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標準管理規約(単棟型)

第1章 総則

(目的) 第1条
この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等につい て定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を 確保することを目的とする。

第2条(定義)
この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に 定めるところによる。 一 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」と いう。)第2条第1項の区分所有権をいう。
二 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
三 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
四 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
五 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。
六 敷地 区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。
七 共用部分等 共用部分及び附属施設をいう。
八 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者 が排他的に使用できる権利をいう。
九 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の 部分をいう。

(規約及び総会の決議の遵守義務) 第3条
区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会 の決議を誠実に遵守しなければならない。 2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させ なければならない。

(対象物件の範囲) 第4条
この規約の対象となる物件の範囲は、別表第1に記載された敷地、 建物及び附属施設(以下「対象物件」という。)とする。

(規約及び総会の決議の効力) 第5条
この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継 人に対しても、その効力を有する。
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会 の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

(管理組合) 第6条
区分所有者は、第1条に定める目的を達成するため、区分所有者全 員をもって○○マンション管理組合(以下「管理組合」という。)を構成 する。 2 管理組合は、事務所を○○内に置く。 3 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。 第2章 専有部分等の範囲

(専有部分の範囲) 第7条

(共用部分の範囲) 第8条

第3章 敷地及び共用部分等の共有

(共有) 第9条
対象物件のうち敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。

(共有持分) 第10条 各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。

(分割請求及び単独処分の禁止) 第11条 区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはでき - 3 - ない。 2 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して 譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。

第4章 用法
(専有部分の用途) 第12条
区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、 他の用途に供してはならない。

(敷地及び共用部分等の用法) 第13条
区分所有者は、敷地及び共用部分等をそれぞれの通常の用法に従 って使用しなければならない。

(バルコニー等の専用使用権) 第14条
区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓 ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及 び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げる とおり、専用使用権を有することを承認する。 2 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるとこ ろにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。 3 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使 用権を有しているバルコニー等を使用することができる。

(駐車場の使用) 第15条

(敷地及び共用部分等の第三者の使用) 第16条
管理組合は、次に掲げる敷地及び共用部分等の一部を、それぞれ 当該各号に掲げる者に使用させることができる。 一 管理事務室、管理用倉庫、機械室その他対象物件の管理の執行上必要 な施設 管理事務(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以 下「適正化法」という。)第2条第六号の「管理事務」をいう。)を受 - 4 - 託し、又は請け負った者 二 電気室 ○○電力株式会社 三 ガスガバナー ○○ガス株式会社 2 前項に掲げるもののほか、管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共 用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に 使用させることができる。

(専有部分の修繕等) 第17条

(使用細則) 第18条
対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

(専有部分の貸与) 第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この 規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。 2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及 び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相 手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組 合に提出させなければならない。 第5章 管理 第1節 総則 - 5 - (区分所有者の責務) 第20条 区分所有者は、対象物件について、その価値及び機能の維持増進 を図るため、常に適正な管理を行うよう努めなければならない。

(敷地及び共用部分等の管理) 第21条

(窓ガラス等の改良) 第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他 の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の 向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計 画修繕としてこれを実施するものとする。 2 管理組合は、前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を 各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定める ものとする。

(必要箇所への立入り) 第23条


(損害保険) 第24条 区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険その他の 損害保険の契約を締結することを承認する。 2 理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分 所有者を代理する。 

第2節 費用の負担

(管理費等) 第25条

第26条(承継人に対する債権の行使)
管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の包括承 継人及び特定承継人に対しても行うことができる。

第27条(管理費)

第28条(修繕積立金)

(使用料) 第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下 「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕 積立金として積み立てる。 第6章 管理組合 第1節 組合員 (組合員の資格) 第30条 組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者 でなくなったときに喪失する。 (届出義務) 第31条 新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を 書面により管理組合に届け出なければならない。 第2節 管理組合の業務 (業務) 第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。 - 8 - 一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条にお いて「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及び ごみ処理 二 組合管理部分の修繕 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務 五 適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設 計図書の管理 六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等 七 共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務 八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適 当であると認められる管理行為 九 敷地及び共用部分等の変更及び運営 十 修繕積立金の運用 十一 官公署、町内会等との渉外業務 十二 風紀、秩序及び安全の維持に関する業務 十三 防災に関する業務 十四 広報及び連絡業務 十五 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成 十六 管理組合の消滅時における残余財産の清算 十七 その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するため に必要な業務 (業務の委託等) 第33条 管理組合は、前条に定める業務の全部又は一部を、マンション管 理業者(適正化法第2条第八号の「マンション管理業者」をいう。)等第 三者に委託し、又は請け負わせて執行することができる。 (専門的知識を有する者の活用) 第34条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マン ション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的 知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、 相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。 第3節 役員 (役員) 第35条 管理組合に次の役員を置く。 - 9 - 一 理事長 二 副理事長 ○名 三 会計担当理事 ○名 四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名 五 監事 ○名 2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。 (役員の任期) 第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。 2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。 3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するま での間引き続きその職務を行う。 4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。 (役員の誠実義務等) 第37条 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則 等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実 にその職務を遂行するものとする。 2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費 の支払と報酬を受けることができる。 (理事長) 第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各 号に掲げる業務を遂行する。 一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職 務として定められた事項 二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。 2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。 3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理 組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。 4 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任 することができる。 (副理事長) 第39条 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その 職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。 - 10 - (理事) 第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組 合の業務を担当する。 2 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行 う。 (監事) 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結 果を総会に報告しなければならない。 2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認 めるときは、臨時総会を招集することができる。 3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。 第4節 総会 (総会) 第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。 2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。 3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ケ月以内に招集 しなければならない。 4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時 総会を招集することができる。 5 総会の議長は、理事長が務める。 (招集手続) 第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議 の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及 び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。 2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するもの とする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部 分の所在地あてに発するものとする。 3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組 合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、こ れに代えることができる。 4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、 第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、 その議案の要領をも通知しなければならない。 5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、 - 11 - 次の事項を通知しなければならない。 一 建替えを必要とする理由 二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び 回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用 の額及びその内訳 三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容 四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額 6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日 の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し 説明を行うための説明会を開催しなければならない。 7 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通 知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。 8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、 緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回ら ない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。 (組合員の総会招集権) 第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める 議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示 して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求が あった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2 か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなけれ ばならない。 2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、 臨時総会を招集することができる。 - 12 - 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にか かわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって 議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の 中から選任する。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にか かわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面、電磁的方法(電子 情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法 であって次項に定めるものをいう。以下同じ。)又は代理人によって 議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の 中から選任する。 4 前項の電磁的方法は、次に掲げる方法によるものとする。 一 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機 とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であ って、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に 係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの 二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に 記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記 録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法 (出席資格) 第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席すること ができる。 2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利 害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。こ の場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ 理事長にその旨を通知しなければならない。 (議決権) 第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。 2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選 - 13 - 任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければ ならない。 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。 5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければな らない。 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 (規定なし) (イ)電磁的方法が利用可能な場合 6 組合員は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法 によって議決権を行使することができる。 (総会の会議及び議事) 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す る組合員が出席しなければならない。 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合 員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。 一 規約の制定、変更又は廃止 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いものを除く。) 三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴 えの提起 四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部 分の復旧 五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項 4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議 決権総数の5分の4以上で行う。 - 14 - 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する 者は、出席組合員とみなす。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 5 前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決 権を行使する者は、出席組合員とみなす。 6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権 利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。こ の場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはな らない。 7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専 用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有 する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承 諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由が なければこれを拒否してはならない。 8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又 は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。 9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項につい てのみ、決議することができる。 (議決事項) 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。 一 収支決算及び事業報告 二 収支予算及び事業計画 三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法 四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止 五 長期修繕計画の作成又は変更 六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための 資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し 七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費の ための修繕積立金の取崩し 八 修繕積立金の保管及び運用方法 - 15 - 九 第21条第2項に定める管理の実施 十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びに これらの訴えを提起すべき者の選任 十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧 十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え 十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法 十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結 十五 その他管理組合の業務に関する重要事項 - 16 - 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 (議事録の作成、保管等) 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければな らない。 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議 長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなけれ ばならない。 3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請 求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合 において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる 。 4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければ ならない。 (書面による決議) 第50条 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員 全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。 2 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、 組合員全員の書面による合意があったときは、書面による決議があっ たものとみなす。 3 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書 面による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。 4 前条第3項及び第4項の規定は、書面による決議に係る書面につい て準用する。 5 総会に関する規定は、書面による決議について準用する。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 (議事録の作成、保管等) 第49条 総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、 議事録を作成しなければならない。 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録し なければならない。 3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長 及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印し なければならない。 4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているとき は、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指 - 17 - 名する2名の総会に出席した組合員が電子署名(電子署名及び認証業 務に関する法律第2条第1項の「電子署名」をいう。以下同じ。)を しなければならない。 5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁 的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記 録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容 を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当 該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならな い。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定する ことができる。 6 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければ ならない。 (書面又は電磁的方法による決議) 第50条 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員 全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすること ができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾につい ては、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び 内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。 2 前項の電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。 一 第44条第4項各号に定める電磁的方法のうち、送信者が使用す るもの 二 ファイルへの記録の方式 3 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、 組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面 又は電磁的方法による決議があったものとみなす。 4 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書 面又は電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。 5 前条第5項及び第6項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に 係る書面並びに第1項及び第3項の電磁的方法が行われた場合に当該 電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。 6 総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用 する。 第5節 理事会 (理事会) 第51条 理事会は、理事をもって構成する。 - 18 - 2 理事会の議長は、理事長が務める。 (招集) 第52条 理事会は、理事長が招集する。 2 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合に は、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。 3 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議を会議の目的とす る場合の第1項及び第4項から第7項までを除く。)の規定を準用する。 ただし、理事会において別段の定めをすることができる。 (理事会の会議及び議事) 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことがで きず、その議事は出席理事の過半数で決する。 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する 。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「 理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 2 議事録については、第49条(第6項を除く。)の規定を準用する 。ただし、第49条第3項中「総会に出席した組合員」とあるのは「 理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 (議決事項) 第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる 事項を決議する。 一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案 二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案 四 その他の総会提出議案 五 第17条に定める承認又は不承認 六 第58条第3項に定める承認又は不承認 七 第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴 - 19 - 訟その他法的措置の追行 八 第67条に定める勧告又は指示等 九 総会から付託された事項 (専門委員会の設置) 第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置 し、特定の課題を調査又は検討させることができる。 2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。 第7章 会計 (会計年度) 第56条 管理組合の会計年度は、毎年○月○日から翌年○月○日までとす る。 (管理組合の収入及び支出) 第57条 管理組合の会計における収入は、第25条に定める管理費等及び 第29条に定める使用料によるものとし、その支出は第27条から第29 条に定めるところにより諸費用に充当する。 (収支予算の作成及び変更) 第58条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承 認を得なければならない。 2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提 出し、その承認を得なければならない。 3 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を 得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合に は、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。 一 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、か つ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる もの 二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経 費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認 められるもの 4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算 案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しな ければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とと もに承認されたものとみなす。 - 20 - (会計報告) 第59条 理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通 常総会に報告し、その承認を得なければならない。 (管理費等の徴収) 第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使 用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により 第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日までに 一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合 には、別に定めるところによる。 2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理 組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金として の弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対し て請求することができる。 3 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議に より、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。 4 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の 諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。 5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分 割請求をすることができない。 (管理費等の過不足) 第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌 年度における管理費に充当する。 2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条 第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を 求めることができる。 (預金口座の開設) 第62条 管理組合は、会計業務を遂行するため、管理組合の預金口座を開 設するものとする。 (借入れ) 第63条 管理組合は、第28条第1項に定める業務を行うため必要な範囲 内において、借入れをすることができる。 (帳票類の作成、保管) - 21 - 第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳 票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による 請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合にお いて、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。 (消滅時の財産の清算) 第65条 管理組合が消滅する場合、その残余財産については、第10条に 定める各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰 属するものとする。 第8章 雑則 (義務違反者に対する措置) 第66条 区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管 理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はそ の行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条ま での規定に基づき必要な措置をとることができる。 (理事長の勧告及び指示等) 第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若 しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は 使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱 す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等 に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことが できる。 2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者 若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必 要な措置を講じなければならない。 3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分 所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等におい て不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を 講ずることができる。 一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、 管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること 二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返 還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又 は被告となること、その他法的措置をとること 4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金と - 22 - しての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。 5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納 金は、第27条に定める費用に充当する。 6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告 となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならな い。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する。 (合意管轄裁判所) 第68条 この規約に関する管理組合と組合員間の訴訟については、対象物 件所在地を管轄する○○地方(簡易)裁判所をもって、第一審管轄裁判所 とする。 2 第48条第十号に関する訴訟についても、前項と同様とする。 (市及び近隣住民との協定の遵守) 第69条 区分所有者は、管理組合が○○市又は近隣住民と締結した協定に ついて、これを誠実に遵守しなければならない。 (細則) 第70条 総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等につ いては、別に細則を定めることができる。 (規約外事項) 第71条 規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法そ の他の法令の定めるところによる。 2 規約、使用細則等又は法令のいずれにも定めのない事項については、総 会の決議により定める。 - 23 - 〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 (規約原本等) 第72条 この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約 を1通作成し、これを規約原本とする。 2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面に よる請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。 3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、 理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約 原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記 載し、署名押印した上で、この書面を保管する。 4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事 長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規 約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさ せなければならない。 5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日 時、場所等を指定することができる。 6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなけ ればならない。 (イ)電磁的方法が利用可能な場合 (規約原本等) 第72条 この規約を証するため、区分所有者全員が書面に記名押印又 は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とす る。 2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面又 は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなけ ればならない。 3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、 理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、 その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相 違ないことを記載又は記録し、署名押印又は電子署名した上で、この - 24 - 書面又は電磁的記録を保管する。 4 区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があっ たときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及 び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以 下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。 5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日 時、場所等を指定することができる。 6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなけ ればならない。 7 電磁的記録により作成された規約原本等の閲覧については、第49 条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。


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マンション標準管理規約(単棟型)コメント 全般関係 ① マンションが重要な居住形態となっている中で、マンションの快適な居 住環境を確保するため、区分所有者は、具体的な住まい方のルールを定め ておくことが重要であるとともに、社会的には、マンションを社会的資産 として、その資産価値を保全することが要請されている。 このような状況の中で、管理組合はマンションを適正に管理するよう努 め、国は情報提供等の措置を講ずるよう努めなければならない旨の適正化 法の規定を踏まえ、国は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管 理規約を制定、変更する際の参考として、このマンション標準管理規約及 びマンション標準管理規約コメントを作成し、その周知を図るものである。 ② この標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用の単棟型 マンションで、各住戸の床面積等が、均質のものもバリエーションのある ものも含めている。 いわゆる等価交換により特定の者が多数の住戸を区分所有する場合、一 部共用部分が存する場合、管理組合を法人とする場合等は別途考慮するも のとする。 なお、店舗併用等の複合用途型マンション及び数棟のマンションが所在 する団地型マンションについては、それぞれについて標準管理規約を示し ているので、それらを参考とするものとする。 ③ この標準管理規約で示している事項については、マンションの規模、居 住形態等それぞれのマンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、 合理的に修正し活用することが望ましい。 なお、別に定められる公正証書による規約と一覧性をもたせることが望 ましい。 第5条関係 包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。賃借人は、 占有者に当たる。 第6条関係 管理組合は、マンションの管理又は使用をより円滑に実施し、もって区 分所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するも のであり、区分所有者全員が加入するものである。区分所有法によれば、 区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人となることができるが、この - 2 - 規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組 合は権利能力なき社団である。 第7条関係 ① 専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉 庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。また、すべての住戸に倉庫 又は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用 契約により使用させることとする。 ② 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を共用 部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負 担関係と連動するものではない。 利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成す る部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部につい ては構造的変更を禁止する趣旨である。 ③ 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、 この境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにし たものである。 ④ 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。 (第3項関係) ⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。 第10条関係 ① 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。 ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、 それに合わせる必要がある。 登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合 の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算 出する方法をいう。)によるものとする。 ② 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約 等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。な お、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。 第11条関係 ① 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たら ない。 ② 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の 区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は 専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設 - 3 - 定等の処分をしてはならない旨を規定する。 第12条関係 住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判 断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを 有することを要する。 第13条関係 「通常の用法」の具体的内容は、使用細則で定めることとする。 例えば、「自転車は、一階の○○に置きます。それ以外の場所に置いて はいけません。」 第14条関係 ① バルコニー等については、専有部分と一体として取り扱うのが妥当であ るため、専用使用権について定めたものである。 ② 専用使用権は、その対象が敷地又は共用部分等の一部であることから、 それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある 範囲内において、他の者の立ち入りを受けることがある等の制限を伴うも のである。また、工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件 ごとに言及するものとする。 ③ バルコニー及び屋上テラスがすべての住戸に附属しているのではない場 合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。 第15条関係 ① 本条は、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足してお り、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多いという一般的状況を前提とし ている。 ② ここで駐車場と同様に扱うべきものとしては、倉庫等がある。 ③ 本条の規定のほか、使用者の選定方法をはじめとした具体的な手続き、 使用者の遵守すべき事項等駐車場の使用に関する事項の詳細については、 「駐車場使用細則」を別途定めるものとする。また、駐車場使用契約の内 容(契約書の様式)についても駐車場使用細則に位置づけ、あらかじめ総 会で合意を得ておくことが望ましい。 ④ 駐車場使用契約は、次のひな型を参考とする。 - 4 - 駐車場使用契約書 ○○マンション管理組合(以下「甲」という。)は、○○マンシ ョンの区分所有者である○○(以下「乙」という。)と、○○マンシ ョンの駐車場のうち別添の図に示す○○の部分につき駐車場使用契約 を締結する。当該部分の使用に当たっては、乙は下記の事項を遵守す るものとし、これに違反した場合には、甲はこの契約を解除すること ができる。 記 1 契約期間は、平成 年 月 日から平成 年 月 日までとす る。ただし、乙がその所有する専有部分を他の区分所有者又は第 三者に譲渡又は貸与したときは、本契約は効力を失う。 2 月額○○円の駐車場使用料を前月の○日までに甲に納入しなけ ればならない。 3 別に定める駐車場使用細則を遵守しなければならない。 4 当該駐車場に常時駐車する車両の所有者、車両番号及び車種を あらかじめ甲に届け出るものとする。 ⑤ 車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又 は駐車場使用細則に規定することが望ましい。 ⑥ 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の 規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をは く奪することができる旨の規定を定めることもできる。 ⑦ 駐車場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2回目 以降の場合には抽選又は申込順にする等、公平な方法により行うものとす る。 また、マンションの状況等によっては、契約期間終了時に入れ替えると いう方法又は契約の更新を認めるという方法等について定めることも可能 である。 ⑧ 駐車場が全戸分ない場合等には、駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料 金と均衡を失しないよう設定すること等により、区分所有者間の公平を確 保することが必要である。 第16条関係 ① 有償か無償かの区別、有償の場合の使用料の額等について使用条件で明 - 5 - らかにすることとする。 ② 第2項の対象となるのは、広告塔、看板等である。 第17条関係 ① 区分所有者は、区分所有法第6条第1項の規定により、専有部分の増築 又は建物の主要構造部に影響を及ぼす行為を実施することはできない。 ② 「専有部分の修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは 取替え」の工事の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設 置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管 (枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。 ③ 本条は、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け、取替え工事に当たって、 共用部分内に係る工事についても、理事長の承認を得れば、区分所有者が 行うことができることも想定している。 ④ 専有部分の修繕等の実施は、共用部分に関係してくる場合もあることか ら、ここでは、そのような場合も想定し、区分所有法第18条の共用部分 の管理に関する事項として、同条第2項の規定により、規約で別の方法を 定めたものである。 なお、区分所有法第17条の共用部分の変更に該当し、集会の決議を経 ることが必要となる場合もあることに留意する必要がある。 ⑤ 承認を行うに当たっては、専門的な判断が必要となる場合も考えられる ことから、専門的知識を有する者(建築士、建築設備の専門家等)の意見 を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。 特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により 影響が異なるので、専門家への確認が必要である。 ⑥ 承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請 者に負担させることが適当である。 ⑦ 工事の躯体に与える影響、防火、防音等の影響、耐力計算上の問題、他 の住戸への影響等を考慮して、承認するかどうか判断する。 ⑧ 専有部分に関する工事であっても、他の居住者等に影響を与えることが 考えられるため、工事内容等を掲示する等の方法により、他の区分所有者 等へ周知を図ることが適当である。 ⑨ 本条の承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、 第67条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示 若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措 置等をとることができる。 ⑩ 本条の規定のほか、具体的な手続き、区分所有者の遵守すべき事項等詳 細については、使用細則に別途定めるものとする。 ⑪ 申請書及び承認書の様式は、次のとおりとする。 - 6 - 専有部分修繕等工事申請書 平成 年 月 日 ○○マンション管理組合 理事長 ○○○○ 殿 氏 名 ○○○○ 下記により、専有部分の修繕等の工事を実施することとしたいの で、○○マンション管理規約第17条の規定に基づき申請します。 記 1 対象住戸 ○○号室 2 工事内容 3 工事期間 平成 年 月 日から 平成 年 月 日まで 4 施工業者 5 添付書類 設計図、仕様書及び工程表 専有部分修繕等工事承認書 平成 年 月 日 ○○○○ 殿 平成 年 月 日に申請のありました○○号室における専有部分の 修繕等の工事については、実施することを承認します。 (条件) ○○マンション管理組合 理事長 ○○○○ 第18条関係 ① 使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ 等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉 庫等の使用方法、使用料等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事 項等があげられ、このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な 事項は規約で定めるべき事項である。 - 7 - なお、使用細則を定める方法としては、これらの事項を一つの使用細則 として定める方法と事項ごとに個別の細則として定める方法とがある。 ② 犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定 は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の 細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。 なお、飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合 への届出又は登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並 びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼 育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める 必要がある。 ③ ペット飼育を禁止する場合、容認する場合の規約の例は、次のとおりで ある。 ペットの飼育を禁止する場合 (ペット飼育の禁止) 第○条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わ ず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内 で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱 帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身 体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴 導犬)を使用する場合は、この限りではない。 ペットの飼育を容認する場合 (ペットの飼育) 第○条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及 びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区 分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場 合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。 第19条関係 ① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、そ れ以外に、区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、区分所 有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義 務を定めたものである。 ② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、 対象物件の使用に関する事項とする。 ③ 貸与に係る契約書に記載する条項及び管理組合に提出する誓約書の様式 は次のとおりとする。 - 8 - 賃貸借契約書 ○○条 賃借人は、対象物件の使用、収益に際して、○○マンショ ン管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守しなければ ならない。 2 賃借人が、前項に規定する義務に違反したときは、賃貸人は、 本契約を解除することができる。 誓 約 書 私は、○○○○(賃貸人)との○○マンション○○号室(以下 「対象物件」という。)の賃貸借契約の締結に際し、下記事項を誓約 します。 記 対象物件の使用に際しては○○マンション管理規約及び同使用細 則に定める事項を誠実に遵守すること。 平成 年 月 日 ○○マンション管理組合 理 事 長 ○○○○ 殿 住所 氏名 印 ④ 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与している間(当該専有部分 から転出する場合のみならず、転出後さらに転居する場合も含む。)は、 現に居住する住所、電話番号等の連絡先を管理組合に届け出なければなら ない旨を規約に定めることも、区分所有者に連絡がつかない場合を未然に 回避する観点から有効である。また、長期間不在にする場合も、届出の規 定を設けることが有効である。 なお、上述の定めをした場合であっても、届出をしない区分所有者に対 する総会招集手続きについては、第43条第2項及び第3項によることと なる。 - 9 - 第21条関係 ① 駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。 ② バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わな ければならないのは、計画修繕等である。 ③ 本条ただし書の「通常の使用に伴う」管理とは、バルコニーの清掃や窓 ガラスが割れた時の入れ替え等である。 ④ 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。 ⑤ 配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の 保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え 等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実 費に応じて負担すべきものである。 第22条関係 ① 窓枠、窓ガラス及び玄関扉(玄関扉にあっては、錠及び内部塗装部分を 除く。以下「開口部」という。)については、第7条第二号及び第三号に おいて専有部分に含まれないこととされていること、専有部分に属さない 「建物の部分」については、第8条に基づく別表第2において共用部分と されていることから、開口部は共用部分として扱うこととなる。 ② また、区分所有法は、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部 分の変更について、集会の普通決議により決することを定めている。 ③ 第1項は、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上のため行われる開 口部の改良工事については、原則として、他の共用部分と同様に計画修繕 の対象とすべき旨を規定したものである。 ④ 第2項は、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯 性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス 問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸にお いて緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることにかんがみ、計画 修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、各区分所 有者の責任と負担において工事を行うことができるよう、細則をあらかじ め定めるべきことを規定したものである。 ⑤ また、第2項は、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共 用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないこ とから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等をあら かじめ定型的に細則で定めることにより、その範囲内で行われるものにつ いては施工の都度総会の決議を求めるまでもなく、各区分所有者の責任と 負担において実施することを可能とする趣旨である。 ⑥ 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開 口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上 - 10 - 等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により 優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓又は外窓の 増設等が考えられる。 ⑦ 各区分所有者の責任と負担において行うことができるものとしてあらか じめ定型的な工事内容を定めるに当たっては、専門的知識を有する者の意 見を聴くことを考慮する。 ⑧ 本条の規定のほか、具体的な工事内容、区分所有者の遵守すべき事項等 詳細については、細則に別途定めるものとする。 ⑨ 申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定め るものとする。 第25条関係 ① 管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。 ② 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として 管理費とは分離して徴収することもできる。 第27条関係 ① 管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては 一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は区分所有者全員の 利益のために活動することにかんがみ、適正な水準に設定することとする。 ② コミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等 の円滑な実施などに資するものであり、マンションの適正管理を主体的に 実施する管理組合にとって、必要な業務である。 管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュニテ ィ形成のために実施する催事の開催費用等居住者間のコミュニティ形成や、 管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュ ニティにも配慮した管理組合活動である。 他方、各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払 うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のた め居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持 ・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。 第28条関係 ① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う 計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てるこ ととしたものである。 ② 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していく ため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕 - 11 - 時に、既存の修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担 金が区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても修繕積立 金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。 ③ 円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えま でのプロセスの概要は、円滑化法の制定を踏まえ作成された「マンション の建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」(平成15年1月国土交通 省公表)によれば、次のとおりである。 A.建替え決議までのプロセス (ア)準備段階:一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛 同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる 段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得る こと」を目標とする。 (イ)検討段階:管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの 必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合とし て、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とす る。 (ウ)計画段階:管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りながら、 建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策定す るとともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とする。 B.建替え決議後のプロセス (ア)建替組合の設立段階:定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の 認可を受けて建替組合を設立する段階。 (イ)権利変換段階:権利変換計画を策定し、同計画に関し都道府県知事 等の認可を受け、権利変換を行う段階。 (ウ)工事実施段階:建替え工事を施工し、工事完了時にマンション建替 事業に係る清算を行う段階。 (エ)再入居と新管理組合の設立段階:新マンションに入居し、新マンシ ョンの管理組合が発足する段階。 ④ ③のプロセスのうち、③のA(イ)及び(ウ)の段階においては、管理組合 が建替えの検討のため、調査を実施する。調査の主な内容は、再建マンシ ョンの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する 費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関す る事項等である。 ⑤ ③のプロセスのうち、③のB(ア)の段階においても、修繕積立金を取り 崩すことのできる場合があることを定めたのが第2項である。 ⑥ ③のプロセスによらず、円滑化法第45条のマンション建替事業の認可 に基づく建替え、又は区分所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進 する場合であっても、必要に応じて、第1項及び第2項、又は第2項と同 - 12 - 様の方法により、修繕積立金を取り崩すことは可能である。ただし、任意 の組織に関しては、その設立時期について管理組合内で共通認識を得てお くことが必要である。 ⑦ 建替えに係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じて、 管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。 第29条関係 機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要する ことから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。 第31条関係 届出書の様式は、次のとおりとする。 届 出 書 平成 年 月 日 ○○マンション管理組合 理事長 ○○○○ 殿 ○○マンションにおける区分所有権の取得及び喪失について、下 記のとおり届け出ます。 記 1 対象住戸 ○○号室 2 区分所有権を取得した者 氏名 3 区分所有権を喪失した者 氏名 住所(移転先) 4 区分所有権の変動の年月日 平成 年 月 日 5 区分所有権の変動の原因 第32条関係 ① 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数 の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象とな る建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修 繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の 実施のために重要である。 ② 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。 1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計 - 13 - 画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅でき ることとなる。 2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替 え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周 期、工事金額等が定められているものであること。 3 全体の工事金額が定められたものであること。 また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごと に)見直しをすることが必要である。 ③ 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診 断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。 ④ 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等の ための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の 財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。 ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の 充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則とし て修繕積立金から取り崩すこととなる。 ⑤ 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条に基づいて宅地 建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上 げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基 礎伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条は、 適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分 譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンショ ンには上述の図書が交付されていない場合もある。 他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数 量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日 影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書 関係書類等がある。 このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載す ることが望ましい。 ⑥ 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工 事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建 築基準法第12条第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建 築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火 対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して 後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するた めに有効な情報である。 ⑦ 管理組合が保管する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第 五号及び⑤に掲げる設計図書等、第六号及び⑥に掲げる修繕等の履歴情報 - 14 - があげられるが、その他に、理事長が保管する書類等としては、第49条 第3項で定める総会議事録、第53条第2項の規定に基づき準用される第 49条第3項で定める理事会議事録、第64条及び第64条関係コメント に掲げる帳票類、第72条で定める規約原本等があげられる。 このうち、総会議事録及び規約原本の保管は、区分所有法により管理者 が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を 管理者としていることから理事長が保管することとしている。 ⑧ 管理組合が保管する長期修繕計画書、設計図書等及び修繕等の履歴情報 についても、理事長が保管する書類等と同様に閲覧に関する規定を設置す ることが望ましい。また、保管方法についても、電磁的方法が利用可能な 場合には、同方法によって保管することが考えられる。 ⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産 を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実 態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。 第33条関係 第三者に委託する場合は、マンション標準管理委託契約書による。 第33条及び第34条関係 ① マンションは一つの建物を多くの人が区分して所有するという形態ゆえ、 利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断 の難しさなどを踏まえ、建物を維持していく上で区分所有者間の合意形成 を進めることが必要である。 このような中で、マンションを適切に維持、管理していくためには、法 律や建築技術等の専門的知識が必要となることから、管理組合は、マンシ ョン管理業者等第三者に管理事務を委託したり、マンション管理士その他 マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合 の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の 援助を求めたりするなど、専門的分野にも適切に対応しつつ、マンション 管理を適正に進めることが求められる。 ② 管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、 マンション管理士のほか、マンションの権利・利用関係や建築技術に関す る専門家である、弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税 理士等の国家資格取得者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネ ジャー等の民間資格取得者などが考えられる。 ③ 専門的知識を有する者の活用の具体例としては、管理組合は、専門的知 識を有する者に、管理規約改正原案の作成、管理組合における合意形成の 調整に対する援助、建物や設備の劣化診断、安全性診断の実施の必要性に - 15 - ついての助言、診断項目、内容の整理等を依頼することが考えられる。 第35条関係 ① 管理組合は、建物、敷地等の管理を行うために区分所有者全員で構成さ れる団体であることを踏まえ、役員の資格要件を、当該マンションへの居 住の有無に関わりなく区分所有者であるという点に着目して、「組合員」 としているが、それぞれのマンションの実態に応じて、「○○マンション に現に居住する組合員」((注)平成23年改正前の標準管理規約におけ る役員の資格要件)とするなど、居住要件を加えることも考えられる。 ② 理事の員数については次のとおりとする。 1 おおむね10~15戸につき1名選出するものとする。 2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○~○名という 枠により定めることもできる。 ③ 200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、 理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会 を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、 複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。 この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の 部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けること も有効である。なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、 理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会 であることを明確にする必要がある。 ④ 法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいて、法人関係者が 役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務 命令として受けた者に限定する等どのような資格を有する者が実際に役員 業務を行うことができるかについて、あらかじめ規約や細則に定めておく ことが望ましい。 第36条関係 ① 役員の任期については、組合の実情に応じて1~2年で設定することと し、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。 ② 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合 には、役員の任期は2年とする。 ③ 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役 員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもでき る。 第38条関係 - 16 - 例えば植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応において、 日照障害における植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会の決議によ り決定することが望ましい。 第42条関係 (第5項関係) 総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる。 第43条関係 (第3項、第7項関係) 所定の掲示場所は建物内の見やすい場所に設けるものとする。以下同じ。 第44条関係 ① 電磁的方法による議決権行使の具体例には、電子メールの送信やウェブ サイト(ホームページ)への書込みの利用、フロッピーディスクやCD-ROM の交付による方法等がある。 ② 電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に 応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウ ェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、フロッピーデ ィスクに記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、第44条に おいて(イ)を選択した上で第44条第4項第一号は規定しないことが望 ましい。 第45条関係 理事会が必要と認める者の例としては、マンション管理業者、管理員、 マンション管理士等がある。 第46条関係 ① 議決権については、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎と しつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。 ② 各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決 権により対応することも可能である。 また、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併 用することにより対応することも可能である。 ③ 特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その 特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。 ④ 組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について 規約に定めておくことも考えられるが、その場合には、総会は管理組合の - 17 - 最高の意思決定機関であることを踏まえ、組合員の意思が総会に適切に反 映されるよう、区分所有者の立場から利害関係が一致すると考えられる者 に限定することが望ましい。また、総会の円滑な運営を図る観点から、代 理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。 ⑤ 書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に 各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の 招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代 理権を証する書面(いわゆる「委任状」)によって、組合員本人から授権 を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。 このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出 席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組 合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は 賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものであ る。組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によ って組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのために は、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示 されることが重要であることに留意が必要である。 ⑥ 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委 任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効 力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、その ようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、 委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定するこ とが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせ ず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること 等について記載しておくことが考えられる。 第47条関係 ① 第2項は、議長を含む出席組合員(書面又は代理人によって議決権を行 使する者を含む。)の議決権の過半数で決議し、過半数の賛成を得られな かった議事は否決とすることを意味するものである。 ② 特に慎重を期すべき事項を特別の決議によるものとした。あとの事項は、 会議運営の一般原則である多数決によるものとした。 ③ 区分所有法では、共用部分の変更に関し、区分所有者及び議決権の各4 分の3以上の多数による集会の決議(特別多数決議)で決することを原則 としつつ、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更につ いては区分所有者及び議決権の各過半数によることとしている。 建物の維持・保全に関して、区分所有者は協力してその実施に努めるべ きであることを踏まえ、機動的な実施を可能とするこの区分所有法の規定 - 18 - を、標準管理規約上も確認的に規定したのが第47条第3項第二号である。 ④ 第1項に基づき議決権総数の半数を有する組合員が出席する総会におい て、第2項に基づき出席組合員の議決権の過半数で決議(普通決議)され る事項は、総組合員の議決権総数の4分の1の賛成により決議されること にかんがみ、例えば、大規模修繕工事のように多額の費用を要する事項に ついては、総組合員数及び議決権総数の過半数で、又は議決権総数の過半 数で決する旨規約に定めることもできる。 ⑤ このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば 次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく 個別の判断によることとなる。 ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の 加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通 決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けした りして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施 可能と考えられる。 イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて 補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事 で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考 えられる。 ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管 路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程 度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議に より、実施可能と考えられる。 エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場 合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に 変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブ ルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するよ うな場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、 外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可 能と考えられる。 オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、 給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベータ ー設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。 カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なもの や著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関 扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の 撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。 ⑥ 建替え決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係す - 19 - ることから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要であ る。 第49条関係 ① 第3項の「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押 え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等 法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりす る者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。 ② 電磁的記録の具体例には、磁気ディスク、磁気テープ、フロッピーディ スク等のような磁気的方式によるもの、ICカード、ICメモリー等のような 電子的方式によるもの、CD-ROMのような光学的方式によるものなどによっ て調製するファイルに情報を記録したものがある。 ③ 電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の電子署名とは、電磁 的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識すること ができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用 に供されるもの)に記録することができる情報について行われる措置であ って、次のア)及びイ)のいずれにも該当するものである。 ア)当該情報が当該措置を行ったものの作成に係るものであることを示す ためのものであること。 イ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することがで きるものであること。 第53条関係 理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親 等の親族に限り、代理出席を認める旨を規約に定めることもできる。 第54条関係 ① 共用部分の軽微な変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないも の)及び狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に 関する行為)については、大規模マンションなど、それぞれのマンション の実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の 事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。 その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に 反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、 理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮す ることが必要である。 第55条関係 - 20 - ① 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、 理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要と なる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の 決議が必要となる。 ② 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるもので ある。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も 含む。)の参加を求めることもできる。 第58条関係 ① 通常総会は、第42条第3項で新会計年度開始以後2か月以内に招集す ることとしているため、新会計年度開始後、予算案の承認を得るまでに 一定の期間を要することが通常である。第3項及び第4項の規定は、こ のような期間において支出することがやむを得ない経費についての取扱 いを明確化することにより、迅速かつ機動的な業務の執行を確保するも のである。 ② 第3項第一号に定める経費とは、第27条各号に定める経費のうち、経 常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得な いと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の 支出額のおよその範囲内であることが必要である。 ③ 第3項第二号に定める経費とは、総会の承認を得て実施している工事で あって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、二つの会計年度を 跨ってしまうことがやむを得ないものであり、総会の承認を得た会計年 度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、か つ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる ものであることが必要である。 第60条関係 ① 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に 受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推 進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適 正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の 名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る。)又は同号ハの方法を前 提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった 規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に 委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則し た管理方法とする必要がある。 ② 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。 ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料 - 21 - イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納 切手代、その他の実費 ウ)その他督促及び徴収に要した費用 第62条関係 預金口座に係る印鑑等の保管にあたっては、施錠の可能な場所(金庫 等)に保管し、印鑑の保管と鍵の保管を理事長と副理事長に分けるなど、 適切な取扱い方法を検討し、その取扱いについて総会の承認を得て細則等 に定めておくことが望ましい。 第64条関係 ① 作成、保管すべき帳票類としては、第64条に規定するものの他、領収 書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、 保険証券などがある。 ② 組合員名簿の閲覧に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要が ある。 第65条関係 共有持分割合と修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合 に応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を 定めることが望ましい。 第69条関係 ① 分譲会社が締結した協定は、管理組合が再協定するか、附則で承認する 旨規定するか、いずれかとする。 ② 協定書は規約に添付することとする。 ③ ここでいう協定としては、公園、通路、目隠し、共同アンテナ、電気室 等の使用等を想定している。 第70条関係 細則は他に、役員選出方法、管理事務の委託業者の選定方法、文書保存 等に関するものが考えられる。 第72条関係 区分所有者全員が記名押印した規約がない場合には、分譲時の規約案及 び分譲時の区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面又は初めて 規約を設定した際の総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。 - 22 - 附則全般関係 ① 新規分譲において、分譲会社等が原始規約案を作成する際の参考とする 場合は、附則第1条の次に以下のような附則を規定することが考えられる。 (管理組合の成立) 第2条 管理組合は、平成○年○月○日に成立したものとする。 (初代役員) 第3条 第35条にかかわらず理事○名、監事○名とし、理事長、副理 事長、会計担当理事、理事及び監事の氏名は別に定めるとおりとする。 2 前項の役員の任期は、第36条第1項にかかわらず平成○年○月○ 日までとする。 (管理費等) 第4条 各区分所有者の負担する管理費等は、総会においてその額が決 定されるまでは、第25条第2項に規定する方法により算出された別 に定める額とする。 (経過措置) 第5条 この規約の効力が発生する日以前に、区分所有者が○○会社と の間で締結した駐車場使用契約は、この規約の効力が発生する日にお いて管理組合と締結したものとみなす。 ② ①に記載するもののほか、初年度の予算及び事業計画等に関しても必要 に応じて附則で特例を設けるものとする。 ③ 新規分譲において、分譲会社等が原始規約案を作成する際の参考とする 場合は、次の点に留意する。 ア)規約の効力発生時点は、最初に住戸の引渡しがあった時とする。また、 管理組合の成立年月日も、規約の効力発生時点と同じく、最初に住戸の 引渡しがあった時とする。 イ)役員の任期については、区分所有者が自立的に役員を選任することが できるようになるまでとする。 ウ)入居後直ちに開催する総会で抽選で駐車場の使用者を決定する場合に は、附則第5条は、不要である。 別表第1関係 ① 敷地は、規約により建物の敷地としたものも含むものである。 ② 所在地が登記簿上の所在地と住居表示で異なる場合は、両方を記載する こと。 別表第2関係 ① ここでいう共用部分には、規約共用部分のみならず、法定共用部分も含 む。 - 23 - ② 管理事務室等は、区分所有法上は専有部分の対象となるものであるが、 区分所有者の共通の利益のために設置されるものであるから、これを規約 により共用部分とすることとしたものである。 ③ 一部の区分所有者のみの共有とする共用部分があれば、その旨も記載す る。

■2023ノート

Ⅰ 標準管理規約とは

1標準管理規約の意義

 マンションが重要な居住形態となっている中で、マンションの快適な居住環境を確保するため、区分所有者は、具体的な住まい方のルールを定めておくことが重要であるとともに、社会的には、マンションを社会的資産として、その資産価値を保全することが要請されている。
このような状況の中で、管理組合はマンションを適正に管理するよう努め、国は情報提供等の措置を講ずるよう努めなければならない旨の適正化法の規定を踏まえ、国は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、このマンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメントを作成し、その周知を図るものである。
 この標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用の単棟型マンションで、各住戸の床面積等が、均質のものもバリエーションのあるものも含めている。
いわゆる等価交換により特定の者が多数の住戸を区分所有する場合、一部共用部分が存する場合、管理組合を法人とする場合等は別途考慮するものとする。
なお、店舗併用等の複合用途型マンション及び数棟のマンションが所在する団地型マンションについては、それぞれについて標準管理規約を示しているので、それらを参考とするものとする。
この標準管理規約で示している事項については、マンションの規模、居住形態等それぞれのマンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい。
なお、別に定められる公正証書による規約と一覧性をもたせることが望ましい。
(規約全般関係コメント①②④)


2外部専門家の活用

 近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。
以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされ、例えば、第33条及び第34条関係②に挙げるような者が外部の専門家として想定される。
外部の専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的なパターンとしては、別添1に示したとおり、(1)理事・監事外部専門家型や理事長外部専門家型、(2)外部管理者理事会監督型、(3)外部管理者総会監督型の三つが想定される。
この標準管理規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定したものであり、第35条第2項において組合員要件を外した場合には、(1)理事・監事外部専門家型や理事長外部専門家型による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。
なお、(2)、(3)を採用しようとする場合における規定の整備の考え方については別添1に示すとおりである。
(規約全般関係コメント③)

3標準管理規約の目的

この規約は、マンションの管理や使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。(第1条)

4規約及び総会の決議の遵守義務

区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならないのはもちろん、同居する者に対しても規約及び総会の決議を遵守させなければならない。(3)
占有者は、対象物件の使用方法につき、規約及び総会の決議を遵守しなければならない。(5-2)

5規約及び総会の決議の効力

 規約及び総会の決議の効力は、下記の物に及ぶ。(5-1)
①区分所有者
②区分所有者の包括承継人(相続人等)
③区分所有者の特定承継人(買主等)
④占有者(賃借人等)

包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。賃借人は、占有者に当たる。(5コメント)

ただし、占有者には対象物件の使用方法・生活共同上のルールに関するもの以外は、規約及び総会の決議の効力は及ばない。(5-2)

6管理組合

 区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体として、標準管理規約の目的を達成するため、区分所有者全員をもって管理組合を構成する。
2 管理組合は、事務所を○○内に置く。
3 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。

第6条関係
 管理組合は、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」であって、マンションの管理をより円滑に実施し、もって区分所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するものであり、区分所有者全員が加入するものである。
 区分所有法によれば、区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人となることができるが、この規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組合は権利能力なき社団である。
 管理組合は、区分所有者全員の強制加入の団体であって、脱退の自由がないことに伴い、任意加入の団体と異なり、区分所有者は全て管理組合の意思決定に服する義務を負うこととなることから、管理組合の業務は、区分所有法第3条の目的の範囲内に限定される。
 ただし、建物等の物理的な管理自体ではなくても、それに附随しまたは附帯する事項は管理組合の目的の範囲内である。
 各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同利益に関する事項は目的に含まれる。その意味で、区分所有法第3条の「管理」概念は、専有部分の使用方法の規制、多数決による建替え決議など、団体的意思決定に服すべき事項も広く包摂するといえる。なお、管理組合内部における意思決定や業務執行についての統制も、法と規約に基づき行われることが要請されていることに留意する必要がある。
(6、6コメント)


7対象物件の明確化

 標準管理規約では、規約の対象となる物件の範囲を明確にするように定めている(4)


8定義

この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
区分所有権・区分所有者
占有者・専有部分・
共用部分・敷地
区分所有法の定義と同一
共用部分等
共用部分及び附属施設
専用使用部分
専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分
電磁的方法
電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に定めるもの
イ 電子計算機の間を回線で接続した方法であって、回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
ロ 電磁的記録(磁気ディスク等により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの)を交付する方法
具体例)電子メールの送信やウェブサイトへの書込みの利用、CD-R等の交付による方法等
WEB会議システム等 
電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等
利害関係人
敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等、法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。(コメント第49条関係①より)

第2条関係
 電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、CD-R等に記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、イは規定しないことが望ましい。



Ⅱ 専有部分・共用部分

1 専有部分の範囲 (第7条)

1 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。

■専有部分の範囲
天井・床・壁
躯体部分を除く部分
玄関扉
錠及び内部塗装部分
窓枠・窓ガラス
専有部分に含まない

・専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。

第7条関係
① 専有部分として倉庫や車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉庫」や「車庫番号を付した車庫」を加える。また、全ての住戸に倉庫又は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用契約により使用させることとする。
② 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を共用部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負担関係と連動するものではない。
利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成する部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部については構造的変更を禁止する趣旨である。
③ 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したがこの境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにしたものである。
④ 雨戸や網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。
⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。

2 共用部分の範囲(第8条)

対象物件のうち共用部分の範囲は、下記のとおりとする。
1 専有部分に属さない「建物の部分」
エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等
2 専有部分に属さない「建物の附属物」
 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、
テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管等
3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物
 

■排水管、給水管、電気管、ガス管の分岐
メーターボックス
共用
給湯器ボイラー等の設備
専有
給水管
本管から各住戸メーターを含む部分・・・共用
住戸メーターから先・・・専有
雑排水管・汚水管
配管継手及び立て管・・・共用


3 敷地及び共用部分等の共有

・ 敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。(9)
・ 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
・ 登記面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
・ 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
・ なお、価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。(10・10コメ)

4 分割請求及び単独処分の禁止(11)

① 分割請求の禁止

・ 区分所有者は、敷地や共用部分等の分割を請求することはできない。(11-1)

② 単独処分の禁止

・ 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。(11-2)
・ 例外として倉庫や車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡することは可能

第11条関係
① 住戸を他の区分所有者や第三者に貸与することは本条の禁止に当たらない。
② 倉庫や車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、または専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない旨を規定する。



Ⅲ 用法

1 専有部分の用途(12)

 区分所有者はその専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
 もっとも、区分所有者がその専有部分を住宅宿泊事業に使用する場合、下記のように規約で可能にするか禁止するかを定める事ができる
(ア)住宅宿泊事業を可能とする場合
「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用できる」
旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である。

(イ)住宅宿泊事業を禁止する場合
「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。」

第 12 条関係
① 住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。
② 住宅宿泊事業については、可能か禁止かを明記することが望ましい。また、「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。
さらに、「区分所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。」のような規定を置くこともあり得る。
③ マンションによっては、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきである。 多数の区分所有者等による共同生活の場であり、その共同生活の維持のための法的手段が区分所有法上特に設けられているというマンションの特性に鑑みれば、個別のマンションの事情によっては、例えば、住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等のいわゆる家主居住型の住宅宿泊事業に限り可能とするケースも考えられる。

◆いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のみ可能とする場合の条文例
区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合や同じ建物内にある場合に限る。)に使用できる
さらに、個別のマンションの事情によっては、このようないわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合(いわゆる家主同居型)に限り可能とするケースも考えられる。

◆いわゆる家主同居型のみ可能とする場合の条文例
 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合に限る。)に使用できる

④ 新規分譲時の原始規約等において、住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得る。

◆住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する場合の条文令
区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。
⑤ (イ)の場合において、住宅宿泊事業の実施そのものだけでなく、さらに、その前段階の広告掲載等をも禁止する旨を明確に規定するため、「区分所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集や勧誘を行ってはならない。」のような規定を置くこともあり得る。
⑥ 暴力団の排除のため、暴力団事務所としての使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行為について禁止する旨の規定を追加することも考えられる。



2 敷地及び共用部分等の用法(13)

区分所有者は、敷地及び共用部分等をそれぞれの通常の用法に従って使用しなければならない。

第 13 条関係
「通常の用法」の具体的内容は、使用細則で定めることとする。

3 バルコニー等の専用使用権(第14条)

 専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいいます。そして、専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分を専用使用部分といいます。区分所有者は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラスについて、専用使用権を有することを承認する。
 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用できる

第14条関係
① バルコニー等については、専有部分と一体として取り扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである。
② 専用使用権は、その対象が敷地や共用部分等の一部であることから、それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある範囲内において、他の者の立入りを受けることがある等の制限を伴うものである。また、工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件ごとに言及するものとする。
③ バルコニー及び屋上テラスが全ての住戸に附属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。


4 駐車場の使用(第15条)

 標準管理規約では、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多い場合を前提に、特定の区分所有者に対して駐車場使用契約を締結し、駐車場を使用させる方式を採用しています。
 標準管理規約では、駐車場の使用に関して下記のように定めている。
① 使用契約により、「特定の区分所有者」に使用させる
② 管理組合に対して、駐車場使用料を納入する義務を負う
③ 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者や第三者に譲渡や貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う
④ 車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を使用契約又は使用細則に規定することが望ましい。
⑤ 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか、または次回の選定時の参加資格をはく奪できる旨の規定を定めることもできる。
→したがって、このような明文規定がない場合は、管理組合は当該駐車場使用契約を解除することはできない。
⑥ 駐車場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2回目以降の場合には抽選や申込順にする等、公平な方法により行うものとする。
⑦ マンションの状況等によっては、契約期間終了時に入れ替えるという方法や契約の更新を認めるという方法等について定めることも可能
⑧ 駐車場が全戸分ない場合等には、駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料金と均衡を失しないよう設定すること等により、区分所有者間の公平を確保することが必要である。なお、近傍の同種の駐車場料金との均衡については、利便性の差異も加味して考えることが必要である。

第15条関係
① 本条は、近時、駐車場の需要が減少しており、空き区画が生じているケースもある。駐車場収入は駐車場の管理に要する費用に充てられるほか、修繕積立金として積み立てられるため、修繕積立金不足への対策等の観点から組合員以外の者に使用料を徴収して使用させることも考えられる。その場合、税務上、全てが収益事業として課税されるケースもあるが、区分所有者を優先する条件を設定している等のケースでは、外部貸しのみが課税対象となり区分所有者が支払う使用料は共済事業として非課税とする旨の国税庁の見解(「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)」(平成24年2月3日国住マ第43号)及びこれに対する回答(平成24年2月13日))が公表されているため、参照されたい。
② ここで駐車場と同様に扱うべきものとしては、倉庫等がある。
③ 本条の規定のほか、使用者の選定方法をはじめとした具体的な手続、使用者の遵守すべき事項等駐車場の使用に関する事項の詳細については、「駐車場使用細則」を別途定めるものとする。また、駐車場使用契約の内容(契約書の様式)についても駐車場使用細則に位置付け、あらかじめ総会で合意を得ておくことが望ましい。
⑤ 第3項は、家主同居型の住宅宿泊事業を実施する場合は、対象としていないと考えられる。
例えば、駐車場使用契約に使用期間を設け、期間終了時に公平な方法により入替えを行うこと(定期的な入替え制)が考えられる。
なお、駐車場が全戸分ある場合であっても、平置きか機械式か、屋根付きの区画があるかなど駐車場区画の位置等により利便性・機能性に差異があるような場合には、マンションの具体的な事情に鑑みて、上述の方法による入替えを行うことも考えられる。
駐車場の入替えの実施に当たっては、実施の日時に、各区分所有者が都合を合わせることが必要であるが、それが困難なため実施が難しいという場合については、外部の駐車場等に車を移動させておく等の対策が考えられる。
⑨  また、平置きか機械式か、屋根付きの区画があるかなど駐車場区画の位置等による利便性・機能性の差異や、使用料が高額になっても特定の位置の駐車場区画を希望する者がいる等の状況に応じて、柔軟な料金設定を行うことも考えられる。


5 第三者の使用(第16条)

1 管理組合は、下記のように敷地及び共用部分等の一部を使用させることができる。
管理事務室、管理用倉庫、機械室等
対象物件の管理の執行上必要な施設
管理事務を受託した者
電気室
対象物件に電気を供給する設備を維持・運用する事業者
ガスガバナー(整圧室)
当該設備を維持・運用する事業者

2 さらに管理組合は、【総会の決議を経て】、敷地及び共用部分等の一部(駐車場及び専用使用部分を除く。)について、第三者に使用させることができる。

例)広告塔、看板等


6 専有部分の修繕等


① 理事長の承認

 区分所有者は、専有部分について共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕等(修繕・模様替え・建物に定着する物件の取付けもしくは取替え)でを行おうとするときは、あらかじめ、理事長に申請し、書面や電磁的方法による承認を受けなければならない。
 理事長は修繕等の実施の申請について、理事会の決議により、その承認不承認を決定しなければならない。
 そして区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。

〇 承認を必要とする修繕等の例
床のフローリング
ユニットバスの設置
主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置
配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え
間取りの変更等

〇 承認の判断
〇 承認の判断に当たっては、専門的知識を有する者の意見を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要である。
〇 承認の判断に際して、調査等により費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当


② 設計図等の提出

 区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。


③ 修繕箇所への立ち入り・調査

  理事長又はその指定を受けた者は、専有部分の修繕工事の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、「正当な理由」がなければこれを拒否してはならない。


④ 承認を受けない場合の措置

  承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、理事長は、その是正等のため必要な勧告や指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除や原状回復のための必要な措置等をとることができる。
 調査の結果、理事長に申請や届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認された場合も、同様である。


⑤ 承認後の措置

理事長の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分や他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。

⑥ 承認を要さない専有部分の修繕等の届出
区分所有者は、理事長の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分や他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。

第17条関係
① 区分所有者は、区分所有法の規定により、専有部分の増築や建物の主要構造部に影響を及ぼす行為を実施することはできない。

③ 本条は、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け、取替え工事に当たって、共用部分内に係る工事についても、理事長の承認を得れば、区分所有者が行うことができることも想定している。

④ 専有部分の修繕等の実施は、共用部分に関係してくる場合もあることから、ここでは、そのような場合も想定し、共用部分の管理に関する事項として、同条第2項の規定により、規約で別の方法を定めたものである。なお、区分所有法第17条第1項の共用部分の変更に該当し、集会の決議を経ることが必要となる場合もあることに留意する必要がある。

⑦ 工事の躯体に与える影響、防火、防音等の影響、耐力計算上の問題、他の住戸への影響等を考慮して、承認するかどうか判断する。考え方については別添2を参照のこと。なお、承認の判断に当たっては、マンションの高経年化に伴い専有部分の修繕等の必要性が増加することも踏まえ、過度
な規制とならないようにすること、修繕技術の向上により、新たな工事手法に係る承認申請がされた場合にも、別添2に示された考え方を参考にすればよいことに留意する。なお、工事内容が上下左右の区分所有者に対して著しい影響を与えるおそれがあると判断される場合には、当該区分所有者の同意を必要とすることも考えられる。

⑧ 承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである(第54条第1項第五号参照)。

⑨ なお、老朽化が進む等、近い将来に、建替え若しくはマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)が想定されるマンションにおいて、高額な費用をかけて専有部分の大規模な修繕等を行う区分所有者がいた場合には、その工事から数年後に建替え等の検討が始まると、当該区分所有者にとって二重の出費ともなりかねないほか、合意形成に支障が生ずる可能性がある。このため、近い将来に建替え等の検討の可能性があるマンションにおいては、修繕等について理事長の承認を求めてくる区分所有者に対して、近い将来に建替え等が検討される可能性がある旨の注意喚起を行うことが望ましい。なお、注意喚起があった上で、実際に修繕等を行うか否かはあくまで当該区分所有者の判断である。

⑩ 第5項の立入り、調査に関しては、施工状況を確認する必要があるものについて、工事中の現場で管理組合の理事等(や組合から依頼を受けた技術者)が立ち会って確認することが考えられる。人手や工期などにより実際に立ち会うことが難しい場合には、抜き打ちで検査することをアナウンスしたり、工事業者に写真等の記録を取らせ報告させたりすることが考えられる。施工状況を確認する場合、図面の読み方や工事の進め方を知っている外部の専門家の協力が必要になる。確認が必要なものとしては、例えば、次のようなものが考えられる。
・ 全面リフォームを行う工事について、壁、床等をはがして耐力壁を撤去しないか、工事対象を確認する。
・ 躯体コンクリートにスリーブをあける際やアンカーを打ち込む際に、鉄筋を探査してから穴をあけているか、手順を確認する。
⑪ 第6項は、第1項の承認が、修繕等の工事の結果、共用部分や他の専有部分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した区分所有者の責任や負担を免責するものではないことを確認的に定める趣旨である。
なお、工事を発注する場合には、工事業者と協議した上で、契約書に事後的な影響が生じた場合の責任の所在と補償等についても明記することが適切である。
また、管理組合等が専有部分の修繕の記録を保管しておくため、工事業者から工事完了報告書等を提出させることも考えられる。

⑫ 第7項は、第1項の承認を要しない修繕等であっても、工事の実施期間中において、共用部分や他の専有部分に対し、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等の影響が想定されることから、管理組合が事前に把握する必要があるため、事前に届出を求めるものである。なお、第1項の場合と異なり、工事の過程における影響を問題とするものであり、工事の結果による事後的な影響を問題とする趣旨ではないことに留意する。また、他の居住者等に影響を与えることが考えられるため、上記届出に加えて工事内容等を掲示する等の方法により、他の区分所有者等へ周知を図ることが適当である。

⑭ 本条の規定のほか、具体的な手続、区分所有者の遵守すべき事項等詳細については、使用細則に別途定めるものとする。その際、上述した別添2の内容についても、各マンションの実情に応じて、参考にするとともに、必要に応じて、専門的知識を有する者の意見を聴くことが望ましい。



7 使用細則

対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとし、総会の普通決議で定めることができる。

① 使用細則で定めることが考えられる事項

・ 専有部分の使用方法に関する規制(動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等)
・ 敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項(駐車場、倉庫等の使用方法、使用料、置き配を認める際のルール等)

② 犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。
なお、飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合への届出や登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める必要がある。

④ 専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認められないが、宅配ボックスが無い場合等、例外的に共用部分への置き配を認める場合には、長期間の放置や大量・乱雑な放置等により避難の支障とならないよう留意する必要がある。

⑤ 住宅宿泊事業を可能とする場合は、必要に応じ、住宅宿泊事業法第13条に基づき掲げなければならないこととされている標識の掲示場所等の取扱いについて、あらかじめ使用細則において明確化しておくことが望ましい。



8 専有部分の貸与

区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。この場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

第19条関係
① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、それ以外に、区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、区分所有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義務を定めたものである。

② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、対象物件の使用に関する事項とする。

③ 貸与に係る契約書に記載する条項及び管理組合に提出する誓約書の様式は次のとおりとする。

④ 住宅宿泊事業を可能とする場合は、管理組合が事業開始を把握することがトラブル防止に資すると考えられるため、例えば、「区分所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業法第2条第3項の住宅宿泊事業を実施することを内容とする、同法第3条第1項の届出を行った場合は、遅滞なく、その旨を管理組合に届け出なければならない。」等と規約に定めることも有効である。また、宿泊者等からの誓約書については提出義務を免除する旨を定めることも考えられる。

⑤ 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与している間(当該専有部分から転出する場合のみならず、転出後さらに転居する場合も含む。)は、現に居住する住所、電話番号等の連絡先を管理組合に届け出なければならない旨を規約に定めることも、区分所有者に連絡がつかない場合を未然に回避する観点から有効である。また、長期間不在にする場合も、届出の規定を設けることが有効である。
なお、上述の定めをした場合であっても、届出をしない区分所有者に対する総会招集手続については、第43条第2項及び第3項によることとなる。


9 暴力団員の排除

 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない。
① 契約の相手方が暴力団員ではないこと、契約後に暴力団員にならないことを確約すること。
② 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること。
③ 区分所有者が解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。

2 また区分所有者は、③の解約権の代理行使を管理組合に認める旨の書面の提出(当該書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供を含む。)をするとともに、契約の相手方に暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
 区分所有者の解約権は、区分所有者と第三者との間の契約における解除原因に係る特約を根拠とするものであり、管理組合は、区分所有者から当該解約権行使の代理権の授与を受けて、区分所有者に代理して解約権を行使する。管理組合の解約権の代理行使は、理事会決議事項とすることも考えられるが、理事会で決定することを躊躇するケースもあり得ることから、総会決議によることが望ましい。


Ⅳ 管理

1 区分所有者の責務(20)

区分所有者は、対象物件について、その価値及び機能の維持増進を図るため、常に適正な管理を行うよう努めなければならない。

2 敷地及び共用部分等の管理(第21条)

1 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
→ コメント④
 「通常の使用に伴う」保存行為とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入替え等である。

→ コメント⑥ 
バルコニー等の破損の原因
通常の使用に伴う?
保存行為の責任と負担
第三者による犯罪行為等
×
管理組合
同居人や賃借人等による破損

専用使用権を有する者

2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。

3 区分所有者は、第1項ただし書の場合やあらかじめ理事長に申請して書面や電磁的方法による承認を受けた場合を除き、敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができない。
 ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。
4 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とあるのは「保存行為」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事」とあるのは「第21条第3項の承認を受けた保存行為後に、当該保存行為」と読み替えるものとする。
5 第3項の規定に違反して保存行為を行った場合には、当該保存行為に要した費用は、当該保存行為を行った区分所有者が負担する。
6 理事長は、災害等の緊急時においては、総会や理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

第21条関係
① 第1項及び第3項は、区分所有法第18条第1項ただし書において、保存行為は、各共有者がすることができると定められていることに対し、同条第2項に基づき、規約で別段の定めをするものである。
② 駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。
③ バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。

⑤ バルコニー等の経年劣化への対応については、③のとおり管理組合がその責任と負担において、計画修繕として行うものである。
ただし、バルコニー等の劣化であっても、長期修繕計画作成ガイドラインにおいて管理組合が行うものとされている修繕等の周期と比べ短い期間で発生したものであり、かつ、他のバルコニー等と比較して劣化の程度が顕著である場合には、特段の事情がない限りは、当該バルコニー等の専用使用権を有する者の「通常の使用に伴う」ものとして、その責任と負担において保存行為を行うものとする。なお、この場合であっても、結果として管理組合による計画修繕の中で劣化が解消されるのであれば、管理組合の負担で行われることとなる。

⑦ 第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
 配管の清掃等に要する費用については、「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。
 なお、共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である
⑧ 第3項ただし書は、例えば、台風等で住戸の窓ガラスが割れた場合に、専有部分への雨の吹き込みを防ぐため、割れたものと同様の仕様の窓ガラスに張り替えるというようなケースが該当する。
 また、第5項は、区分所有法第19条に基づき、規約で別段の定めをするものである。承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである。
⑨ 区分所有法第26条第1項では、敷地及び共用部分等の保存行為の実施が管理者(本標準管理規約では理事長)の権限として定められている。第6項では、災害等の緊急時における必要な保存行為について、理事長が単独で判断し実施できることを定めるものである。災害等の緊急時における
必要な保存行為としては、共用部分等を維持するための緊急を要する行為や共用部分等の損傷・滅失を防止して現状の維持を図るための比較的軽度の行為が該当する。後者の例としては、給水管・排水管の補修、共用部分等の被災箇所の点検、破損箇所の小修繕等が挙げられる。この場合に必要な支出については、第58条第6項及びコメント第58条関係⑤を参照のこと。

⑩ 災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができる。
 しかし、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。
 更に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。

⑪ 災害等の緊急時における必要な保存行為の実施のほか、平時における専用使用権のない敷地や共用部分等の保存行為について、理事会の承認を得て理事長が行えるとすることや、少額の保存行為であれば理事長に一任することを、規約において定めることも考えられる。
 その場合、理事長単独で判断し実施することができる保存行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。



3 窓ガラス等の改良(第22条)

1 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音や断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2 区分所有者は、管理組合が上記工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面等による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施できる

3 上記の申請及び承認の手続については、専有部分の修繕の規定を準用する。
区分所有者は、設計図、仕様書、工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
理事長は、申請について、「理事会の決議」により、その承認又は不承認を決定しなければならない。
理事長やその指定を受けた者は、必要な範囲内において、窓ガラス等の工事の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。(17-5)
理事長の承認を受けた窓ガラス等の工事後に、当該工事により共用部分や他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。(17-6)

第22条関係

① 区分所有法では、窓枠、窓ガラス、玄関扉(玄関扉にあっては、錠及び内部塗装部分を除く。以下「開口部」)については、専有部分に含まれないこととされていること、専有部分に属さない「建物の部分」については、共用部分とされていることから、開口部は共用部分として扱うこととなる。また、その形状や効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更について、集会の普通決議により決することを定めている。

③ 第1項では、防犯、防音や断熱等の住宅の性能の向上のため行われる開口部の改良工事については、原則として、他の共用部分と同様に計画修繕の対象とすべき旨を規定し、第2項では、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸において緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることに鑑み、計画修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各区分所有者の責任と負担において工事を行うことができるよう規定したものである。
承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである
 また、第2項及び第3項は、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないことから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等に問題のないものは、施工の都度総会の決議を求めるまでもなく、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各区分所有者の責任と負担において実施することを可能とする趣旨である。

⑥ 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音や断熱等の住宅の性能の向上等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓や外窓の増設等が考えられる。

⑦ 具体的な工事内容、区分所有者の遵守すべき事項等詳細については、細則に別途定めるものとする。その際、各マンションの実情に応じて、参考にするとともに、必要に応じて、専門的知識を有する者の意見を聴くことが望ましい。

⑧ 申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定めるものとする。


4 必要箇所への立入り(第23条)

1・2 共用部分の管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。立入りを請求された者は、「正当な理由」がなければこれを拒否してはならない。
3 正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
4  理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等や他の専有部分に対して物理的にや機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分や専用使用部分に自ら立ち入り、や委任した者に立ち入らせることができる。
5 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。

第23条関係(第4項関係)
① 第4項の緊急の立入りが認められるのは、災害時等における共用部分に係る緊急的な工事に伴い必要な場合や、専有部分における大規模な水漏れ等、そのまま放置すれば、他の専有部分や共用部分に対して物理的に機能上重大な影響を与えるおそれがある場合に限られるものである。
② 第4項の規定の実効性を高めるため、管理組合が各住戸の合い鍵を預かっておくことを定めることも考えられるが、プライバシーの問題等があることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討する必要がある。


5 損害保険(第24条)

区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
2 理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。


Ⅴ 費用の負担

1 管理費等

区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費等(管理費・修繕積立金)を管理組合に納入しなければならない。この管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。なお、管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。
 議決権割合の設定方法について、一戸一議決権や価値割合を採用する場合であっても、これとは別に管理費等の負担額については、共用部分の共有持分に応じて算出することが考えられる。


2 管理費

管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
① 管理員人件費
② 公租公課
③ 共用設備の保守維持費及び運転費
④ 備品費、通信費その他の事務費
⑤ 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
⑥ 経常的な補修費
⑦ 清掃費、消毒費及びごみ処理費
⑧ 委託業務費
⑨ 専門的知識を有する者の活用に要する費用
⑩ 管理組合の運営に要する費用(役員活動費も含まれる)
⑪ その他管理組合の業務に要する費用(特別の管理に要する経費を除く。)

 管理組合による従来の活動の中で、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。
 また管理組合は、区分所有者全員で構成される強制加入の団体であり、居住者が任意加入する地縁団体である自治会、町内会等とは異なる性格の団体であることから、管理組合と自治会、町内会等との活動を混同することのないよう注意する必要がある。
 各居住者が各自の判断で自治会や町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費や町内会費等は、地域住民相互の親睦や福祉、助け合い等を図るために居住者が任意に負担するものであり、マンションを維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。
自治会費や町内会費等を管理費等と一体で徴収している場合には、以下の点に留意すべきである。
① 自治会や町内会等への加入を強制するものとならないようにすること。
② 自治会や町内会等への加入を希望しない者から自治会費や町内会費等の徴収を行わないこと。
③ 自治会費や町内会費等を管理費とは区分経理すること。
④ 管理組合による自治会費や町内会費等の代行徴収に係る負担について整理すること。
 管理組合の法的性質からすれば、マンションの管理に関わりのない活動を行うことは適切ではない。例えば、一部の者のみに対象が限定されるクラブやサークル活動経費、主として親睦を目的とする飲食の経費などは、マンションの管理業務の範囲を超え、マンション全体の資産価値向上等に資するとも言い難いため、区分所有者全員から強制徴収する管理費をそれらの費用に充てることは適切ではなく、管理費とは別に、参加者からの直接の支払や積立て等によって費用を賄うべきである。
 管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は区分所有者全員の利益のために活動することに鑑み、適正な水準に設定することとする。
 また管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。


3 修繕積立金

 標準管理規約では対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てることとした。
  管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、以下に挙げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。この修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。
  なお管理組合は、下記の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
① 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
② 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
③ 敷地及び共用部分等の変更
④ 建物の建替え及びマンション敷地売却に係る合意形成に必要となる事項の調査
 ※建替え等に係る調査に必要な経費の支出について、各マンションの実態に応じて、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。
⑤ 敷地・共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

 なお分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。

28-2
 建替え決議や建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンション建替組合の設立の認可やマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画や設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。

28-3
 マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。

③  円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えまでのプロセスの概要は、次のとおりである。(「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」)
A.建替え決議までのプロセス
(ア)準備段階
一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得ること」を目標とする。
(イ)検討段階
管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合として、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とする。
(ウ)計画段階
管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りながら、建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策定するともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とする。

※ 検討段階・計画段階においては、管理組合が建替えの検討のため調査を実施する。
  調査の主な内容は、再建マンションの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関る事項等である。

B.建替え決議後のプロセス
(ア)建替組合の設立
定款・事業計画を定め、知事等の認可を受けて建替組合を設立する段階
(イ)権利変換
権利変換計画を策定し、知事等の認可を受け、権利変換を行う段階。
(ウ)工事実施
建替工事を施工し、工事完了時にマンション建替事業に係る清算を行う段階
(エ)新管理組合の設立
新マンションに入居し、新マンションの管理組合が発足する段階

 上記のプロセスによらず、マンション建替事業の認可に基づく建替えや区分所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進する場合であっても、必要に応じて修繕積立金を取り崩すことは可能である。
 ただし、任意の組織に関しては設立時期について管理組合内で共通認識を得ることが必要である。


4 使用料

 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。
 機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。


5 承継人に対する債権の行使

管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。




Ⅵ 管理組合の業務

1 管理組合の業務(第32条)

管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
① 組合が管理する敷地及び共用部分等(組合管理部分)の保安、保全、保守、清掃、消毒、ごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成や変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
十 修繕積立金の運用
⑪ 官公署、町内会等との渉外業務
⑫ マンション及び周辺の風紀・秩序・安全の維持、防災・居住環境の維持向上に関する業務
⑬ 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務

第32条関係
⑤ 管理組合が管理すべき設計図書
業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図や矩計図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書
ただし、同条は、適正化法の施行前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。
建物の修繕に有用な書類として下記の物がある。
上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、給排水設備図や電気設備図、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等
このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。

⑥ 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事等の時期、箇所、費用等だけでなく、設備の保守点検、建築基準法上の特殊建築物等の定期調査報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。

⑦ 管理組合が管理する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第五号及び⑤に掲げる設計図書等、第六号及び⑥に掲げる修繕等の履歴情報が挙げられるが、具体的な保管や閲覧については、第64条第2項で規定するとおり、理事長の責任により行うこととする。その他に、理事長が保
管する書類等としては、第49条第3項で定める総会議事録、第53条第4項の規定に基づき準用される第49条第3項で定める理事会議事録、第64条及び第64条関係コメントに掲げる帳票類等、第72条で定める規約原本等が挙げられる。
このうち、総会議事録及び規約原本の保管は、区分所有法により管理者が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を管理者としていることから理事長が保管することとしている。
⑧ 従来、第十五号に定める管理組合の業務として、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が掲げられていたが、「コミュニティ」という用語の概念のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第3条に定める管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。なお、これに該当しない活動であっても、管理組合の役員等である者が個人の資格で参画することは可能である。
以上を明確にするため、区分所有法第3条を引用し、第32条本文に「建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため」を加え、第十五号を削除し、併せて、周辺と一体となって行われる各業務を再整理することとし、従来第十二号に掲げていた「風紀、秩序及び安全の維持に関する業務」、従来第十三号に掲げていた「防災に関する業務」及び「居住環境の維持及び向上に関する業務」を、新たに第十二号において「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と規定することとした。なお、改正の趣旨等の詳細については、第27条関係②~④を参照のこと。
⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。



2 長期修繕計画(32コメ1~4)

① 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
② 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
1 計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること。
2 計画修繕の対象工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、「窓・玄関扉等の開口部の改良」等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
3 全体の工事金額が定められたものであること。
また、長期修繕計画の内容については定期的な見直しをすることが必要である。
③ 長期修繕計画の作成や変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
④ 長期修繕計画の作成や変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて「管理費や修繕積立金のどちらから」でもできる。
ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。

3 業務の委託等(33)

管理組合は、業務の全部や一部を、マンション管理業者等第三者に委託または請負させて執行できる
なお、管理会社等の第三者に管理業務委託する場合は、マンション標準管理委託契約書による。


4 専門的知識を有する者の活用(34)

管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりできる

第33条及び第34条関係
① マンションは一つの建物を多くの人が区分して所有するという形態ゆえ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなどを踏まえ、建物を維持していく上で区分所有者間の合意形成を進めることが必要である。
このような中で、マンションを適切に維持、管理していくためには、法律や建築技術等の専門的知識が必要となることから、管理組合は、マンション管理業者等第三者に管理事務を委託したり、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりするなど、専門的分野にも適切に対応しつつ、マンション管理を適正に進めることが求められる。
なお、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わる場合の考え方については、全般関係③、別添1等を参照のこと。
② 管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、マンション管理士のほか、マンションの権利・利用関係や建築技術に関する専門家である、弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士等の国家資格取得者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネジャー等の民間資格取得者などが考えられる。
③ 専門的知識を有する者の活用の具体例としては、管理組合は、専門的知識を有する者に、管理規約改正原案の作成、管理組合における合意形成の調整に対する援助、建物や設備の劣化診断、安全性診断の実施の必要性についての助言、診断項目、内容の整理等を依頼することが考えられる。

5  組合員(30・31)

組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。
また、 新たに組合員の資格を取得しや喪失した者は、直ちにその旨を書面や電磁的方法により管理組合に届け出なければならない。

6 役員の選任(35)

 管理組合には、理事長、副理事長、会計担当理事、理事、 監事の役員を置きます。役員の資格要件を、「組合員」である必要がある。この際、居住要件を加えることも考えられる。
 他方で、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能で、この場合は選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。
 また、理事及び監事は、総会の決議によって、選任・解任する。理事長・副理事長・会計担当理事は、理事会の決議によって、理事のうちから選任・解任する。


7 理事の員数(35コメ2-4)

 理事の員数については、おおむね10~15戸につき1名選出するものとする。また、員数の範囲は、3~20名程度とし、「○~○名」という枠を定めることもできる。
 また200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい)による幹部会を設けることも有効である。
 なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある。
 ところで、役員として意思決定を行えるのは自然人であり、法人そのものは役員になることができない。したがって、法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者等を選任することが一般的に想定される。
 
 外部専門家として役員を選任する場合であって、法人、団体等から派遣を受けるときも、同様に、当該法人、団体等から指定された者(自然人)を選任することが一般的に想定される。なお、法人の役職員が役員になった場合においては、特に利益相反取引について注意が必要である(第37条の2関係参照)。
⑤ 第4項の選任方法に関する細則の内容としては、選任の対象となる外部の専門家の要件や選任の具体的な手続等を想定している。なお、⑥及び第36条の2関係②について併せて参照のこと。
⑥ 外部の専門家を役員として選任する場合には、その者が期待された能力等を発揮して管理の適正化、財産的価値の最大化を実現しているか監視・監督する仕組みが必要である。このための一方策として、法人・団体から外部の専門家の派遣を受ける場合には、派遣元の法人・団体等による報告
徴収や業務監査や外部監査が行われることを選任の要件として、第4項の細則において定めることが考えられる。


8 役員の任期(第36条)

1 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 任期の満了や辞任によって退任する役員(会計担当理事・監事も含む)は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
 →解任・組合員で無くなることは「任期の満了又は辞任」ではないため、職務続行義務を負わない
4 選任(再任を除く。)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。

第36条関係
① 役員の任期については、組合の実情に応じて1~2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
② 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
③ 第4項は、組合員から選任された役員が組合員でなくなった場合の役員の地位についての規定である。第35条第2項において組合員要件を外した場合には、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」のような規定とすべきである。
 それは、例えば、外部の専門家として選任された役員は、専門家としての地位に着目して役員に選任されたものであるから、当該役員が役員に選任された後に組合員となった場合にまで、組合員でなくなれば当然に役員としての地位も失うとするのは相当でないためである。
④ 役員が任期途中で欠けた場合、総会の決議により新たな役員を選任することが可能であるが、外部の専門家の役員就任の可能性や災害時等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約において、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定
めておくことが望ましい。
 また、組合員である役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
なお、理事や監事の員数を、○~○名という枠により定めている場合には、その下限の員数を満たさなくなったときに、補欠を選任することが必要となる。

9 役員の欠格条項(36の2)
次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。

① 精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者や破産者で復権を得ないもの
② 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
③ 暴力団員等(暴力団員や暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)

第36条の2関係
① 選択肢として、役員の資格を組合員に限定することを改め外部の専門家を役員に選任することができるようにしたことを踏まえ、役員の欠格条項を定めるものである。
② 外部の専門家からの役員の選任について、第35条第4項として細則で選任方法を定めることとする場合、本条に定めるほか、細則において、次のような役員の欠格条項を定めることとする。
ア 個人の専門家の場合
・ マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者から役員を選任しようとする場合にあっては、マンション管理士の登録の取消しや当該分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者
イ 法人から専門家の派遣を受ける場合(アに該当する者に加えて)次のいずれかに該当する法人から派遣される役職員は、外部専門家として役員となることができない。
・ 銀行取引停止処分を受けている法人
・ 管理業者の登録の取消しを受けた法人 


10 役員の誠実義務等

1 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。
2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。

第37条関係
(第1項関係)
① 役員は、管理組合の財産の毀損の防止及びそのために必要な措置を講じるよう努めるものとする。特に、外部の専門家の役員就任に当たっては、判断・執行の誤りによる財産毀損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべきである。さらに、故意・重過失による財
産毀損は、保険の対象外のため、財産的基礎の充実による自社(者)補償や積立て等による団体補償の検討等にも取り組むよう努めるべきである。
(第2項関係)
② マンションの高経年化、区分所有者の高齢化、住戸の賃貸化・空室化等の進行による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、マンションの円滑な管理のために、外部の専門家の役員就任も考えられるところである。この場合、当該役員に対して、必要経費とは別に、理事会での協議・意見交換の参画等に伴う負担と、実際の業務の困難性や専門的技能・能力等による寄与などを総合的に考慮して、報酬を支払うことも考えられる。その際、理事会の議事録の閲覧(第53条第4項)の活用等により、役員の業務の状況を適切に認知・確認することが望ましい。

11 利益相反取引の防止(37の2)

役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 役員が自己や第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
二 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

第37条の2関係
役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己や第三者の利益を図ることがあってはならない。とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたことに伴い、このようなおそれのある取引に対する規制の必要性が高くなっている。
そこで、役員が、利益相反取引(直接取引や間接取引)を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるものである。
なお、同様の趣旨により、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を規定する(第53条第3項)とともに、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事や当該理事以外の理事が管理組合を代表する旨を規定する(第38条第6項)こととしている。


12 理事長


①理事長の役割

理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、以下の業務を遂行する。
① 規約、使用細則等や総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
② 理事会の承認を得て、職員を採用・解雇すること。
理事長は、区分所有法に定める管理者となります。また理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任できます。


②利益相反事項

管理組合と理事長との利益が相反する事項については、たとえ管理組合が承認した場合でも、理事長は代表権を有せず、この場合は、監事や理事長以外の理事が管理組合を代表する。


③報告義務

通常総会において、理事長は組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
また理事長は、一定の期間に1回、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
上記の報告は、WEB会議システム等を用いて開催する通常総会や理事会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、各組合員からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。


13 副理事長

副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。


14 理事

理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。また理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を「監事」に報告しなければならない。


15 会計担当理事

  会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。



16 監事(41)


① 監査業務

監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令・規約の違反、または著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれる。


② 報告請求権と調査権

監事は、いつでも、理事及び管理組合の職員に対して業務の報告を求め、また業務及び財産の状況を調査できる


③ 臨時総会の招集

監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集できる
→この際に理事会の決議が必要である旨の規定はない
→臨時総会の議題としては不正の報告までであり、他の議案は議題とはできない


④ 理事会への出席義務

 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
 監事による監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならない。ただし、理事会は招集手続を経た上で、要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会における決議等の有効性には影響しない。
→監事は、理事から必要な証憑書類等を提出させる権限はない


⑤ 報告義務

 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、法令・規約・使用細則等・総会や理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である


⑥ 理事会の招集

 監事は、理事が不正の行為をしたと認めるとき等の場合、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求できる


⑦ 理事会の確実な開催

 ⑥の理事会の招集の請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集できる



Ⅶ 総会


1 総会の構成

 標準管理規約では、総会を管理組合の意思決定期間とし、区分所有法で定める集会としています。管理組合の総会は、総組合員で組織されます。管理組合の総会は、「総」組合員で組織され、組合員には総会に出席する権利があり、自分の行為の規約違反を理由として総会の議題に取り上げられる場合でも、出席の権利が奪われることはない。


2 総会の種類

  総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。また組合員のほか、「理事会が必要と認めた者(マンション管理業者、管理員、マンション管理士等)」は、総会に出席できる


① 通常総会

 毎年1回、定期的に開催する総会。理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。もっとも災害や感染症の感染拡大等への対応として、WEB会議システム等を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はなく、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば足りると考えられる。


② 臨時総会

理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集できる
また監事による臨時総会の招集権も認められ、さらに以下の要件のもと組合員の総会招集権も認められる。
ア)組合員が「組合員総数の1/5以上」及び「議決権総数の1/5以上に当たる組合員」の同意を得る
→組合員が総会の招集請求をするには、組合員総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意があったことを示すために、その氏名を明らかにする必要がある。
イ)会議の目的を示して総会の招集を請求する
ウ)理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
→ 理事長が上記の通知を発しない場合には、総会の招集請求をした組合員は、臨時総会を招集できる


3 議長

 総会の議長は、理事長が務めるが、 総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる。
 ただし、組合員総数の1/5以上及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て招集された臨時総会においては、議長は、総会に出席した組合員の議決権の過半数をもって、「組合員」の中から選任する。この場合、特に議長の選任手続は不要である。



4 招集通知


 ① 招集期間

 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議やマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
 緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、招集通知の期間を短縮できる
 また、会議の目的が建替えやマンション敷地売却決議の場合は、総会の会日の2か月前に通知を発する必要があり、期間の短縮は認められない。


② 通知すべき事項

 招集通知をする場合において、会議の目的が以下の決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
・ 規約の制定、変更や廃止
・ 敷地及び共用部分等の変更(重大な変更の場合)
・ 大規模滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
・ 建替え決議
・ マンション敷地売却決議

会議の目的が建替え決議であるときは、下記の事項も通知しなければならない。
・ 建替えを必要とする理由
・ 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
・ 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
・ 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、次の事項も通知しなければならない。
一 売却を必要とする理由
二 円滑化法による「特定要除却認定」を受けている場合 
 (1) 改修や建替えをしない理由
 (2) 改修に要する費用の概算額


③ 通知の宛先

  招集通知は、管理組合に対し組合員が届出をした宛先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
 また招集通知は、対象物件内に居住する組合員及び宛先の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、通知に代えることができる。所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとする。


④ 説明会の実施

建替え決議やマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。総会と同様に、WEB会議システム等を用いて説明会を開催することも可能。


⑤ 占有者に対する掲示

 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知し、その通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
→ 利害関係を有する占有者は、区分所有法により総会での意見陳述権が認められており、出席通知を怠っていることのみをもって出席を拒否できる可能性が最も高いとはいえない。


5 議決権


① 議決権割合

 議決権については、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
 また、各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である(一戸一議決権)、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
 一方、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。
 また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。
 ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする。
 価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。

 なお、住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなし、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。この届出のなかった共有者に議決権を行使させることは不適切である。



② 議決権の行使方法

A 代理人
組合員は、書面・電子的方法や代理人によって議決権を行使できます。この場合組合員や代理人は、「代理権を証する書面」を理事長に提出しなければならない。

組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合、代理人は下記の者でなければならない。
① その組合員の配偶者(事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含む)や一親等の親族
② その組合員の住戸に同居する親族
③ 他の組合員
→占有者・賃借人は、このいずれにも該当せず、区分所有者からの委任状があっても、代理人となることはできない。
総会は管理組合の最高の意思決定機関であることを踏まえると、代理人は、区分所有者としての組合員の意思が総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。
また、総会の円滑な運営を図る観点から、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。なお、成年後見人、財産管理人等の組合員の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者であり、当然に議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
なお組合員本人が出席している場合、代理人としての出席は認められない。また欠席の委任状を提出した後に本人が出席した場合には、出席時の賛否に従うのは適切である。

委任状
有効
・ 受任者の欄に「理事長」と記載されている委任状
・ 押印のない委任状
無効
・ 電話での委任

※ 「出席者の多数意見に従います。」との記載のある委任状を、一律出席者の賛否とに同じに数えるのは適切とはいえない。

B 議決権行使書
  「書面による行使」とは、総会には出席しないで、総会の開催前に「議決権行使書」を総会の招集者に提出することをいう。組合員自らが主体的に賛否の意思決定を行う。
 一方で「代理人による行使」は「委任状」によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することをいい、賛否の意思決定を代理人に委ねる。

 総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。
 しかし、やむを得ず総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。
 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。
 そしてWEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様であり、規約の定めや集会の決議は不要である。ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要がある

議決権行使書
「賛成」、「反対」のいずれにも意見表示がない議決権行使書
賛成票として数えない
2以上の議決権をもつ同一人が、一つの議案についての賛否について別々の回答
認めることはできない
押印がされていない
「賛成」の表示と部屋番号・氏名の記載があれば賛成票として数えて問題はない。

7 組合員は、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使できる
8 組合員や代理人は、書面の提出に代えて、電磁的方法によって提出できる



③ 総会の決議事項

総会においては、総会通知によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議できる。
また、規約の制定、変更や廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきとき、及び敷地及び共用部分等の変更が、専有部分や専用使用部分の使用に「特別の影響を及ぼすべきとき」は、影響を受ける組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

普通決議
①ー2 使用細則等の制定、変更や廃止
② 役員の選任・解任、役員活動費の額及び支払方法
③ 収支決算及び事業報告
④ 収支予算及び事業計画
⑤ 長期修繕計画の作成や変更
⑥ 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
⑦ 修繕積立金の保管及び運用方法
→ (例)「マンションすまい・る債」の購入
⑧ 適正化法で規定する管理計画の認定の申請、管理計画の認定の更新の申請、管理計画の変更の認定の申請
⑨ 共用部分と構造上一体となった専有部分の管理の実施
⑩ 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
⑬ 円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請
⑮ 建替え等に係る計画や設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
⑯ 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
⑰ その他管理組合の業務に関する重要事項
特別決議
① ー1 規約の制定、変更や廃止
⑪ 義務違反者に対するの訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
⑫ 大規模滅失した共用部分の復旧
場合による
敷地および共用部分の変更の決議
特殊な決議
⑭-1 建替え決議
⑭-2 マンション敷地売却

「義務違反者に対するの訴えの提起等」の決議を行うには、あらかじめ当該組合員や占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。

議決権総数の半数を有する組合員が出席する総会において、出席組合員の議決権の過半数で決議(普通決議)される事項は、総組合員の議決権総数の4分の1超の賛成により決議されることに鑑み、例えば、大規模修繕工事のように多額の費用を要する事項については、組合員総数及び議決権総数の過半数で、や議決権総数の過半数で決する旨規約に定めることもできる。

④ 決議要件

 
総会の会議(WEB会議システム等含む)は、議決権総数の「半数以上」を有する組合員が出席しなければならない。 書面、電磁的方法や代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
定足数について、議決権を行使することができる組合員がWEB会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席組合員に含まれる。これに対して、議決権を行使することができない傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれない。
 議長を含む出席組合員(書面・電磁的方法による出席や代理人によって議決権を行使する者を含む)の議決権の過半数で決議し、過半数の賛成を得られなかった議事は否決とする。

特に慎重を期すべき事項を特別の決議とし、あとは一般原則である多数決とした。
普通決議
出席組合員の議決権の「過半数」で決する。
→ 可否同数のときは否決となる。議長の裁決権はない。
→「委任状の提出がない場合には、議案に賛成したものとみなす。」という議案書の記載は不適切であり、賛成票として数えなかったことは適切である。
特別決議
「組合員総数の3/4以上」及び「議決権総数の3/4以上」で決する
建替え決議
「組合員総数の4/5以上」及び「議決権総数の4/5以上」で行う
敷地売却決議
組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の「各5分の4以上」で行う

建替え決議及びマンション敷地売却決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要である。


⑤ 敷地及び共用部分等の変更の決議

共用部分等の変更はその形状や効用の著しい変更を伴うか否かで決議要件が異なります。基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなるが、管理規約では以下の例を上げている
  特別決議  ・・・ その形状や効用の著しい変更を伴うもの
  普通決議  ・・・ ①その形状や効用の著しい変更を伴わないもの
         ②及び建物の耐震改修を除く

ア)バリアフリー化
普通決議
建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事
特別決議
階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事
イ)耐震改修
普通決議
柱や梁に炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事
構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいもの
ウ)防犯化
普通決議
オートロック設備を設置する際、配線を空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりす等、共用部分の加工の程度が小さい場合の工事
防犯カメラ、防犯灯の設置工事
エ)IT化
普通決議
ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たにケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元する工事
オ)計画修繕
特別決議
大規模なものや著しい加工を伴うもの
例)一括給湯方式から個別給湯方式へのに切替工事
普通決議
①鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事
②給水管更生・更新工事
→既に枝管を取替た組合員がいても、特別の影響が及ぶとはいえない
③照明設備、共聴設備、消防用設備、EV設備の更新工事
カ)集会室、駐車場、駐輪場などの増改築
特別決議
大規模なものや著しい加工を伴うもの
普通決議
①窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事
②不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事

 区分所有法では、共用部分の変更に関し、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議(特別多数決議)で決することを原則としつつ、その形状や効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については区分所有者及び議決権の各過半数によることとしている。
なお、建築物の耐震改修の促進に関する法律により、要耐震改修認定区分所有建築物の耐震改修については、区分所有法の特例として、敷地及び共用部分等の形状や効用の著しい変更に該当する場合であっても、過半数の決議(普通決議)で実施可能となっている。

⑥ 書面や電磁的方法による決議

 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面や電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面や電磁的方法による承諾を得なければならない。
 また規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面や電磁的方法による合意があったときは、書面や電磁的方法による決議があったものとみなす。
 そして規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面や電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。

 電磁的方法の種類及び内容
一 電磁的方法のうち、送信者が使用するもの
二 ファイルへの記録の方式


⑦ 議事録の作成

 総会の議事については、議長は、書面や電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載・記録し、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名(電磁的記録で作成する場合は電子署名)しなければならない。


⑧ 議事録の保管・閲覧

 理事長は、議事録を保管し、組合員や利害関係人の書面・電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定できる
→ 理事長が請求を拒否する場合、「正当な理由」というのは必要とされていない。
理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
5 書面等による決議に係る書面や電磁的方法等を保管し、組合員又は利害関係人の書面や電磁的方法による請求があったときは、当該書面等による決議に係る書面等の閲覧をさせなければならない
6 総会に関する規定は、書面や電磁的方法による決議について準用する。


Ⅷ 理事会


1 理事会の構成員・議長

 理事会は、理事をもって構成し、理事会の議長は、理事長が務める


2 理事会の職務

 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 規約や使用細則等や総会の決議により理事会の権限として定められた管理組合の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任

  理事の互選により選任された理事長、副理事長及び会計担当理事については、理事の過半数の一致によりその職を解くことができる。ただし、その理事としての地位については、総会の決議を経なければその職を解くことができない。


3 招集

 理事会は理事長が招集する。WEB会議システム等を用いて開催できる。
 また、理事が一定数以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
 理事会の招集請求があった日から一定の日以内に、請求日から一定の日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は理事会を招集できる。
  理事会の招集手続については、少なくとも会議を開く日の2週間前までに、会議の「日時」・「場所」・「目的」を示して、理事及び監事に通知を発しなければならない。
 ただし、緊急を要する場合には、理事長は、「理事及び監事の全員の同意」を得て、5日間を下回らない範囲において、その期間を短縮できる。
 また、理事会において別段の定めをできる


4 議事録の作成・保管

  議事録については、総会の議事録の規定を準用する。議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事がこれに署名しなければならない。
 そして理事長は、議事録を保管し、組合員や利害関係人の書面・電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定できる
 なお、理事会の議事録の保管場所を掲示する必要はない。


5 理事会の会議と議事


① 理事会の会議と決議

理事会の会議(WEB会議を含む)は、理事の「半数以上」が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
→ 理事会を開催せずに、理事全員が決議事項につき賛成の署名をすれば、理事会の決議があったことにすることは出来ない。


② 書面・電磁的方法による決議

 下記については、理事の「過半数の承諾」があるときは、書面や電磁的方法による決議によることができる。(それ以外の事項についてはNG)
ア 「専有部分の修繕等の承認・不承認等」
イ 敷地・共用部分等の保存行為
ウ 窓ガラス等の改良


③ 議決に加わることが出来ない者

  理事会の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない


④ 理事の代理出席

 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。
 なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されている理事については、代理出席を認めることは適当でない。


⑤ 議決権行使書等

 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書や意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。


⑥ WEB会議システム等

 WEB会議システム等を用いて開催する理事会を開催する場合は、当該理事会における議決権行使の方法等を、規約や使用細則において定めることも考えられ、この場合においても、規約や使用細則等に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する必要がある。
 なお、理事会の定足数について、理事がWEB会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席理事に含まれると考えられる。


6 理事会の決議・承認事項

① 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案の立案
② 規約及び使用細則等の制定、変更や廃止に関する案
③ 長期修繕計画の作成や変更に関する案
④ その他の総会提出議案
⑤ 専有部分の修繕等の承認や不承認
⑥ 収支予算案の承認を得るまでの一定の経費の支出の承認や不承認
⑦ 未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
⑧ 共同生活の秩序を乱す行為を行った者への勧告や指示等
⑨ 総会から付託された事項
⑩ 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
⑪ 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任

2 理事会は、災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議できる

① 「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。

ア)緊急対応が必要となる災害の範囲
地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火など。「災害等」の「等」の例としては、災害と連動してや単独で発生する火災、爆発、物の落下などが該当
イ)総会の開催が困難である場合
避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合
ウ)応急的な修繕工事
保存行為に限られない。二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状や効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に関する行為)も含まれる。
例)給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる柱の応急的な耐震補強「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する。

② 応急的な修繕工事の実施に伴い必要となる資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて、本来の総会の決議事項であるところ、理事会で決議することができるとするものである。
③ 共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要である。


7 専門委員会の設置

 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査や検討させることができる。 そして専門委員会は、調査や検討した結果を理事会に具申する。
 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。
 
なお下記の専門委員会の設置には総会の決議が必要となる。
・専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合
・理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合
・運営細則の制定が必要な場合



Ⅸ 会計

1 収支予算の作成及び変更

 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。また、収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
 理事長は、管理組合の会計年度の開始後、通常総会において収支予算案の承認を得るまでの間に、以下の経費の支出が必要となった場合には、「理事会の承認」を得てその支出を行うことができる。
①  通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
② 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

 なお、会計年度の開始後、通常総会での承認を得るまでの間に支出した経費の支出は、収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなす。
 また、理事会が災害などにより総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等の決議をした場合には、理事長は、理事会の決議に基づき、その支出を行うことができる。
 さらに理事長は、災害の緊急時の、敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。

② 理事会の承認を得て通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経常的な経費とは、経常的であり、かつ、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。

③ 総会の承認を得て実施している工事であって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、二つの会計年度を跨ってしまうことがやむを得ないものであり、総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要である。


2 会計報告

理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。


3 管理費等の徴収

 管理組合は、管理費等及び使用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座振替の方法により管理組合の預金口座に受け入れることとし、当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求できる
3 管理組合は、納付すべき金額を納付しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、「理事会の決議」により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行できる
5 請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、「管理費」に充当する。
6 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、返還請求や分割請求をすることができない。

第60条関係
① 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の
名義人を管理組合や管理者とする場合に限る。)や同号ハの方法を前提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則した管理方法とする必要がある。
② 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の変更等に伴う納付期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。
③ 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務の参考とされたい。
④ 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金
融機関等の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられる。
⑤ 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。
ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料
イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納切手代、その他の実費
ウ)その他督促及び徴収に要した費用
⑥ 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。


4 預金口座の開設

管理組合は、会計業務を遂行するため、管理組合の預金口座を開設するものとする。
預金口座に係る印鑑等の保管にあたっては、施錠の可能な場所(金庫等)に保管し、印鑑の保管と鍵の保管を理事長と副理事長に分けるなど、適切な取扱い方法を検討し、その取扱いについて総会の承認を得て細則等に定めておくことが望ましい


5 管理費等の過不足

1 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。
→管理費等・使用料の額並びに賦課徴収方法は総会の決議事項となる。


6 借入れ

       管理組合は、「特別の管理」に要する経費の支払いに不足が生じた場合には、借入れができるが、
   「通常の管理」に要する経費の支払いに不足が生じた場合であっても、借入れをすることができない。


7 帳票類等の作成、保管

1 理事長は、下記の帳票類を作成・保管し、組合員や「利害関係人」の「理由を付した」書面等による請求があったときは、閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定できる。

①会計帳簿
②什器備品台帳
③組合員名簿
→組合員のプライバシーに留意する必要がある。
④その他の帳票類(領収書・請求書・管理委託契約書、「修繕工事請負契約書」、駐車場使用契約書、保険証券)
⑤長期修繕計画書
⑥設計図書
⑦修繕等の履歴情報

3 理事長は、修繕等の履歴情報や長期修繕計画書等の閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員や利害関係人の理由を付した書面や電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付し、や当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供できる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

4 電磁的記録により作成された書類等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。

第64条関係
④ 第2項は、第32条で管理組合の業務として掲げられている各種書類等の管理について、第1項の帳票類と同様に、その保管及び閲覧に関する業務を理事長が行うことを明確にしたものである。なお、理事長は、理事長の責めに帰すべき事由により第1項の帳票類や第2項に掲げる書類が適切に保管されなかったため、当該帳票類や書類を再作成することを要した場合には、その費用を負担する等の責任を負うものである。
⑤ 第3項は、組合員や利害関係人が、管理組合に対し、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項、第2項並びに第72条第2項及び第4項の閲覧ではなく、管理組合の財務・管理に関する情報のうち、自らが必要とする特定の情報のみを記入した書面
の交付を求めることが行われている実態を踏まえ、これに対応する規定を定めるものである。書面交付の対象とする情報としては、大規模修繕工事等の実施状況、今後の実施予定、その裏付けとなる修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状況も含む)や、ペットの飼育制限、楽器使用制限、駐車場や駐輪場の空き状況等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい。別添4は、住戸の売却予定者(組合員)から依頼を受けた宅地建物取引業者が当面必要とすると考えられる情報を提供するための様式の一例に記載のある主な情報項目であり、上述の細則を定める場合の参考とされたい。
⑥ 第3項に規定する管理組合の財務・管理に関する情報については、これらの情報が外部に開示されることにより、優良な管理が行われているマンションほど市場での評価が高まることや、こうした評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、書面交付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる。一方で、開示には防犯上の懸念等もあることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討することが必要である。


8 消滅時の財産の清算

管理組合が消滅する場合、その残余財産については、各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属するものとする。

第65条関係
共有持分割合と修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合に応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を定めることが望ましい。


Ⅹ 雑則

① 義務違反者に対する措置

区分所有者や占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理や使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合やその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。


② 理事長の勧告及び指示等

1 区分所有者等が、法令・規約・使用細則等に違反したとき、または対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は【理事会の決議を経て】その区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告や指示若しくは警告を行うことができる。

※ 区分所有者等
・ 区分所有者
・ 区分所有者の同居人
・ 専有部分の貸与を受けた者
・ 専有部分の貸与を受けた者の同居人

2 区分所有者は、その同居人やその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が法令、規約又は使用細則等に違反したとき、または対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。

3 区分所有者等がこの規約・使用細則等に違反したとき、区分所有者等や第三者が敷地・共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は【理事会の決議を経て】次の措置を講ずることができる。
① 行為の差止め、排除や原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
② 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金や不当利得による返還金の請求や受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告や被告となること、その他法的措置をとることの場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求できる
5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告や被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する。


③ 細則

総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等については、別に細則を定めることができる。細則は他に、役員選出方法、管理事務の委託業者の選定方法、文書保存等に関するものが考えられる。


④ 規約外事項

規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法その他の法令の定めるところによる。
2 規約、使用細則等や法令のいずれにも定めのない事項については、総会の決議により定める。


⑤ 規約原本等

1 この規約を証するため、区分所有者全員が書面に署名や電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
→理事のみが署名した規約を規約原本とするには、この規約の規定の改正が必要となるので、総会の特別決議による規約改正が必要となる。
2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者や利害関係人の書面や電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面や電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載や記録し、署名や電子署名した上で、この書面や電磁的記録を保管する。

4 「区分所有者や利害関係人」の書面や電磁的方法による請求(理由は不要)があったときは、理事長は、下記の書類の閲覧をさせなければならない。
 ①規約原本、規約変更を決議した総会の議事録
 ②現に有効な規約の内容を記載した書面
 ③現に有効な使用細則他の内容を記載した書面
→議決権行使書及び委任状の閲覧請求に応じる必要はない。

5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定できる
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び使用細則等の保管場所を掲示しなければならない。
7 電磁的記録により作成された規約原本等及び使用細則等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。

第72条関係
① 区分所有者全員が署名した規約がない場合には、分譲時の規約案及び分譲時の区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面や初めて規約を設定した際の総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。
② 第4項では、第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則についても、規約原本等と同じ手続で閲覧を認めることを明確に定めた。

Ⅹ 団地型マンション標準管理規約

1 団地型の標準管理規約の対象

  この団地型標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンションで、団地内の土地及び集会所等の附属施設がその数棟の区分所有者(団地建物所有者)全員の共有となっているものである。

 団地の形態の典型的な例
① 団地内の土地全体が全団地建物所有者の共有となっている形態
② 土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が全団地建物所有者の共有となっている形態

この規約の対象としては、①の形態であり、特に以下の3つの要件を満たしている団地とした。
なお、②の形態の場合には、基本的に各棟は単棟型の標準管理規約を使用し、附属施設についてのみ全棟の区分所有者で規約を設定することとなる。
ア)団地内にある数棟の建物の全部が区分所有建物であること
イ)ア)の建物の敷地(建物の所在する土地と規約により敷地と定められた土地の両方を含む。)がその団地内にある建物の団地建物所有者の共有に属していること(建物の敷地利用権が所有権以外の権利である場合は、その権利が準共有に属していること)
ウ)団地管理組合において、団地内にある区分所有建物全部の管理又は使用に関する規約が定められていること


2 管理費等(25)

3 団地修繕積立金(28)

管理組合は、団地修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた団地修繕積立金は、土地、附属施設及び団地共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 土地、附属施設及び団地共用部分の変更
四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他土地、附属施設及び団地共用部分の管理に関し、団地建物所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

2 前項にかかわらず、一括建替え決議又は一括建替えに関する団地建物所有者員の合意の後であっても、マンション建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。
3 第1項にかかわらず、マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。
4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、団地修繕積立金をもってその償還に充てることができる。

4 各棟修繕積立金(29)

 管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた各棟修繕積立金は、それぞれの棟の共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 棟の共用部分の変更
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議(以下「建替え決議」という。)、一括建替え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、円滑化法第9条の建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から建物の取壊し時に建替え不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。

3 第1項にかかわらず、マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。

4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、各棟修繕積立金をもってその償還に充てることができる。


5 区分経理

管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。
一 管理費
二 団地修繕積立金
三 各棟修繕積立金
2 各棟修繕積立金は、棟ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。


6 使用料

 駐車場使用料その他の土地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、団地建物所有者の土地の共有持分に応じて棟ごとに各棟修繕積立金として積み立てる。



7 団地総会

管理組合の団地総会は、総組合員で組織する。基本的には単棟型と同様の規定であり、 団地総会の議長は、理事長が務める。


8 団地総会の議決権

各組合員の団地総会における議決権の割合は、土地の共有持ち分の割合等とする。


9 団地総会の決議事項(50)

 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
① 収支決算及び事業報告
② 収支予算及び事業計画
③ 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
④ 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
⑥ 特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び各種修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項若しくは第3項又は第29条第2項若しくは第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
⑧ 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
⑨ 共用部分等の管理の実施
⑩ 団地内の建物の建替えの承認

十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十四 その他管理組合の業務に関する重要事項

一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕のための各棟修繕積立金の取崩しについては、団地総会の普通決議があればよく、各棟の総会の普通決議は不要である。
なお、「建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し」については棟総会の決議が必要であるが、本肢は計画的な修繕工事の実施のための各棟修繕積立金の取崩しの場合である。


10 棟総会(68)

 棟総会は、団地内の棟ごとに、その棟の区分所有者全員で組織する。棟総会は、当該区分所有者総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。
 棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。


11 棟総会の議決事項

①区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
②義務違反者に対する訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
③ 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
④ 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
⑤区分所有法に定める建替え、円滑化法に定めるマンション敷地売却
⑥建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと


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