好きな渋谷
気が付けば上京して、7年目になっていた。
25歳を過ぎていくと周りの同年代は渋谷ではなく中目黒や恵比寿、三茶、麻布十番のような他の街にテリトリーを伸ばして、そこが好きだという。
でも、僕は渋谷が大好きだ。もちろん三茶も中目も恵比寿もその街に面白さやいい店が必ずあるけど、それ以上に渋谷には思い入れがあるし、これからも好きな街であり続けると思う。新宿でも池袋でもなく渋谷。
上京してはじめて住んだ街は、神奈川県川崎市元住吉。東急東横線と目黒線の各駅停車しか止まらない街。この元住吉に住んだことが渋谷を好きにさせたのかもしれない。
元住吉には、会社の借り上げの寮があり自分でここがいいと選んだ街ではない。でも、商店街が充実していてとても住みやす街だった。
元住吉から渋谷まで東横線で約20分。その頃は副都心線と直通してなく、まだ始発駅が渋谷でかまぼこ屋根のホームだった頃。
高校の頃に何度か遊びに来ていた渋谷だけど、20分で行ける距離に住むことがなんとも不思議な感覚で毎週のように通っていた。来るたびに発見があって刺激に満ち溢れていて楽しい時間を過ごせる街。
福島から出て来た垢抜けない田舎の少年がファションというものを覚えたのも渋谷だ。渋谷パルコに入ってたギャルソンやアンダーカバー、フラボア、ZUCCa、ミントデザインズ… 背伸びして買ったり、買えなくてもただ服を眺めている時間がとても楽しかった。
グラフィックデザインの道を志そうと思ったのも渋谷のおかけだ。渋谷西武やパルコに掲示されているポスター。渋谷駅山手線ホームのどデカイ広告。パルコブックセンターのデザインの本や雑誌、尊敬する箭内さんの広告を見たり、書籍を購入したのも渋谷。見るものすべてを吸収するくらいの勢いで渋谷を歩く週末。
福島にいた自分をナシにしたく東京に出て来た若者を渋谷は温かく受け入れてくれた。
そんなこんなで渋谷が大好きになり通いつめ、気が付けばパルコが建て替え、GAPがなくなり、ヒカリエができ、色んな思い出の場所がなくなっては新しい建物やお店になりまた新しい思い出ができる。
ハロウィンやワールドカップの馬鹿騒ぎは嫌いだけど、スクランブル交差点は慌ただしくもなぜか安心感のある場所だし、変わらずこんな若者を温かく受け入れてくれる。
変わり続けるけど、変わらない街が渋谷なんじゃないかな。
好きな渋谷
渋谷は、騒がしい街や若者の街、慌ただしいところ、汚い、不便、嫌いと言ったイメージや声をよく耳にするけど、意外と落ち着くし深く広い街だと思う。
そんな深く広い街の中で、自分の好きな場所を何ヶ所かピックアップしてみました。渋谷に来たときの参考にしてみてください。
『茶亭 羽當』
大好きな喫茶店。お客さんを見てその人にあったカップとソーサーを選んで淹れてくれるコーヒー。今日はどんなカップなのか?と毎回楽しみにしている。
ブルーボトルの創業者も参考にしたとかしないとか言われているお店。
『SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)』
都内で一番好きな本屋さん。坂を登り東急本店を抜け歩くとあるのがSPBS。選書が何より好きだし、入り口正面に平積みされる雑誌、新刊書、リトルプレスのコーナーが行くたびにワクワクする。
『山家 本店』
渋谷でひとりで飲むなら山家か富士屋。山家が好きなのは昼から営業してるところで、夜の飲み会の前の0次会にもってこいのお店だと思う。この黄色のテントを見ると落ち着く。
『渋谷PARCO』
建て替え工事中で、2019年9月に完成予定の渋谷パルコ。ファッションにアート、デザイン、広告、演劇、映画など色んなカルチャーを教えてくれた場所。建て替え工事の仮囲いですら「AKIRA」の漫画のシーンを使っていて、工事中でも存在感を放っている。渋谷パルコと出会ってなかったら今の自分はいない。
『明日の神話』
JRと井の頭線とを結ぶマークシティの通路にあるこの壁画。もう日常になってしまって何とも思わなくなってしまったけど、歩きながらふとこの絵を見上げると太郎さんの強い意志と力を感じる。渋谷で1番のパワースポットだと思ってる!
『2027年まで続く再開発』
渋谷にはじめて行った9年前くらいから渋谷は工事をしていた。新しくなる渋谷と無くなる渋谷。寂しさと同時にワクワクを味わえる街。渋谷駅のヒカリエに向かう通路は来るたびに変わるし、増えたり減ったりするクレーンの数、出来ていくビルの外壁。この景色が好き。
雑踏と人混みでたまにウンザリするときもあるけど、渋谷にも温もりがあるし、渋谷の雑踏に落ち着くこともある。渋谷が大好き。
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