共同住宅に係る防犯上の留意事項

第1 通則

1 目的

この留意事項は、共同住宅の新築(建替えを含む。以下同じ。)、改修の企画・計画を行 う際に必要となる住宅の構造、設備等についての防犯上の留意事項を示すことにより、成 熟社会に対応した住宅ストックの形成を図ることを目的とする。

2 適用範囲等

(1) この留意事項は、新築される共同住宅及び改修される既存の共同住宅を対象とする。
(2) この留意事項は、防犯性の向上に係る企画・計画上の配慮事項や具体的な手法等を 示すものであり、建築主等に対し、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すもので はなく、あくまでも建築主等の自発的な対策を促すものである。
(3) この留意事項に掲げる施設が設置されていない場合には、当該施設に係る記載事項 は適用しない。
(4) この留意事項の適用に当たっては、避難計画等との関係に配慮するとともに、既存 の共同住宅においては、建築関係法令等との関係、建築計画上の制約、管理体制の 整備状況、居住者の要望等を検討した上で、対応が極めて困難な項目については除 外することができるものとする。
(5) この留意事項は、社会状況の変化や技術の進展等を踏まえ必要に応じて見直すもの とする。

第2 留意事項

1 共用部分

(1) 共用出入口

ア 周囲からの見通しが確保された位置等にあること。
イ 共用玄関は、各住戸と通話可能なインターホンとこれに連動した電気錠を有した玄 関扉によるオートロックシステムが導入されたものであることが望ましい。
ウ オートロックシステムが導入されている場合には、共用玄関以外の共用出入口は、 扉が設置され、当該扉は自動施錠機能付き錠が設置されたものであること。
エ 共用玄関は、人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたもので あること。また、共用玄関以外の共用出入口は、人の顔、行動を識別できる程度以 上の照度が確保されたものであること。

(2) 管理人室

共用玄関、共用メールコーナー(宅配ボックスを含む。以下同じ。)及びエレベー ターホールを見通せる位置、又はこれらに近接した位置にあること。 2

(3) 共用メールコーナー

ア 共用玄関付近からの見通しが確保された位置等にあること。 イ 人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(4) エレベーターホール

ア 共用玄関付近からの見通しが確保された位置等にあること。 イ 人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(5) エレベーター

ア かご内に防犯カメラが設置されたものであること。 イ 非常の場合において、押しボタン等によりかご内から外部に連絡又は吹鳴する装置 が設置されたものであること。 ウ かご及び昇降路の出入口の戸は、外部からかご内を見通せる窓が設置されたもので あること。 エ かご内は、人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであ ること。

(6) 共用廊下・共用階段

ア 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであることが望ましい。 イ 人の顔、行動を識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。 ウ 共用階段は、共用廊下等に開放された形態であることが望ましい。

(7) 自転車置場・オートバイ置場

ア 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであること。 イ チェーン用バーラックの設置等盗難防止に有効な措置が講じられたものであるこ と。 ウ 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(8) 駐車場

ア 周囲からの見通しが確保された構造等を有するものであること。 イ 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(9) 歩道・車道等の通路

ア 周囲からの見通しが確保された位置にあること。 イ 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。

(10)児童遊園、広場又は緑地等

ア 周囲からの見通しが確保された位置にあること。 イ 人の行動を視認できる程度以上の照度が確保されたものであること。 ウ 塀、柵又は垣等は、周囲からの見通しが確保されない死角の原因とならないもので あること。

2 専用部分

(1) 住戸の玄関扉

ア 防犯建物部品等の扉(枠を含む。)及び錠が設置されたものであること。 イ ドアスコープ等及びドアチェーン等が設置されたものであること。

(2) インターホン

ア 住戸玄関の外側との間の通話機能を有するものであること。 イ 管理人室が置かれている場合には、管理人室との間の通話機能を、また、オートロ ックシステムが導入されている場合には、共用玄関扉の電気錠と連動し、共用玄関 の外側との間の通話機能を有するものであることが望ましい。

(3) 住戸の窓

ア 共用廊下に面する住戸の窓(侵入のおそれのない小窓を除く。以下同じ。)及び接 地階に存する住戸の窓のうちバルコニー等に面するもの以外のものは、防犯建物部 品等のサッシ及びガラス(防犯建物部品等のウィンドウフィルムを貼付したものを 含む。以下同じ。)、面格子その他の建具が設置されたものであること。 イ バルコニー等に面する住戸の窓のうち侵入が想定される階に存するものは、防犯建 物部品等のサッシ及びガラスその他の建具が設置されたものであること。

(4) バルコニー

ア 縦樋、手摺り等を利用した侵入の防止に有効な構造を有するものであること。 イ バルコニーの手摺りは、見通しが確保されたものであることが望ましい。
(注1)「人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度」とは、10 メートル先の人の顔、行動が明確に 識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(床面又は地面におけ る平均照度。以下同じ。)が概ね 50 ルクス以上のものをいう。
(注2)「人の顔、行動を識別できる程度以上の照度」とは、10 メートル先の人の顔、行動が識別でき、誰 であるかわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね 20 ルクス以上のものをいう。
(注3)「人の行動を視認できる程度以上の照度」とは、4 メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程 度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね 3 ルクス以上のものをいう。
(注4)「防犯建物部品等」とは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が公表し ている「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された建物部品など、工具類等の侵入器具を用いた 侵入行為に対して、①騒音の発生を可能な限り避ける攻撃方法に対しては 5 分以上、②騒音の発生 を許容する攻撃方法に対しては、騒音を伴う攻撃回数 7 回(総攻撃時間1分以内)を超えて、侵入 を防止する性能を有することが、公正中立な第三者機関により確かめられた建物部品をいう。

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