インパクトの出づらいCS体制から脱却、攻めの施策へ転化した方法について
こんにちは、可部(@ke___k8)です。
前回は、カスタマーサクセス(CS)オンボーディング戦略についてお話をしました。今回は、組織にフォーカスして、組織を拡大させていく中で私が直面した課題や取り組んだことについてお話しようと思います!
CS組織を拡大する中で発生する課題は、テラドローンに留まらず、各社に共通するものもあると思うので、少しでも参考になればと思っております。
初期のCS組織体制
最初の立ち上げタイミングでの、CSの組織体制としては、端的に言えば、全員が全部やるという体制となっており、各担当顧客については各担当者がオンボーディングにフォーカスしてフォローしつつも、その他の問い合わせ対応や資料作成など発生した業務は、工数を踏まえて、手が空いている人に都度アサインしているような状態でした。
立ち上げ期でとにかく発生した課題に都度対応していく状態であったため、分業が最適化されておらず、とにかく全員で全部やるというような形になっておりました。
CSの成長と組織拡大に伴い発生した課題
人数が少ないうちは、相互のコミュニケーションも取りやすく、とにかく全員で全部やるという体制も上手く回っていた部分もありました。加えて、立ち上げ初期は目先の大きな課題に対応して、体制を構築するだけでも比較的インパクトが出やすいフェーズでした。
しかし、CSの体制が構築されてくると、目先の課題を積み上げで解決するだけではインパクトが出づらくなり、理想状態を設定しながら、そこから足りないことを逆算して、取り組むことがより求められてきます。つまり、CSとしてより攻めの施策が求められるようになります。
例えば、顧客向けのコンテンツを提供するとして、課題積み上げで考える場合、顧客から困っている声が上がった資料を都度作るに留まります。一方、理想から逆算していく場合は、「顧客が完全に自力で活用できる状態」と設定し、完全に自力で活用できるようになるために、不足している情報は何で、どのような粒度で資料を作成すべきかをチームで議論しながら、攻めのコンテンツ作成をしていくようなイメージです。
理想から逆算することによって、都度の課題対応では見えてこなかった、新しい角度の課題や取り組むべきことが見えてくるようになると思います。
テラドローンのCSでは、積極的に攻めの施策を実施しながら、組織を拡大していく上で、主に下記3点の課題が発生してきました。
それぞれについて、下記に具体的に説明いたします。
1.新規メンバーのオンボーディング不足
顧客の増加に合わせてCSメンバーが増える中で、当然各メンバーが十分に顧客をフォローできる状態になる、CSメンバーのオンボーディングが必要になってきます。
一方、これまでは少数のCSメンバーがOJTで商品理解やフォローのポイントを習得してきており、新規メンバーがどんどん入る中で、再現性を持って効率的にメンバーのオンボーディングが出来ている状態ではございませんでした。
2.メンバーの取り組む施策効果の分散
初期フェーズでは、オンボーディング率というKPIにとにかくフォーカスして、チームとして動いてきました。一方、CSの体制が構築されている中で、単純な各担当顧客のフォローや目先の課題解決のみでなく、中長期目線で攻めの施策に取り組まなければ、オンボーディング率はもちろん、その先の顧客価値の向上に繋がらないフェーズに来ておりました。
そのような中、CSメンバーが増加し、各人が各担当顧客ベースで施策に取り組んでいるだけでは、施策の効果も分散し、なかなか結果に繋がらない状態になっておりました。
3.各領域のノウハウの属人化
初期フェーズでは、全員で全部やるという体制になっていたため、顧客フォローにせよ、コンテンツ作成にせよ、都度アサインされたメンバーが実施し、ノウハウを各人の中で溜めていっているような状態でした。特にCSとして攻めの施策が求められるフェーズで、ノウハウの属人化を解消し、各領域のレベルを上げることは急務でした。
CS組織を拡大させ、攻めの組織に転じさせる3つのポイント
CS組織が拡大し、攻めの施策が求められるフェーズにて、前述のような課題が発生してきたため、テラドローンのCSでは下記3つの施策を実施しました。
1.社内オンボーディング資料の整備
業務内容や使用ツール等の基本情報はもちろんですが、目指している理想状態や方針、KPIといった業務の指針となるもの、そして顧客フォロー時のトークスクリプトなどの各業務のノウハウ、といった情報をオンボーディング資料にまとめて作成しました。
これらを用いて、実際にオンボーディングしてもらうために取り組む内容やスケジュールも定型化することで、再現性を持って効率的に新規メンバーにオンボーディングしてもらえるようになりました。結果として、新規メンバーの自立までの時間が短縮され、各メンバーが顧客の問題解決により迅速に対応できるようになりました。
2.理想状態の言語化と共有
前述した通り、CSの体制が構築される中で、より成果を出していくうえで重要なのは、理想状態から逆算して攻めの施策を打っていくことになります。
そこで何より前提となる理想状態の解像度を上げ、言語化し、各メンバーで共通認識を取ること、そしてそのうえで、各施策に対して常にその理想状態からの差分ベースに議論していくことを意識していきました。
理想状態の言語化をすることによって、新規メンバーが増えて、組織が拡大する中でも、新規メンバーに理想状態を認識してもらうことができ、チーム全体で目線を併せて、各施策の方針を揃えていくことが出来るようになりました。
3.各領域の専業化
各CSメンバーの顧客接点を重視しているため、基本的なオンボーディングのための顧客フォローは各メンバー引き続き実施しながら、その他取り組む業務については、各メンバーの強みをみながら、専業化していきました。専業化にあたっては、下記のSanSanのCS業務の分解を参考にさせていただきました。(CSの方はご存じの方多いかもですが、下記サイト内容もですが、SanSanのCSノウハウは非常に体系化されており、大変参考になるため、是非ご参考にされてみてください)
Customer Success Mangerとしての基本的な顧客フォロー(On-boarding)は各メンバーで実施しながら、Customer Success MangerのAdoption・Renewalの担当、Customer Marketingの担当、Control Centerの担当と分業体制を構築しました。
これにより、各領域でのノウハウの蓄積はもちろんですが、CSとして求められる理想像の設定と攻めの施策についても、各領域で設定しながら、精度の高い施策を実施できるようになりました。施策の一貫性が高まり、それぞれの施策がお互いに補完しあう形となった結果、CS全体のパフォーマンスが向上しました。
最後に
カスタマーサポートでなく、カスタマーサクセスたるCSの醍醐味はやはり攻めの施策であり、CS組織が拡大・成長する中で攻めの要素が強く求められてくると思います。
組織を拡大させながら、攻めの組織に転じていく中で多様な課題に直面すると思いますが、そのような際に少しでも本記事が参考になればと思っております!
理想を設定し、それが実現した時に顧客体験を大きく変えることができ、顧客からのフィードバックをそのまま直接感じられるのは、CSの醍醐味ですよね!テラドローンのカスタマーサクセス、その他ポジションも数多く絶賛募集中ですので、ご興味ある方は是非お気軽にカジュアル面談まで!
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