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【密着取材】実は頼れる小さな狩猟犬! ミニチュアダックスのコジュケイ・ヤマドリ猟

本稿は『けもの道 2018春号』(2018年4月刊)に掲載された特集「2017年猟期 猟犬と歩く。その先にある光景」を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

狩猟を行なうには狩猟免許の取得、猟具等の取得・所持の許可、狩猟者登録などの手続きが必要なほか、狩猟期間や猟法、狩猟できる区域や鳥獣の制限等があります。狩猟制度に関する情報については「狩猟ポータル」(環境省)等でご確認ください。


取材・文|佐茂規彦

ミニチュアダックスは猟犬です。

「猟犬」と聞くと、体が大きく力強いイメージが先行し、猟犬を使った狩猟に憧れはあるものの「飼育スペースもないし、大きな犬を飼うのは無理」と諦めてしまっている狩猟者は多いだろう。

確かに鹿や猪などの大物猟には紀州犬や四国犬、プロットハウンドなどの中型以上の犬が使われることが多い。

鳥猟にしても、セッターやポインターなども比較的、体の大きな犬種であり、飼育する上でかなりの運動量の確保と、狩猟で使うには専門的な訓練が必要だ。

しかし、まだ諦めるのは早い。

今回、取材してきたのは、ミニチュアダックスの「ブレッド」と、その飼い主の名雪さんによるコジュケイ・ヤマドリ猟。日本でミニチュアダックスといえば、家庭の愛玩犬として飼育されていることがほとんどだが、実はれっきとした猟犬がルーツ。鳥猟師の憧れの獲物・ヤマドリが、実は可愛いミニチュアダックスで獲れるのだ!

お話を伺った人|名雪誠さん(47歳・静岡県)
平成10年に猟銃取得し、猟歴19年。社会人になってから大学時代の友人の猟銃所持に合わせて、自身も取得。当初は射撃に興味がなく、父とともに鳥猟をしていたところ、どうしても獲れないヤマドリを獲るべくスキート射撃を始める。現在では、(一社)日本クレー射撃協会主催東海ブロック大会静岡代表選手(スキート)の1人。

開始10分で訪れた、半信半疑が確信に変わる瞬間

年が明けて間もない静岡県某所。まだ薄暗い早朝、名雪さん&ブレッドと待ち合わせ、一緒に猟場の入り口まで移動した。車を停め、山入り準備を始めるころには夜が明けていた。

大物猟と違って装備が軽装で済むのはありがたい。オレンジベストにスパイク長靴。ベストに背のう(背中の大判ポケット部分)があるので、獲れた鳥類はそこに放り込めばいい。

ブレッドにも目立つようにナイロンで出来たオレンジベストを着せる。ほかの猟師が山でブレッドを見たら「大きさでウサギと見間違えられそうだから」なのだとか。

名雪さん愛犬「ブレッド」雄6歳/ロングヘアード・ミニチュア・ダックスフンドダックスフンドは日本では主に室内飼いの愛玩犬として知られているが、元はドイツ原産の狩猟用のワーキングドッグであり、現在もヨーロッパを中心に、穴熊猟など狩猟シーンで使われている。小柄・短足・細身(小さい胴回り)という身体的特徴は、狭いところにも入って行けるという利点になる。

もちろん対象を確認せずに撃つことはご法度だが、日本の猟場にミニチュアダックスがいることを予想できる狩猟者は、この記事を読んだことがあるに違いない。

果たしてダックスで本当に狩猟が出来るのか? その答えは開始からたった10分で明らかになる。

写真で追うブレッドのコジュケイ猟

身支度を整え、歩き始めた名雪さん。崩れた林道を進んでいく。ブレッドはその前5メートルぐらいの距離を軽快に歩いている。これだけ見ると、渉猟というより「愛犬の散歩」だ。

歩き始めて10分ほどで、林道から山仕事用の足場が残る丘をさらに登る。右手には肩ほどの高さで密生した藪が広がっている。名雪さんの経験上、この地域のヤマドリやコジュケイは、朝のうちは日当たりが良く暖かい藪の下に隠れていることが多いという。

何かのニオイをとったのか、それまで名雪さんのすぐ前を歩いていたブレッドが藪の中へ入っていく。

……「おいおい? 射撃の瞬間の写真は?」と思われるかも知れない。それは予想を大きく超えた早業だった。

ブレッドが藪に消えた数秒後、いきなり藪から飛び出したコジュケイ、そして次の一瞬で名雪さんが射獲してしまったのだ。

名雪さんは装填した状態から藪に銃口を向けて待っていたのではない。ブレッドの反応を見て獲物が出ることを確信して装填した後、コジュケイの飛び出しを見てから確認・照準・射撃を瞬時に行ったのだ。

射獲したコジュケイゆっくり観察すると、赤茶色と青みがかったグレーが混在する特徴的な羽毛をしていることが分かるが、飛び出した瞬時にコジュケイだと判断する自信は全くない。

猟犬の血筋は伊達じゃない

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