年間5000人以上負傷している体育や部活での「筋トレ」
何度か投稿している、「学校での負傷・疾病」。前回は準備運動や筋力トレーニングでも負傷が多く発生しているという点をあげました。
上の記事ではどういう種類での発生が多いのか、またどの部位での発生が多いのか、ということを挙げました。
これについては、そもそも筋トレって何しているの?とか、準備運動ってどこまでを指すのか、、、、とかいろいろあいまいな点が多いのも確か。
今回は筋力トレーニングに絞って、数字を抽出しました。
前回のように部位毎にとか、種類毎に算出できないですが保健体育/体育的部活動など、発生状況別に抽出。
筋力トレーニングによる負傷・疾病発生数(小学校~高等学校等)
小学校はそもそも、部活動というものが多くないと思うので、やはり中学校・高等学校ということになります。
どちらも部活動中の発生がとても多い、とこの数字から感じます。すべての負傷発生数から考えると割合では少ないけど、それでも
年間に5,000~6,000人が筋トレで負傷・疾病が発生している
ということです。
もちろんスポーツに内在する危険が伴うということはわかっている。
ただ、その中でも筋力トレーニングは個人の負荷に合わせて運動実施が可能で、不確定要素というのは除去しやすい種目。よく筋トレは危ないというけど、ほかの競技に比べたら安全な面も多々あるわけです。
トレーニングの安全性(NSCA のガイドライン)
トレーニング指導者資格を発行しているNSCA JAPANでも以下のように述べられています。
1. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、青少年にとって比較的安全である
2. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、青少年の筋力とパワーを向上させることができる
3. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、心臓血管系のリスク特性を改善できる
4. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、青少年の運動スキルおよび競技パフォーマンスを向上させることができる
5. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、若年アスリートのスポーツ関連傷害に対する抵抗力を増強できる
6. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、青少年の健全な心理社会的な健康の増進に役立つ
7. 適切に計画され、監督されたレジスタンストレーニングプログラムは、幼年期および思春期における運動習慣の促進と育成に役立つ
http://www.nsca-japan.or.jp/12_database/ps_youth.pdf より
*NSCA:National Strength & Conditioning Association
NSCA JAPANの website: http://www.nsca-japan.or.jp/
上記に準じて考えると、実施において不十分な状況が発生している、ということは目を背けてはいけないことではないかと思います。
顧問の指導者の方の指導力が追い付いていない、ということはこれまでにも運動部活動の課題として挙げられています。
それを補足するうえで外部指導者や最近では部活動指導員というポストが設けられています。
だけど、トレーニングなどの面において十分な指導力を有しているかということもまた考えなくてはいけない。自身で行う能力も大事、他人に指導する能力はもっと大事。
トレーニング指導にかかわる身としては、やはりこれだけの負傷・疾病数が発生していることは切ない。
そもそも、本当にちゃんと管理下で行われているのか?ということもある。
それで怪我が起きてしまってやらなくなる、ということになっている可能性もありますからね。
まだまだ実態はよくわからない。
でも、トレーニング指導者がもっと貢献しなければいけないことは沢山あることを考えさせられる数字でした。