大阪クラシック2020のこと
大阪クラシックでは、たくさんではないけれど、以前から何度か弾かせていただいたことがあります。今年は通常の演奏会+YouTubeの無料配信というかたち(新しいかたち、として続くのだろうか)で行われて、同僚のチェリスト渡邉弾楽くんと弾いてきました。彼と2重奏を弾くのは初めてでしたが、リラックスした楽しいリハーサルと緊張感のある収録を終えました。
お客さんのいない広い空間での収録、それだけで緊張が起きるわけではなく、たぶん目に見えないやつらへの警戒心敵愾心恐れ嫌悪感とか、この状況がいつまで続くのやら感とか、そういうものたちが緊張を連れて来やがるように思います。
それはおいといて、基本的に楽しく緩い2曲。
1曲目のハイドンは、原曲のバリトンの二重奏 Hob.XII:4の移調編曲版。Vc-Cbの2重奏というものの存在を世に知らしめてくれたベルリンのBaumann-Stollさんの楽譜と、昔々ラジオで聴いた山崎伸子さん河原泰典さんの耳コピの残像や、私が「ええい」とひねり出したものなどから合成して演奏しました(編曲なんて言えないやつ)。どちらかというとVcには低めCbには高めの、ふたつが近づくような音域。柔らかい感じではないかと思うのですがいかがですか。
2曲目のロッシーニ、動画MCでも話していますが、これはもうこの編成では外せない曲。
洗練とは程遠い、だからこその魅力を持った曲だと思います。「どの曲も同じ」とか揶揄されがちな(つい言いたくなるキモチもわからなくもない…)ロッシーニですが、「だったらお前ぇ書いてみねぇ」と返されたらもう謝って逃げるしかないような、突き詰めない才人かと。
高校生のときにこの曲を初めて弾いてから幾星霜、いろいろな方とご一緒させてもらってその度に新しくて大変シアワセなのですが、今回も例にもれず弾楽くんとのアンサンブルでも新しい発見や体験をさせてもらいました。ありがとう。
ロッシーニの歌曲やオペラ(全曲弾いたのは数すくないけれど)を長いオケ生活の間に経験したことで、曲の「つくり」や「ねらい」が見えてきたりして、また弾きたい!と思いながら終わりました。弾ちゃん、また付き合ってよ。お願いします。
そんなわけで、10月半ばまで無料配信は続いています。どうぞご覧ください。それと、センチュリーの仲間たちも別動画で登場しています(Vc-Vcの2重奏、Clar5重奏)ので、そちらも是非。