酔っ払いを家族と思えた/シェアハウス「リバ邸」の面白い住人
【初めて人に怒鳴ったら、家族と思えた】
シェアハウスをやっているんだけれど
引っ越す住人と新しく住む住人の都合上
寝る場所がないので
仕方なく10日間程
リビングで寝る事になった。
リビングにはこたつとエアコンがあるが
布団はなく横になる地面は
フローリングだ。
まぁまぁ、大丈夫だろう
と思っていたけど
これがどうして……
結構メンタルをすり減らした。
自分の寝たいタイミングで寝れない。
そりゃそうだ……
リビングなんだから、みんなが寝るまで
自分は寝れない。
風邪引かないように気合い入れて過ごさねば!!
と、思ったある日
事件はおきた。
それは皆が寝静まり、俺もようやく寝れると寝始めた時
ただいま~
いぇえええい!!酔っ払たー!!
と住人Aがシェアに住んで以来、一番位酔っ払って帰ってきた。
ここは何も言わず寝たふりをしようとしたら、
A)ラオウさん寝てる?
ツンツン
と俺の腕をツンツンしてきた。
シカトしよう。
A)ラオウさん寝てる?
またツンツンしてきた。
シカトしよう。
A)おりゃあああああ!!!
A)ここ押されたら、痛いんだよ!!
と酔っ払っているせいかAは俺のあばらを思いっきり押した。
も、めっちゃ切れそうになったけど抑えて
俺)いや、目的なんなん??そんなに強く押したら痛くない場所でも痛いわ!!てか、寝るけんやめて。
と俺は目も合わさずに寝ながらいうと
A)はーい。
と言った。
これで大丈夫だろう。
なんとか寝れうだと思った瞬間
ガサゴソ!!
と大きな音が耳の中で鳴り響いた。
【てゆうか耳の中に指を入れられてた!!】
もう、自制する気持ちとかなくて
人生で初めて
俺)お前なんなん!?
A)おきた??
俺)消えろ!!(金おいて)
本当に人に怒鳴ったのは初めてだった。
そしてやっぱり、
怒るのはよくないな……
なんて事を自分はしてしまったんだ……
と思っていたら
A)わー、怒った、怒った~
とAは言った。
人を怒らせるお手本があるのなら
これほど上手な怒らせ方はないんじゃないかと思う程に神経を逆撫でされたが
運良く、
運良く、
Aは酔っ払ってるからとは言え、ばつが悪くなったのか自分の部屋に寝にいった。
次の日、
また、
リビングで寝ていると
住人が夜遅くに帰ってきた。
A)いえええええええい!!!!
昨日よりも酔っ払っていた。
あぁもうやばい。
絶対やばい。
今日も昨日みたいな事があったら、
絶対、
絶対、
俺こいつを……
寝たふりしよう。
何があっても寝たふりして
構うのはやめよう。
そう、心に誓った。
案の定、
A)ラオウさん、ラオウさん。
ツンツン
と俺を起こそうとし始めた。
なんかもう逆に笑ってはいけない(起きてるとばれるから)みたいな状況で
笑いを堪えるのが必死だった。
A)ラオウさん、ラオウさん
本当に……
ツンツン
A)ラオウさん、ラオウさん
本当に……
ツンツン
A)大好きだよ。いつもありがとうね。
俺は本当に、本当に、本当に
ひねくれてるから
そんな事言われたら
あんたを嫌いになれないだろうがと思っていると
Aもこたつで寝始めた。
……
……
……
ゴゴゴゴガガガガカ!!!
ゴゴゴゴガガガガカ!!!
酔っ払ってるせいか
Aはとてつもなくデカイいびきをかき出した。
これが友達の家なら、自分が出ていけばいい話なんだけど
ここは自分の家であり彼の家でもあるわけで
Aのいびきを聞きながら寝ていると
いびきのうるさい父親と寝ていた頃を思い出した。
あぁ、俺らもう家族なんやな……
自分の人生でまた一つ、宝物が増えた気がした。