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【024】仏教学習note【仏教哲学の世界観1-24】

こんにちは。
このシリーズでは僕が仏教について学んだことを記しています。
なお、僕は仏教について何にも知りません。

仏教学者で花園大学の教授をなさっている佐々木閑先生のYouTubeでの講座を見て、その内容をまとめています。

もちろん僕の主観によるまとめなので色々と解釈の違いや間違った理解があるかと思います。
それはX(Twitter)などでご指摘いただけると幸いです。

あくまでも大学生の受講ノートみたいなものだと考えていただけると幸いです。


前回はこのシリーズの総まとめとして「仏教の定義」のお話でした。
現在ではさまざまに宗派の分かれた仏教ですが、それでも全世界の仏教には確たる定義が存在します。
それが「仏・法・僧」の三宝です。
仏陀を尊崇し(仏)その教えを守り(法)僧団を維持する(僧)という考え方が仏教の定義であり、聖徳太子が制定した「十七条憲法」にも制定されていました。
お釈迦さまは亡くなり、三宝が失われても、その後は約56億年後に新たな仏陀が現れるとしています。

今回は前回のつづきで仏教の定義「三宝」の解説となります。

また、今回でこのシリーズの最終回となります。


仏教哲学の世界観1-24

https://youtu.be/M4uJolDMKQw?si=EpojobCxcMAYhLFH

AIによる要約

  1. 仏教の基本理念: 仏・法・僧「三宝」の深い世界観

  2. 苦しみと平等: 仏教の深い世界観

  3. お釈迦様の教え: 自己変革と苦しみの大元

  4. 仏教の変遷と社会構造: 衆生生活と修行の難しさ

  5. 仏・法・僧の変容: 一般生活での教えと現世の利益

  6. 仏教の進化: 一般人と出家者の教えの融合と戒律の変容

  7. 新シリーズの予告: お釈迦様の生涯についての探求

  8. 新たな動画の予告と感謝の言葉

学習したこと

お釈迦さまが分析した世界

仏教の定義である「三宝」について再度おさらい。
仏教が目指す三宝は次のような理念の上に成立している。

  1. 生きることは苦しみである

  2. 人は皆、平等に苦しむ

  3. 外部に絶対者はいない

  4. 苦しみを消すために自分自身を変える

非常に悲観的なものの見方ではあるが、実際のところ現実世界はわずかばかりの喜びの他は苦しみに満ちている。
そしてその苦しみは全ての人間に平等に存在している。
これは生まれや階級主義であるバラモン教社会に対抗する考え方から生まれた考え方で、階級に関わらずすべての人間が平等に苦しむ。

平等にやってくる苦しみからの救いを──

神など外部の絶対者を想定し、願い、その力を借りる事によってその苦しみから逃れると考えるのか?

それとも

そのような絶対者は(いて欲しいが)現実的には存在しないと結論づけ、
それでも苦しみから逃れる方法を探し求める
のか?

この二つの考え方のうち、後者を選んだお釈迦さまは

絶対者が存在しない世界での真の安楽を求める道はなにか?

という追求を行った人であった。
結果、結論は「自分自分が変わる」であった。
苦しみの大元とは、生まれながらに持っている我欲・欲求の充足を求める生き物としての本能にあると考え
解決には修行によってそれを削ぎ落としていくという難しい作業ではあるが、これこそが救ってくれる存在のいない世界において唯一の方法であるとした。

具体的には実践の場としてサンガ(仏教僧団)を作り、その運営方針としての律も制定した。

これがお釈迦さまの生涯における成果であった。

その後の仏教はどのようになったか

仏教の定義が「三宝」の仏・法・僧であり、この定義が変更されなければ仏教というものは代わりようが無いはずである。
しかし、長い歴史のなかでその定義が変わっていった。

その理由の一つに仏教僧団の維持の問題がある。
お釈迦さまの教えに従い出家生活を送るのは、平穏な時代であれば問題がなかった。
しかし、戦乱期など世の中が乱れた場合には出家者である僧侶に対してお布施ができなくなる。このため「一般社会からの依存」によって成立している出家僧団は根本的に維持できなくなる。

そして、このような状態となってしまっては幸せや心の安寧への道は無いのか?
という問いが出てくるようになる。

そうなると、出家をしなくても普段の暮らしの中においてもお釈迦さまの教えを守る事によって「自分を変えるという作業は可能である」という教えが必要になってしまう。

これが定義である三宝に変更が加わる原因の一つとなった。
他にも時代の要請や運営上の不都合により、定義であるはずの三宝は変容していく事になる。

  1. 仏(仏陀)=お釈迦さま

    • もう仏陀はいないのか?我々に直接教えを説く存在はいないのか?という要請が起こった

    • 新たに仏陀や菩薩(仏陀になる準備をしている存在)が急激に増える結果となった

  2. 法(ダンマ)=教え

    • 出家者のための教えと一般社会向けの教えの二種類の戒があったが、やがて混ざり合っていくようになった。

    • これは在家でも出家者と同じ道が進めるか?という要請によるもの。

  3. 僧(サンガ)=出家僧団

    • 組織の維持の為に作られた律だが、お釈迦さまの意思を拡大解釈したりすることによって変更された。

    • 日本においては律は守られておらず、戒(心がけ)のみで僧侶の生活が決まるという特殊なケースもある。

定義である「三宝」の変容

感想

お釈迦さまはどこまで考えていた?

天才ともいうべきお釈迦さまによって定義された三宝、つまり仏教というものは変容してしまった。
前にも感想で書いたが、仏教僧団が一般社会に依存する仕組みを考えた時、飢饉や戦争、疫病が流行っていた時には一般社会は仏教僧団のことなど面倒を見ていられるはずがない。
お釈迦さまはこのような事態を予期していただろうか?

  • 人間の内面の動きにばかり注視して、政治や戦争など外部による影響を考えていなかった

  • 自分が戦争などの極限状態に置かれたことがなかったので知識として戦争が人間社会に何をもたらすかの想像ができなかった

  • お釈迦さまのような存在、つまり実在する仏陀による直接の教えがなければついてこれない人がいる(それも大勢で)ことを想定しなかった

  • 僧団内部でお釈迦さまの決めた律を拡大解釈する可能性を考えていなかった

  • 出家はできないが悟りを開きたい人の存在を考えていなかった

以上のような事態が三宝の変容を許してしまったわけだが、
お釈迦さまがそのような時代の状況を想像していなかったとは考えにくい。

なぜなら、人間の内面についてこれほどに深く考察できる人物が、人間社会の変化など予想がつかない…なんてことはないだろう。

フォロワーたちによって腐されるイノベーション

結局のところ、平和な時代にしか成り立たないのは問題で、時代に合わせた変更もやむなしなのはわかるのだが、
なぜそれがわかっていて、例えば現在の日本はかなり平和な国であるにも関わらずお釈迦さまが考えた元の理念に戻そうという発想に、なぜならないのか。

日本の仏教において「律」が消滅しているのも意味がわからない。

つまるところ、たとえお釈迦さまが偉大な先駆者であったとしても、それに続くはずの人間が自分の都合に合わせて勝手な解釈を行なってしまう事に問題がある。

こういうケースって現代でもいろんな場面で見かける。
新しい革新的なSNSやサービスは優秀なイノベーターによって誕生し、早くから参加したアーリーアダプター育まれ、それを見た大勢のアーリーマジョリティやレイトマジョリティの参加によって大衆化し、文化となる。
しかしそれも流行った後でラガードが参加する頃にはイノベーターやアーリーアダプターは去っており、コンテンツは陳腐化し、当初の理念を知らない残ったマジョリティやラガードが腐らせていく。
仏教の三宝が変容していくのもおそらく同じパターンだろう。

イノベーター理論 https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/innovator_theory/より引用

それでも仏教が現在まで続いている理由は、
やはり誰にでもある人の苦しみから逃れる方法を模索するコンテンツであるということと、政治と結びついた(利用された)点が大きいんじゃないかと今の所、僕は思っている。
そのあたりは今後の講義で理解できるかもしれない。

僕の疑問点いろいろ

今回でこのシリーズは終わるわけだが、僕の疑問としては

  • 三宝について、何を思って(尊いであろう)お釈迦さまの意思を捻じ曲げたのか?

  • あれだけ合理的な考えで生まれた仏教でなぜ唐突に弥勒というファンタジーキャラが登場したのか?

  • その弥勒も登場するころには地球は消滅してるけど、どうするの?

  • 結局お釈迦さまは輪廻についてどう考えていたのか?

  • 「苦行を否定している」のなら現在のお寺がやってる苦行は何?

  • サンガは生きづらい人たちがお釈迦さまの教えに縋って集まっているはずなのに、現代のお坊さんは「生きづらい」と思ってるようには見えないのはなぜか?

このあたりがよくわからない。
あと、毎回僕が知っている(といってもよく知らないが)日本の仏教とあまりにも違いすぎるところ。
なにをどうしたらこうなったのか。
今後の講義でわかる日が来る事に期待しよう。


今回で第一シーズンは終了です。
次回から第二シーズン「仏教哲学の世界観 2-1 ブッダの生涯」が始まります。


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