見出し画像

初心者必見! エアライフルでキジを攻略せよ!!【エアライフル・マニアックス】

本稿は『けもの道 2024春号』(2024年4月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


日本における鳥猟の代表的な獲物といえばキジとカモだろう。とりわけキジはカモより警戒心も薄く、またオスキジは目立つ姿をしているので、エアライフルでの流し猟を始めたばかりの人にとっては格好の獲物だ。基本は田畑に出没するので、回収の手間がかからないのも良い。

だがしかし、このキジ猟はやり込むほどに奥深さを感じる狩猟だ。私は10年ほどの狩猟歴で恐らく通算250羽以上はキジを獲っているが、それでも毎猟期ごとに新しい発見がある。今回はそんなエアライフルでのキジ猟を、初心者向けに解説してみたいと思う。

ただし、本稿の内容は、私が狩猟をする関東平野での例で、それにより得た私の経験則を多く含み、地域によってはキジの生活パターンや狩猟シーンが異なることを先に断っておきたい。

文|宮原悠
写真|富山龍太郎(とっとこトミー)

著者プロフィール|宮原悠
自然力を養う様々な遊びを提案するアウトドアライター。表参道の銃砲店f-rangeのエアライフルチューナーとしても活動中。2024年は日本のエアライフル市場がさらに熱くなる!? 著者noteはこちら⇒『38 TUNES

写真家プロフィール|富山龍太郎(とっとこトミー)
体育大学卒業後、警察官になるがカメラマンへと転向、婚礼を中心に映画のポスターやドラマの撮影などをする。28歳でライフルを所持し、駆除員として活動する傍らロープレスキューを中心としたロープワークの講習会を開催中〜 X(旧Twitter):@Ryuuu30_30

キジはどんな鳥?

キジはキジ目キジ科キジ属に分類される鳥類で、日本では北海道と対馬を除く本州、四国、九州に留鳥として生息している。また同じく狩猟鳥のヤマドリはキジ科ヤマドリ属の日本固有種である。

北海道や対馬、その他一部には狩猟目的で朝鮮半島原産のコウライキジが放鳥され生息しているが、日本のキジにもキタキジ、トウカイキジ、シマキジ、キュウシュウキジの4亜種が生息しており、これらすべてを含めて亜種の扱いで、狩猟鳥獣のキジとして分類される。ただ、それら亜種を見た目で判別するのは困難である。

キジの生態は、平地の山林や農耕地、河川敷などの明るい草地に生息しており、草の芽や葉、種子などを食べる植物食が中心だが、昆虫やクモなども食べる。春夏の繁殖期ではオスは顔の赤い肉腫が肥大し、また耳のような冠羽も目立つようになる。繁殖期のオスは縄張りを作るが、メスは複数のオスの縄張りを自由に出入りし、繁殖をする。

一方、私たちが狩猟をする冬季は、雌雄別々に行動し、オス同士、メス同士で群れになっていることも多い。また猟期終盤になると、繁殖期に向けてオスがメスに向けて求婚のディスプレイをしている姿もよく見かける。

キジはどこにいる?

エアライフル猟は基本、車での流し猟、そして居鳥狙いとなるため、農耕地がメインの狩猟エリアとなることが多い。飛ぶことより地上を歩く(走る)ことを得意とするキジは、天敵に狙われた時に逃げ込める場所が近くにある場所によく出てくる。

そのため耕作放棄地もしくは休耕地のボサ(藪)の周囲は見かける確率が高い。河川の土手なども良い隠れ家になっていることが多い。

キジの生態を考えたときに忘れてはいけないのは、夜の睡眠時間である。というのもキジは夜になると樹上で寝る、と言われているからだ。だからだろうか、キジの採餌場や隠れ場所に加えて、灌木なども混在するエリアではキジを多く見かける。その点、谷津田(やつだ:谷間にある水田)のような環境はキジにとっては過ごしやすいエリアだが、逃げ込むのが楽な場所は人から見ても見つけるのが困難になることもある。また歩くのが得意とは言っても、彼らも鳥であり、必要があれば一度に数百mは飛ぶ。

睡眠場所になりそうな林や灌木との距離は数百m程度は離れていても問題ないようで、夕暮れ時に、田園と林の間の道を走っていると、飛んで林に入っていくキジを見かけることがある。

ちなみに灌木と書いたが、竹林も睡眠場所になるようだ、というのは、私が今期新しく知った体験談だ。今期、何度か日の出直後に入ったカモ池があるのだが、その度に背後の竹林の上からキジが飛び立つのを見た。見つけても当然撃つことなどできないのだが…。

これらの地域選定は、グーグル・アースやグーグル・ストリートビューを使うと便利だ。まずは通常のマップで田畑エリアを探し、次にグーグル・アースで植生を確認、次にグーグル・ストリートビューで見える範囲だけでも確認しておくと良いだろう。

キジはどこに出る?

キジを見つけるには食性も理解しておきたい。例えば関東での稲作は8月下旬ごろに収穫する早期米の生産農家が多く、収穫後に二番穂が出て実をつけていることがある。これはキジの格好の餌となるため、そうしたエリアはキジの密度も濃くなる傾向がある。

また田園エリア以外では、ギシギシなど常緑多年草も餌となるため、厳冬期でも緑の濃い場所は注目ポイントだ。他にも大豆の原種と言われるツルマメの実も好物で、キジを捌くと〝そのう〟から多く出てくる。ツルマメは日当たりの良い野原や畦によく生えている。

他の習性では、キジは体についたダニやハジラミを落とすために、日光浴も兼ねた砂(土)浴びをよく行う。良いポイントはすり鉢上に土が剥き出しになっていることがある。ボサ近くで、南の陽がよく当たる地面が剥き出しになった畔や斜面もチェックポイントとして覚えておきたい。

砂浴び場を見つけたらラッキーチャンス!
Google アースを駆使し、キジの多そうなエリアを探す

砂浴び場はキジの出現頻度が高く、体験談では1羽獲った2時間後にまったく同じ場所で砂浴びをする別の1羽を仕留めたことがある。

●ここがポイント
 ボサ、餌場、砂浴び場、これらはフィールドをよく観察して見つけておこう。

キジを見つけよう

さて、キジのいる場所のイメージや目星ができたら、次は実際に探しに行こう。田畑エリアであれば、ボサに向かって車を流す。ボサと田畑の切れ目に立っていればわかりやすいが、田園に降りて二番穂を啄んでいることもある。遠くからパッと見てみつからなくとも、そこにはキジがいると信じて慎重に車を寄せよう。

広い二番穂の田園の中からキジを見つけるのは時間を要する行為だが、それらを省略し、広く探す技もある。それは、畔から3列目くらいまでの稲の条間だけをチェックする方法である。キジは採餌で田園に出る時も、すぐに逃げ隠れることができる範囲にいることが多い。

大きなボサでなくとも畔のちょっとしたボサでも一時凌ぎにはなるため、畦付近に留まっている確率は、田畑の中央付近より圧倒的に高い。広く回る場合はこうしたポイントだけチェックするのも手だ。

●ここがポイント
① ボサ、二番穂、灌木のセットで出現率アップ。
② 畔から3列目までの稲の条間は特に注視。

時間帯と天候による出現率

エアライフル猟初心者の声で一番聞くのがまず「キジが見つけられない」といった相談だ。これには先述のようなエリア選定、見つけ方以外にも大事なポイントがある。それは時間帯と天候だ。

まず、田畑のボサには散弾猟などで踏み出されたばかりでない限り、ほぼ確実にキジはいると言って良いだろう。エア猟での問題は、そのキジが出ているかどうか、つまり見つけられるかどうか、である。

ロケ開始直後に現れたオスキジ。背後に耕作中の菜園があるため、この個体は見逃した

ここから先は

4,798字 / 8画像

¥ 200

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?