
だって、ちょっと雑談しただけの相手からの頼まれごととしては少し面倒だし、しかもニュージーランドの土地勘なんてないから、彼女の実家にたどり着けるか自信もない。
何より「運び屋」にされちゃうんじゃないかって不安になった。
実は、別の国で似たような経緯で荷物を運ばされた結果、空港でそれが麻薬と判明しその場で逮捕。最終的には処刑されたって事例がある。
そのことを知っていたから相当悩んだんだけど、安宿の掃除をしている女の子がそんなことを企むとも思えず、引き受けることに。
空港でチェックイン前に、事情を説明して荷物を調べてもらったところ、怪しげなモノではないことがわかり、安心してニュージーランドへ。
特になんの予定もない旅人だったんで、ニュージーランドに到着してすぐにその女の子の実家へ向かうことにした。
たどり着いた先にて
だいぶ道に迷ったすえ、なんとかその子の実家へたどり着いた。
極貧バックパッカーだったから携帯電話すら持っていなかったことを考えると「我ながらよくたどり着けたなぁ」って思う。
そして、その家にいって家族に事情を説明したら大歓迎された。
荷物の中身の大半はお菓子だった。その家には、宿を掃除してた女の子の弟達や妹が3人いて、みんな大喜び。なんだか僕もすごく嬉しい気持ちなったよ。
結局なりゆきで、その家に数日間住まわせてもらったんだけど、凄くいい経験をさせてもらったと感謝している。
インド人の家族で、食事は全て右手を使う。ナイフやフォークも使わないし、左手を使うことは厳禁。
僕は外国人だったから「ナイフやフォークを使っても大丈夫だよ」って言ってもらえたんだけど、みんなの真似をして挑戦してみることにした。
これがなかなか難しくて上手く食べられなかったけど、みんなのやり方に合わせようとしたことで好感を持ってもらえたのか、より仲良くなれたと思う。
そんなに裕福な家ではなかったと思う。けど、家族みんな明るくて力強く生きているって感じがした。
「行くとこないならもっと泊まっていきなよ」って、何日も泊まらせてくれた寛容さにも敬意を表したい。
長男はたしか当時16歳だったけど、既に仕事をしていて家計を支えていた。僕の方が年上だったけど、精神的には僕よりずっと大人だったと思う。
早く成熟してしまった彼の目を見ると、なんだか切ない気持ちになったし、仕事もせずに海外をフラフラしている自分が恥ずかしくなったことを、今でも鮮明に覚えている。
懐かしいなぁ。。。
あれから僕もだいぶ成長して、今ではちゃんと大人になれた気がするよ。
ありがとう。
次回は「英会話最大の壁」!!