感想:『医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる』藤川徳美
最近「分子栄養学」関連の本を買って読み始めている。
勉強し始めてから知ったのだが、どうやらこの分野に関連した書籍が売れているらしい。
私は自分や家族の悩みからこのジャンルに行き着いたのだが、世の中がこういった分野に興味を持つという事は、人々が何かしら自分と同じように健康に対する悩みをもつという事だろうし、人生100年時代と言われる中で自身で自分の身体を健全に保ちたいという意識も高まってきている部分もあるのではないかと思う。
ただ巷に様々な健康に関連する本がある中で、特に「分子栄養学」に関する本が売れているというのは、『これまで医学面では解決が難しいとされていた「慢性疾患」に関する解決法を示している』という部分があったからだと考えている。
今回はその分野で非常に有名な藤川徳美Drの『医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる』という本が非常に良かったので紹介をさせていただきたいと思う。
■普通の『健康的な食事』は栄養不足につながり、それがあらゆる慢性疾患の元になる
自分が幼少の頃、小学校や家庭、またあらゆるマスメディアで『食事はバランスよく』『和食は健康食』という話は当たり前のようにあり、我が家の食卓も祖母が作ってくれた昔ながらの食卓『ごはん、味噌汁、メイン(一品料理)、副菜』が並んでいた。
いわゆる『健康的な食事』だが、これが体にとって必要な栄養素を満たしていないというのがまず前提となる。
『必要な栄養素』とは何か?といえば、これは我々の身体が代謝を行なっていく上で必要な十分な栄養素という事が答えになるが、これまで健康的と考えられてきた食事は
『糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足』
であり、こういった食事を続けていると『量』は満たしていても『質』は満たしていない慢性的な栄養不足『質的栄養失調』に繋がっていく。
分子栄養学ではこの『質的栄養失調』を問題視しており、これが慢性的に続くと遺伝子の弱い部分から作られた代謝酵素において『代謝異常』が生じるがそれが積み重なると、統合失調症、糖尿病、膠原病、アトピー性皮膚炎、神経難病、がん、その他疾患を発症していくと考えている。
■まずは何より最重要の『タンパク質』の解消。次に鉄。
上に書いたように質的栄養失調において、まずやるべきことは身体にとって最も重要なタンパク質の補給となる。目安としては、最低体重x1g。出来れば余裕を持って体重x1.5〜2.0gとなる。
藤川Drは、上記の量を満たすためにプロテインの摂取(20g x 2回)を推奨している。タンパク不足の目安は健康診断の血液検査などでみられる『BUN(尿素窒素)=20』以上。それ以下はタンパク不足となる。ちなみに自分の昨年の健康診断結果を見たところ、「BUN=12」であった。これは『重度のタンパク不足』にあたるため、早速プロテイン朝晩で飲み始めた。次回の健康診断結果が飲み始めてから1〜2ヶ月以内に行うので、注意しながら見ておきたいと思っている。
そしてタンパクが十分に充足してきたタイミングで始めたいのが鉄の補給。日本人大部分は「鉄不足」のため、サプリなどで補給を始めることを推奨している。鉄が不足していると「うつ」「パニック障害」を引き起こす原因となったり代謝においても非常に重要な役割を果たしているため、必須のミネラルである。なお、鉄の充足度については、『フェリチン』という値を参考に判断を行う。
※鉄サプリは吸収効率の観点からキレート鉄を使って行く。
■メガビタミン
代謝をスムーズに稼働させていくためには必要な栄養素がある。それがビタミンやミネラルになる。本書では特にビタミンの重要性について述べられており、代謝の補酵素として働くビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEの摂取を、さきほどの鉄+プロテイン+糖質制限と合わせて『ATPセット』として紹介している。
この分子栄養学の内容が納得できるのは『ミトコンドリア』という細胞内のエネルギー維持装置のポテンシャルをしっかり発揮させようという点にある。つまり生命の持っている力を最大限に発揮させる。(というか、正常に機能させる。)
細胞レベルでしっかりと十分な栄養を蓄えるためにサプリメントを推奨しているが、本書が推奨する理由は背景にある代謝経路もしっかりと説明した上で上記の内容を説明していることである。
これまでの栄養学と考え方が異なるため、おそらく抵抗感を示す過多が非常に多いと思うが、非常に論理的だし慢性疾患が治る症例などを見ると少なからず効果があるのではないかと思う。
自分はこの分子栄養学をしっかり学習し、実践に努めていきたいと考えている。
■数多くの症例について
後半には数多くの症例が載っている。載っている症例は以下の通り。
【症例】ADHD傾向の5歳の男の子、1年間のプロテイン+メガビタミンですごいことになった
【症例】アルツハイマー病も3か月間の治療で改善
【症例】アルツハイマー型認知症は進行しない
【症例】過食症の女性も2週間で改善
【症例】2年の経過を持つリウマチも3か月で完全回復
【症例】脊髄小脳変性症も1週間で上向いてきた
【症例】アルコール依存症、酒量が5合から0.5合に
【症例】双極性障害(躁うつ病)にも、高タンパク/低糖質食+メガビタミンは効果あり
【症例】社会不安障害+恐怖症で10年以上投薬を受けていた患者、高タンパク/低糖質食+メガビタミンでほぼ完治
【症例】多発性硬化症に対するオーソモレキュラー治療、半年でほぼ完治
【症例】結節性硬化症に対する分子栄養学治療
【症例】最重度のアトピー性皮膚炎の治療
【症例】睡眠薬依存(ベンゾジアゼピン依存)にはナイアシン
【症例】不整脈、高血圧も10日で完治した
【症例】ダイエットを希望されて受診された患者の治療
【症例】8年間の経過を持つ気分障害女性も、半年でほぼ完治
【症例】白血病=壊血病、白血病の化学療法、早期に終了
私がこの本を買うきっかけになったのは『多発性硬化症』の症例が載っているという情報を目にしたからだが、収められている症例の中でもし何か気になる症例があるのであれば、一度目を通して見るのはどうだろうか。
私はこの症例を読むことでわずかではあるかもしれないが希望を持つことができた。
■最後に
健康の自己管理がどんどん求められている。
その中で分子生物学の発展に伴って分子栄養学は発展してきており本質的な健康管理の知識が徐々にわかってきていると感じており、本書はそれを広めていく上で重要な一冊だと思っている。
発展してきた科学的な知見は日常の生活に落とし込み有益に使うべきだし、何より私たちが『幸福感』を感じて幸せに暮らしていくには『健康』は切っても切り離せないもの。
人生を楽しむために正しい知識を身につけていきたいと思う1冊であるので、慢性疾患に悩んでいる方はもちろんだが健康意識の高い方にもぜひ読んでいただきたい1冊である。