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vol.3 低失業率時代の人材獲得サバイバル

コロナ前まで回復している失業率

完全失業率のピークを迎えた2009年のリーマンショック以降、緩やかな経済の回復とともに国内の失業率も回復してきました。

2009年当時は最大で5.5%まで悪化しました。しかし、5年後の2014年、約17年ぶりに完全失業率は3.4%へと回復しました。

2022年現在ではコロナの影響を受けながらも2.5%(4月時点)となり、コロナショック前と同水準まですでに回復している。

2種類の失業率を正しく把握しよう

失業率というワードを普段なにげなく使っていますが、大きく以下の2つに分類されるということをみなさん知っていましたか?

1. 需要不足失業率・・・景気低迷における需要不足より発生する失業。
2. 均衡失業率・・・労働市場において需要と供給のバランスが取れている場合でも、ミスマッチによって発生する失業。 

2022年現在の失業率の要因は後者です。

仕事自体はあふれているはずなのに、労働者自体が人口減少とともに少なくなっていることが非常に深刻な社会問題となっています。

失業率の低下は良いことだけじゃない!?明暗の分かれる企業

現在の転職市場は、売り手市場と言われています。
失業率の低下により増加した労働者は、より条件の良い会社へと流れていきます。

社会的に見れば失業率の低下はとても良いことのように聞こえますが、採用が進まない企業にとって、必要な人材を質、量ともに確保できない状況はかなり厳しいものとなっています。

人材獲得競争の加速

現在、売り手市場であり、求職者にとっては有利な状況が続いています。
しかし企業にとっては人材獲得競争を避けられない状況となっています。

求職者の心理として、少しでも給与がよく、福利厚生の充実した労働条件のよい会社に入りたいと思うのは当然のことです。

しかし中小企業にとっては、何もかもを充実させることは非常に困難であり、転職市場において大企業よりも厳しい状況に立たされています。

そうなると必然的に中小企業は採用活動がうまく進まず、人事担当者は苦労が絶えません。

また採用コストも予算が限られており、少しでも抑えようとリファラル採用や身内などをコネで採用する縁故採用を行います。

また、大卒に比べ年収の低い傾向にある高卒採用などその範囲を幅広く設定することが必要となります。

人材不足により発生する3つの問題

企業にとって必要な人材が必要な時に確保できないということは非常に深刻な問題です。

具体的には以下の3つのような事象が発生すると言われています。

1.ビジネスチャンスを逃してしまう
自社サービスにどれだけ需要があっても、人員がいないことで対応が間に合わずチャンスロスにつながります。

2.後継者の確保や育成ができない
人がいないと当然、現場は育成に手が回りません。そのような状況では人が育たず、将来会社を担うような人材を育てることが難しくなります。

3.現場の疲弊で社員のモチベーション低下
人員不足になると、物理的な仕事量を減らさない限りは、当然その増えた分の仕事は残業でカバーする事になります。

また休日出勤も常態化し、当然社員の士気は下がります。
そして離職や会社への不満が増えます。

労働力人口はむしろ増えてる!?

日本の生産年齢人口は減少に伴い、今後も売り手市場となり低失業率は継続するでしょう。

しかし、ここでは「生産年齢人口」をどのように定義するかが論点となります。一般的には先進国では15~64歳とする国がほとんどです。

しかし、世界一少子高齢化の進む日本ではそうも言ってられません。
政府は女性の社会進出や定年後の高齢者の継続雇用や、年金受給を遅らせるなど労働力確保を推進しています。

そういった層の人たちも今後はいち労働力として確保するが急務となります。

すべての企業に求められる多様な人事管理

前述したように今後の日本は多様な層の雇用を進め、労働力を確保することが課題となります。

では具体的にどのような策をとるべきでしょうか。

1.「総合職社員」の定義を見直す
現在も総合職といった会社が自由に勤務地や職務内容、部署を決められる社員が一般的でしたが、今後は同様の条件で働ける社員の確保は年々難しくなっていくでしょう。

2.社員教育の体制を見直す
育休明けの女性社員や、定年後のベテラン社員、もちろん現役社員も含めそれぞれの職務に応じた個別化された教育体制の構築は必須です。

ただ雇用して終わりではなく、新たなスキルや経験を身に着けてもらうことで、より生産性高く働いてもらう環境を整備することが重要です。

3.福利厚生を見直す
家庭やプライベートな事情から、勤務地や勤務時間など様々な制約を抱えた社員は今後まちがいなく増加します。そのような社員がいても安心して働ける柔軟な勤務体系など、福利厚生の見直しは急務です。

4.アルバイト・パートの処遇を見直す
非正規社員は単に時給を上げるだけでなく、社員登用制度を取り入れたり福利厚生や人事制度も見直すなど貴重な戦力として扱う。

以上、4つの点を挙げましたが、実際の現場の声はさらに複雑なものとなっていくでしょう。

現代の低失業率時代では「売り手市場」がまだまだ続きそうです。

そんな中、いかに優秀な人材を獲得し、労働者に安心して長く、生産性高く働いてもらうか、そういった体制づくりに成功した企業だけが生き残っていくことになるでしょう。

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