心象風景 蓮の花の剣
頭痛。
最近ずっとあった頭痛。
解離した記憶だと思っていた。
俺が忘れていたのはトラウマじゃなかった。
適応障害になる前の俺は不全感や人格のスプリッティング(分裂)気分障害やめまぐるしい気分変調を抑えながら、何かあればオーバードーズや自傷、深酒やモノに当たる、激しい浪費をするという行動化でもって対処していた。
または感情を別の人格に押しつけて解離していた。
抱える事が出来なかった。
それでも…俺は戦っていたんだ。
自分が自分であるために。
今よりずっと弱い自分で。
理不尽な上司から部下を守るために権力を得て、クソみたいな企画を遂行させられて犬死するのが嫌だったから。
そんな事のために部下を叱咤するのがバカらしかったから。
そんな俺の小さな誇り。
矜持。
また昔の俺に戻るのが嫌で封印していたもの。
ずっと思い出して欲しかったんだな。
済まなかった。
そして一つ解った事がある。
数年に一度神がかる俺の企画力。
「発想力と突破力だけは」飛び抜けていると評された俺の能力。
これは俺が「統合状態」だったんだ。
「獣」「鳳凰」かつて「暗闇の中の子供」であり、この前までいた化け物を放逐した際に変容し、今は「ウィザード」というペルソナになった俺のインナーチャイルド。
ペルソナであり「パーツ」であるこいつらと共闘状態、融合状態である事を瞑想の中で意識する。
なんつーかな、援軍要請というか「力を貸してくれ」って頼む感じ。
簡単には納得しないので「秘技 けん会議」が開催されるんだけど全員が納得した状態になると「統合状態」が生まれる事が解った。
研ぎ澄まされ、カンの鋭さが最大になり、次喋ることが解るというか、喋る事が予定調和になるというか。
為す事の成功は既に見えているような。
なんかそういう感じ。
前までは偶然顕れていたあの状態をまだ不完全とは言え「呼べる」ようになった…。
あんまり自慢したくはないんだが、抱えてた案件で超大口の契約が「なぜか」取れてしまった。
なんか嬉しかったな。
部下の一人に「もうポンコツだと思ってましたけど帰ってきましたね!」とか言われる俺クオリティ 笑
「面倒くせ」とか嘯きながら祝福のLINEが次々届いて本当は嬉しさを噛み締めている。
以上、超長い前置き。
問題はこっからで帰りの車の中で、妙なイマジネーションが浮かんだというか。
以前手に入れた回復のリソースである背中にある「光の柱」から出てきたもの。
「剣」
なんだよ。
日光のような光を持つ金色の曲刀
「シミター」と呼ばれる形状
で、鍔の部分が蓮の花なんだよな。
こいつの正体が全く解らん。
「降魔刀(ごうまとう)」という名も「降って」きたんだが…。
なんなんだ。
「剣」は散ったはずだ。
どうしていいかわからん。
人を傷つけるものはもう要らない。
まあ…出てきちまったもんはしょうがないから付き合うけども。
あ。
なんか今
「鞘を手に入れろ」と俺の無意識が言ったぞ。
ぬうむ。
よく解らんが、またクエストが始まってしまった。
女神の塔の探究が終わって、もういろいろ解脱したと思ったのになんだってんだ。